毒親から心身を守る【住民票閲覧制限】の壁

不吉な予感がした。

両親が海外から日本に引っ越してくるらしい。

父親は都内で貸していた家に転居する準備のために既に帰ってきているらしい。

両親の動向は、弟たちが随時教えてくれるから把握している。

「ふうん、そうなんだー」平然を装っても、不安は募る一方。

電話相談員に話し、気持ちを肯定してもらい、少し落ち着けた。

気分転換に漫画アプリを見ていたら、『生きるために毒親から逃げました』という題名のコミックエッセイの帯に書かれていた「住民票閲覧制限」という言葉が目に入った。

週明けに、市役所に問い合わせ、手順を教えてもらった。

住民票閲覧制限の手順(ケーサツ回避)

①市民課で書類を入手し、②警察に事情を話し認証を受けられたら、③書類を市民課に戻す、とその日から閲覧制限がかけられる。

ただ私は、幼児期から成人にかけて父親から受けていた猥褻を警察官に話すのは御免だ。

すると、他にも東京都指定の認証できる機関が2つあるという:

東京ウィメンズプラザと、性暴力救援ダイアルNANA(2023年12月5日現時点は「住基支援を認証する体制でない」ので最新情報を確認ください)。

「予約が取りづらいかもしれないけれど」と市民課の担当Iさん。

なおさら早く動いたほうがいいと思い、すぐに性暴力救援ダイアルNANAに電話。

すると、そのような権限はないと断られた。

市民課にそのことを伝え、確認を頼んだ。

折り返しの電話を待っている間、東京ウィメンズプラザにも電話。

応対した相談員は、住民票閲覧制限(住基支援)について無知だったようで、確認するため少々待つ。

酷すぎる聞き取り

結論としては、15分間の聞き取りをした後、協議にかけ、認められたら面談をするという手順を踏んで認証を得られるという。

「短く簡単に話してください」と相談員が言うので、

「父親からの猥褻を幼児期から大人になるまで受けてきました」と話し始めたら、

「あなたが受けたのは猥褻ですか?」と聞かれた。

「はい?どういう意味ですか?」

「その、通常の性行為ですか?」

「親から子供にする性行為に通常も何もないと思いますけど。だから猥褻という言葉を使ったのですけど。なんの確認ですか?」

聞き取りの女性は、同じような言葉を繰り返し、私はパニックになってしまった。

ここまで理解力の乏しい人に、私の日常の安全が脅かされ続けるか否かの判断を託さないとならないのか?

話を進めると、相談員はう〜んと困ったように唸っている。

話を聞いているのかと半信半疑でいると、「父親は何歳ですか?」「実父ですか?」「え?海外で育ったんですか?」「いつから海外在住なんですか?」と犯罪内容と直接関係ない質問ばかり。

そんなことを知ってどうするの???限られた時間の中で、閲覧制限の判断のためにそんなに重要な質問?

性被害者にとって、加害者の年齢とか血縁関係とか住んでいた場所なんてのはあくまで背景であり、受けた犯罪行為に比べたらどうでもいい話。そんなことより、判断材料になるような、具体的な性被害について話す時間をもっとくれよ。

何を言っても、伝わらないんだろうと不安になると、心臓がバクバクして、上手に話せない。

こんなことも聞かれた。「なんで警察に行きたくないんですか?」

「それは、警察に対して良い印象を持ったことがほぼないからです......性被害者が警察で二次被害に遭う話もたくさん聞いてきました、そんなリスク負えません」

「えーでも、そんなことは」と否定してくる相談員。

「あの、それはあなたの意見ですよね?今は、私が質問されたから答えてるんですけど???」

うんともすんとも言わずに黙り込む相談員。

最後にこんなことまで言われた。

「あのー、もし性被害のことを相談されたかったら……もし、あなたが、ですよ?......紹介できる窓口があります。」

「私はこれ以上、性被害に遭いたくないし、性被害のことで相談し続けたくないから、閲覧制限を急いでいるんですよ。」

最後の質問で確信した。ゼッテー伝わってねーわ。

まるでAIと話してるみたい。

対応のマニュアル化。人を疑う質問の連発。意見を聞きながら頭ごなしに否定する姿勢。

私が正しく、警察での聞き取りを何としてでも避けたい理由を、この女性相談員は見事に体現してくれた。

警察にも、被害者に寄り添える人はいるでしょう。よっしー部長(元神奈川県警巡査部長のYouTuber)となら友達になれると思う。

ただ、今回の女性相談員みたいな人が警察にはゴロゴロいるという印象が強すぎるから嫌なのだ。

女性だからと言って、性被害者の気持ちに寄り添える人ばかりでないのも重々承知。

男性でも性被害の話を丁寧に聞いてくれた人は少なくない。

だけど、女性ってだけで男性の性のはけ口にされ易すく、助けを求めても救いの希望が薄い社会的構図が根強い世界で、少しでも当事者意識を持っている確率が高い女性の方が、私の気持ちをなるべく的確に伝えられると思ってしまう。

それだけに、今回の女性相談員の対応には絶望した。

この記事は、私の実体験に基づいた経験であり、東京ウィメンズプラ◯を攻撃をしたいわけではありませんので悪しからず。

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