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「線香花火にお願い」


藤家 秋さんの「ストーリー募集|夏の残り火 コラボwith大橋ちよさん」参加作品です。


「線香花火にお願い」

「ずっと落ちなければいいのに…」
 みんなで集まって、夏の終わりに花火をやって、その最後はお約束の線香花火。一斉に火をつけて、最後まで残っていたのは私とアキ君の二人だった。

 私は一週間前の、親友ハルとの会話を思い出した。

~・~・~・~・~

「アキ君も誘ったから。」
 私は、つい、すごい勢いでハルを振り返ってしまった。チェシャ猫のようにニマーっと笑う彼女と、ばっちり目が合う。
「いやー、すごい食いつきですな。」
 良い事だよ、うんうん、とか言いながらニマニマ笑いは消さない。こういう顔をする時は、絶対悪だくみしてるんだコイツは…。
「感謝しろよ~? 二人っきりになるチャンスを作ってやろうってんだからさ~。え? 何? ヤメロ? 照れるなよ、コイツぅ~」

 結局、そのまま話は進み、今日を迎えたわけだ。その間に私が何をやったかっていえば、夜中に「神さま、最後にやる線香花火、私とアキ君のだけ落とさないで二人っきりにさせて。それから…」…きゃー、とかやってたくらいです、はい。

~・~・~・~・~

「ずっと落ちなければいいのに…」
 最初は、そう思っておりましたよ、神さま。二人っきりにさせてとも思いました。ええ、認めます。でもね…

「なあ、ナツ、どうするよ? コレ…」
 かれこれ一時間、私たちは落ちない線香花火を見つめていた。ハルのヤツは例のチェシャ猫顔で「上手くやれよ」って帰っていった。私たちは皆が帰ってしまったので、バケツに突っ込んで強制的に火を消そうとした。でも、消えなかったのである。…怖いよ!
「さすがにこのまま帰るわけにはいかないよなぁ…。いやマジどうするよ。どうなってんの、コレ?」

 ねえ、神さま。もしかして、私たちが付き合えるまで、この線香花火消えない、とかないよね…。違うから、ホント、それ違うから。この状況から色恋の話には持ってけないから!
 もうちょっと空気読んで、神さま。お願い。

(800文字・タイトル含む)


 スピンオフとされていましたが、これもネコミミ村まつり関連なのですよね? 前回のネコミミLive記事で私的ラストとしていましたが、すみません、あれ間違いでした。だってこんな餌が出てきたら食いつかずにはいられないじゃないですか。

 …ということで、ショートストーリーを書いてみました。最初「短歌」をもとに…ということで、短歌や俳句を苦手としている私が書けるかな~と躊躇してたんですが、よく見てみたら「夏の終わり」「線香花火」をテーマにしてもOKと書かれているし、すでに投稿されている方々の作品を読ませていただいても「短歌をもとに!」って感じの格調高さ(すみません、私の短歌や俳句のイメージなんです。だからこその苦手意識なんですけど)な感じではなかったので、これなら考えられるぞ!と。

 最初、800字以内を「8000字以内」と勘違いし、いやそんなに長いの書けないし、字数気にしないで好きに書いてきゃいいや~と書いてから、投稿する段階になって要項を見直して気付くという…。慌てて削りに削りました…っていうほどでもないですが、400文字ほど削りました。もともとが短い話で良かったです。最初からしっかり要項は確認しなきゃダメですね!

 今回の話ではナツ(主人公)、ハル、アキが出てきます。最近書いたストーリーはハル・ナツ・アキ・フユの4人で回ってます。でも同一ではなく、いわゆるパラレルワールドですね。性格も結構違いますし。でも基本はナツが主人公でハルは親友、アキ君とフユ君はその周りにいる友達…まではいってない人たち…かな?
 なんだか気に入ってる構成なので、これからも彼女たちには登場してもらう事になると思います。


 ということで、今度こそ私的ネコミミ村まつりラストの投稿になるお話でした。というかネコミミ村まつり、本日12日が最終日です。参加された皆様、お疲れさまでした~!

 それでは、最後まで目を通していただき、どうもありがとうございました。

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今回のサムネイルは「フリー素材ぱくたそ[ https://www.pakutaso.com ]」の「すしぱく」さんの画像を使わせて頂いています(自作のイラストを合成しています)。どうもありがとうございます。
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