あなたはわたし(11)【ナツキの記憶】
湯のみを持つメイの手。
それは、女性の手には思えない、やや、ごつごつした手。
それは、毎日見ている僕の、
僕の手だったのです。
僕は、驚愕し、言葉を失いました。
そんなバカな・・・。
僕の手が、目の前にあるわけがない。
でも、目の前にある手は、僕の手。
確信が、心から沸き上がる間欠泉のように、吹き出します・・・。
僕は混乱の中に叩き込まれました。
その手・・・。
やっとの思いで、絞り出した声に、メイは手を差し出しました。
心臓の鼓動が響き渡る中、僕はメイの手を見つめました。
いや、確かに似ているけど、違う。これは僕の手ではない。
でも、でも、似すぎている。
観察しなければ、分からないくらい似てるなんて。
僕らの手って、似すぎていないかい?
メイに聞きました。
似てるね。でも少し私の方が小さい。
そして僕たちは比較の為に、手を合わせました。
一人回り小さいメイの手。
そして、その手のひらは、僕の手のひらに吸い付くのです。
吸い付くなんて表現ではなく、融合していく感覚。
皮膚が溶けていく・・・・。
そんな馬鹿な・・・。
さらに僕は混乱を極めます。
何?これ?
これが人の、他人の手????