創造性の地図

Creative Reviewは紙とオンラインで展開するUKの老舗（多分）デザイン雑誌です。書籍版は月間だったのが一昨年あたりから隔月になってしまったので印刷はやっぱり大変なのかなと想像しています。

The Island of Creativityという記事を読んでみましょう。

This map represents the concepts we believe go into great creative work. It began as a piece of research with Google looking into measuring and valuing the impact of creativity in digital ads, but has evolved into a piece of work in its own right. 

クリエィティブな仕事に関する概念を地図にしたものについての記事です。もともとGoogleとのリサーチから始まったものが、独立した作品（work in its own right）にまで発展したようです。地図の画像は元の記事を参照してださい。

Interestingly almost all the places on this map represent things that are still hard, if not impossible, for science or technology to measure.

This Island of Creativity is split into four distinct areas, representing the four ways creative effectiveness can be measured, qualitatively at least.

この地図に表されている事柄はscienceやtechnologyでは測ることが難しいけれど、定性的（qualitatively）には測れる、と書かれています。定量的（qualitative）と定性的（qualitative）の対はリサーチ関連の話ではよく出てきますね。大雑把にいうと定量的というのは数字で客観的に表せる情報のこと。アンケートでは80%の人がAを選びました、というのは定性的です。定性的というのはより主観的で、ユーザテストで被験者の行動から直接得られる知見などはこちらに当たります。数字では表せない豊かな情報が含まれている反面、一般化できるかどうかはわかりません。冷静だけど淡白なのが定量的、濃厚だけど視野が狭いのが定性的というイメージです（雑）。クリエィテビティはまだ科学じゃ測れないよね。

Originality is the creation of a new concept or idea and Impact describes the way it is received by society. You can think of Originality as the source of an idea and Impact as its end destination. Elaboration is something our industry would describe as Craft, the refinement of an idea, and Artistry describes the creativity and expression of the artists themselves.

地図は中央にそびえ立つThe mountain of greatness – 偉大さの山 （Greatは意外と訳に困る単語です。要は凄いクリエイティブを象徴する山ってことなのですが）から四つの海岸、Originality – 創造性、Artistry – 芸術性、Elaboration – 作り込み、Impact – 影響力、に向かって広がっています。

ちなみにImpactは直接的な影響という意味で、日本語で考えるよりずっと頻繁に使われる単語です。「あなたの仕事がどれだけプロジェクトにImpactを与えたか」「あなたはこの組織にどんなImpactを与えられるか」といった文脈でよく出てきます。Inflenceだとぼんやりしていますが、Impactだと因果関係がもっとはっきりした感じ、これをやったことがバシッと結果に繋がったという感じです。

山と海岸の間にあるのはクリエィティブあるあるな風景です。Never ending path of perfection（終わりなき完璧への道）やthe dark forrest of doubt（疑いの暗き森）には誰でも迷い込んだことがあるでしょう。自分のプロセスを思い出しながら島の散策をしてみるのも楽しいかも知れません。すぐ飽きるかも知れません。