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Rの足の話

文字の細部を見るのは楽しい。Rの足について書く。

Rの足は他の文字との共通性が薄いので割とデザインの自由度が高い感じがする。Kなど他の文字に似せることもできるし、合わせなくても良い。

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セリフ書体をみるとRの足は時代を経るごとに丸まっていくようだ。GaramondやTrajanのRはシュッと流れている。

Of the Just Shaping of Letters からデューラー(Albrecht Dürer)のRを見つけた。MDXXXV = 1535年。Rの足は正方形の対角線のように描かれている。

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18世紀(Caslon)になるときゅっと止めてセリフっぽい形になっているものが多くなる。Didot や Bodoni の足はくるっと優雅に丸まっている。より幾何学っぽいはずのModern書体なのだが、次の文字につなげる手書きの筆致にも似ている。

サンセリフにも似たようなバリエーションがある。というかサンセリフの骨格のデザインは過去の書体を参考にしていることが多いので自然とそうなる。まっすぐか丸まっているか、先端が跳ねているか、などが見所。真っ直ぐな足で付け根がちょっと丸まっているものもある。Tensoの止め方は珍しいと思う。かわいい。HelveticaのRはちょっと中途半端な感じ。

RとKを比べてみる。Georgiaは先端のデザインを合わせてある。Garamondは処理が異なる。

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丸まっているタイプはBと比べるのも良い。

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足の話からはそれるがB, P, Rの丸い部分(bowl)の大きさにも個性が出る。Rのbowlは足がある分Pより小さくすることが多い。見た目に同じでも微調整がしてあったりする(Eurostlileを測ってみよう)。

最後に足の長さ。足の長いRはかっこいいが隣の文字に当たって邪魔になる。

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BemboのRは極端に長いので、右の異自体(Alternate)も入っている。

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ZapfinoのR。スクリプト系や装飾系の書体ではRの足は最高のアクセントになる。

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