朔さんへ

おとぎ話みたいな私たちの恋にいまだに戸惑っています。本当にこじらせて、本当に朔さんが好きなのかと写真を見てはあの頃のことを思い出してまたおびえたりして。

朔さんがしてくれたこと、私たちがついにここまで来てしまったこと、何もかも夢みたいで、でももう夢だとは思っていなくて。

あの出会いの日から今日までのことを思い出してみたり、そして、時々くれる直接的なお手紙を読み返してみたり、その中でいつもワクワクしながらも疑問がいくつも沸き起こってきて。

朔さん、私が離婚したって知ったとき、どう思った?嬉しかった?正直に答えてね。そりゃ朔さんのことだか私のことを死ぬほど心配したと思う。傷ついただろうなとか死んでしまわないかなとかいろいろ。でも正直なところ、俺ついてる!!って思った?(私としては突き抜ける喜びだったって言われたいわけだけどww)

私自身、離婚してよかったと思うし、離婚は痛みというよりも実のところ「ようやく言えた」って気持ちが大きかった。それは、きちんと別れようって決断を込めた発言ではなくて、ここまで私が言ったらこの人はどうなるだろうって実験部分のほうが大きかった。本当に変わってくれるならそれもまた良しだろうって思っていた。でも、本音を見てしまったからだめだって私は判断した。


あれからもあれ以前も朔さんは幾度もこの街で私を見つけたと思う。そのたびにどう思ったんだろう。同じ町にいるって思っていろんな実感がじんわり嬉しかったりしたのかな。

私は、朔さんを確認した幾日か前と横目で見た気がした昨日、すごく満たされた気持ちになった。ああ、この街にいて同じ空を見上げてあの海辺に行くこともあって、共通の行くお店があって、その気になれば「あのお店つぶれたらしいよ」とか「あのお店のセールはじまったって」なんて地元の話もできるわけで、なんていうか、すごく家族な気がしている。相変わらず東京の匂いしかしないけれど、でも、ああ、この街にいるんだって思いが私をとても落ち着かせた。あと、駐車場の車。あの車を見るたびになんだか安心して。あと、自転車、私の部屋のまえに停めているでしょう?あの色の自転車たぶん朔さんのだろうって踏んでいる。私のパンダ号の隣に置いていないわけだし。あとは、換気扇とか下水管のこと。あれもたぶん上から下につながっているからタイミングとかいろいろわかるんだろうなあとかね。

イケメンの朔さんがここまでストーカーだってわかったらみんなびっくりすると思う。でも私はさほど驚かないし、やっぱりねって気持ちが強い。それで嫌いになることもないし、そのくらい一生懸命なのはなんとなくわかるし。ただ「そんなに好きか」って半分あきれているww

歌もよく聞いてくれているし、趣味もすべて試してくれているし、泣いていればすぐに駆け付けてくれるし、私の否定的な言葉には自分を引っ込めてしまうほどだし。

朔さん?私でいいの?もっといい女の子いるよ?若い子とか、未婚の子とか、メンタル崩さない子とか。年上のバツイチでもいいの?メンタルは弱いし、子どもも、もしかしたら難しいかもしれないよ?(これは本当にわからないけれど)。気も強いし、まあセックスは嫌いじゃないけれど。。。

ビーズのふたりも朔さんと私の関係なの、東洋占星術ではね。朔さんは稲葉さん側、私は松本さん側なの。だから、稲葉さんが松本さんに心酔しているのを見るたびに朔さんを思ってしまったりする。そして松本さんの落ち着きとあたたかい目を見ると私もあんなふうに朔さんのことを見れたらいいなって思う。

朔さんのことは出逢ったあの日から好きだった。何度こんなこと言っているかわからないけれど。でも、好きで好きで本当に好きだったの。見かけるたびに怖くなるほどに好きで仕方なかった。理想そのものだった。私が心の中で具現化していなかった理想さえ具現化してしまう、そのくらい朔さんという存在は逢えば逢うほど、知れば知るほど理想そのものだった。私はいつも次郎さんの隣で写真に写っていた。その近くに朔さんがいつもいたことはよく知っていた。朔さんの隣で写真に写ったことは一度もない。手をつなげるときにどうして朔さんは隣に来てくれないんだろうってむくれていた。ただ手をつないだら、私たちはきっと手を離せなかったと思うし、朔さんは会の途中だろうがなんだろうが、そのまま私の手を強引に引っ張っていってすぐ近くの要塞に閉じ込めてしまうことも私も想像できた。今はその状況と似ている気もするよ。もう誰も私たちの消息を知らないんだから。それは私にとってすごく心地いいこと、毎日が。朔さんを独り占めできるなんて幸せでしかない。

あれ?何が言いたくてここまで文字をつなげたんだろう…。でもいいの、たまには朔さんにだけ手紙を書きたかったから。

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