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葉桜

図書館で何気に手にした本。季節的にもあっている。読む本はどうしても趣味趣向で偏りが出るけれど、図書館や、本屋だとその時の気分でふと手に取ることができるのが好きなところ。

書道教室に通う主人公の日常から始まる。小学生の頃から妹に付き合って通い始める。妹は早々に辞めてしまったが、主人公は高校生になった今でも通っている。その動機は・・・。書いているのは、欧陽詢が書いた漢詩だったり、古今和歌集だったり。

そこに、家系にある運命のようなものが、しかも妹が該当していそうという。17年がキーワード。それは家族全員が知っていながら、それぞれの想いで暮らしている。

華やかにぱっと一斉に咲き誇る桜をイメージしていたが、それはソメイヨシノの話であって、散る時も一気に散ってゆく。出生にまつわる特性だが、それが妹に重なる。

桜と書くと ソメイヨシノを思い浮かべるが、櫻と書くと山桜、八重桜をイメージするのは自分だけかな?

大きな事件が話を動かすのではなく、姉、妹、書道教室の先生と、出てくる人の考えや思いを読んでいくお話。気持ちを表すのに何か方法を持っているのは羨ましいと思った。

葉桜というタイトルは、運命を乗り越え、次の季節に繋がった、と思ったが、散ってすぐに葉をつけ次の開花に備えるのが桜であること考えるとむしろ、これからということになるのだろうか。それでも、春の日差しを鮮やかな緑色の葉が受けるところは、これからの展望に明るさを感じる。

街歩きがさらに楽しくなるものがあるといいな