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[デザインの英語] Accessibility

書きかけ

外国語がカタカナになると特別な意味だけが残って、元々の含みがごそっと抜け落ちる。

ふつうの言葉としてのAccess

1. the quality of being at hand when needed
2. the attribute of being easy to meet or deal with
vocabulary.com

Access という単語は普通の言葉だけど日本語に訳し難い単語だ。近づく、手に入れる、利用する、などの行動とその「可能性」を指す。"Access internet" だとインターネットに接続する、"access to public transportation" なら公共交通機関の利用しやすさ、"an accessible boss" は話しやすい上司だ。

Accessibility と聞いて障害者だけの話だと思うのは言葉の意味を狭く限定していることになる。これには功罪あると思う。

WebのAccessibility

情報や機能へのアクセスに困難がある時、その困難の形には色々ある。種類の違う困難には違う解決方法が必要になる。「全ての人をサポートする」では具体的な策が何もないので、ターゲットを選ばなくてはならない。

The Web is fundamentally designed to work for all people, whatever their hardware, software, language, location, or ability. When the Web meets this goal, it is accessible to people with a diverse range of hearing, movement, sight, and cognitive ability.

W3Cのサイトを見ると all people と言いながらすぐ下に、hearing, movement, sight, cognitive ability(聴力、運動能力、視力、認知能力)が具体的に挙げられている。ここにはプラットフォームとしてのwebが何に対応しやすいか、何に対応するのが最も効果的かという判断があると思う。

Web は基本的に構造化されたテキストデータの集まりなので、画面表示のカスタマイズ、読み上げや点字、ポインティングデバイス、キーボード、音声入力など異なる入出力に対応しやすい。W3Cがこれらを可能にする仕様や標準、ガイドラインなどを提供することは重要だし理に叶っている。WCAGなどの標準があることで、一定の水準を満たすことが容易になる。

標準化は一方で油断すると「とにかくWCAG-AAを満たせばOK」みたいな思考停止の原因にもなる。なぜ標準があるのか。実際に対象となるユーザがアクセスできているのか(テストしているか)。地域格差や言語、貧富の差など、より幅広いアクセシビリティをどう扱うか。など考えることは色々ある。

余談:Inclusive Design

この話はカタカナ語だけの問題でなく、英語圏でも同じだ。狭い意味でのAccessibilityが限定的な意味で用いられるようになるのに対して「Inclusive Design」という言葉でより包括的なプロセスを指すようになってきている(例:Microsoft.com)。

名前をつけて流行らせるのはUX業界の常套手段。Accessibilityという言葉は使っちゃったから新しい概念として別の言葉(Inclusive)を使わざるを負えなかったという感はなくもない。そんなわけで言葉の定義はわりとどうでも良いのだけど、実現しようとしているゴールとアプローチは良いと思う。

「これからはInclusive Designだ。Accessibilityはもう古い」みたいなことを言う人(実際いた)は信用ならないと思う。


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