第64話『WILL THE REAL MARTIAN PLEASE STAND UP?』:このオチは読めなかった・・・二重のドンデン返し!
エピソードデータ
タイトル:WILL THE REAL MARTIAN PLEASE STAND UP?
エピソード番号:#64 (第2シーズン)
放送日:May 26, 1961
脚本:Rod Serling
私のオススメ度:ベスト2
総評
典型的な60年代的宇宙侵略モノか、、、と思わせておいて、二段構えのドンデン返しが仕掛けられている愉快な一作!
あらすじ
ある雪深い冬の夜。二人の警官が山中を捜索している。未確認飛行物体が現れて、木々をなぎ倒して凍った湖に不時着したのを見た、という通報があったのだ。
なるほど、二人の警官は墜落したUFOを発見する。
そこからは足跡が続いていて、それは、近くの一軒の食堂の中に消えていた。
警官たちが食堂に踏み込むと、中にはバス旅行中だという7人の客がいた。警官がバスの運転手に聞き取りをすると、意外な証言が出てくる。
バスの運転手は、出発時には確かに客は六人だった、と主張するのだ。しかし、食堂の中で待っている客は七人。とすると、誰か一人は、バスの乗客にうまく紛れ込んだ宇宙人なのだろうか?!
ネタバレ
以下、オチのネタバレがあります!
↓
↓
↓
↓
↓
実は客の一人が、たしかに地球侵略にやってきた金星人だった。ところがそれを知ったレストランの店主が「実は、そういうオレは地球を侵略しにきた火星人なんだけど」と言い出す。実は金星人と火星人との、地球侵略の権利を賭けた化かし合いの物語でした、、、って、この騙し合いにどっちが勝ってもどのみち人類は終わりじゃないですかw、というブラックなオチ。
レビュー詳細
このオチは半分、ギャグですな。ロッド・サーリングさん、これは絶対、最初から、笑いをとる気で脚本書きましたよね?!どこかふざけたタイトルが示している通り!
構成としては、いわゆる二段落ち。「あ、こいつが犯人だな」と見るものに思わせておきつつ、実はもうひとつ、物語そのものの背景に仕掛けがある、というパターン。
それにしても、このどこかふざけたムード、「人類が危機的」な状況で終わるのに、見終わった後には、なんだか微笑ましい気持ちになってしまう。60年代のブラックユーモア派SF小説のよいエッセンスが全部詰まった作品!こういう小品をこそ、トワイライトゾーンシリーズの代表作のひとつとして、愛さずにはいられません。
本エピソードに関するウンチク
英語についての解説をしますと、比較的、平易な英語ばかりで会話が作られているし、物語自体も(オチを含めて)映像を見ていれば何が起こっているかだいたいわかる展開なので、リスニング苦手にも親しみやすい作品です。
私がピックアップしたいのは一種の慣用句で、オープニングナレーションでロッド・サーリング氏がこのように告げるところ。
You’ve heard of trying to find a needle in a haystack?
大衆食堂(ダイナー)の中にまぎれた宇宙人を探すなんて、きっと、「干し草の山の中から針を探し出すようなことに聞こえるでしょう」、というニュアンス。
このneedle in a haystackに着目したのは、これは慣用句ながら報道用語やらドラマの会話やらで、とにかく、よく出会う表現の為。
知らない人が突然聞くと、なんのことやらわからない、けれども知っているなら一発で言いたいことがわかる、そんな慣用表現として、覚えておいて損はないのではないでしょうか。
ちなみに、英語学習とはちょっと離れますが、本作はほとんどが、雪に閉ざされた大衆食堂の中で進んでいきます。ここで食堂と翻訳したDiner(ダイナー)は、不気味なことが起こる閉鎖空間として扱いにちょうどいいのか、トワイライトゾーンシリーズでは、自動車の中やホテルの中とあわせて、舞台設定として本当によく出てくる。おっさんが一人で運用している小さなレストラン、というところでしょうか?
アメリカのSFやホラーの舞台としてとにかく出てくる「Diner(ダイナー)」という形態の食堂のことも、アメリカドラマ通になる為には、あわせて、慣れ親しんでおきましょう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?