「おまかせで」というものほど「おまかせ」じゃない

この話は、大抵のデザイナーなら「そうそう!」と分かってくれる話で、ちょっと愚痴っぽくなっちゃいますがご容赦ください笑

誰のためのデザインなのか

デザインのお仕事(例えばチラシとかパンフレットとか)をするとき、基本はいくつかヒヤリングをして、デザインの方向性を決めて、デザイン案を提案して、そこでディスカッションして、修正繰り返して作っていく。大体こんな感じで進めていくんですね。
で、ここで重要なのが“ヒヤリング”と“ディスカッション”。
デザインはお互いで作り上げていくっていうのが大切なので、ここが一番気を使います。ただ、たまにですが、このヒヤリングもディスカッションもしてもらえず、制作をする上で最低必要な条件だけ並べて、あとは「おまかせで」っていうところもあるんです。
これってホント、デザイナー泣かせの言葉で、やっぱり情報が少なすぎるとデザインて作りづらいんです。そして「おまかせで」って言ってる以上、こちらはもうアーティストみたいな感じで自分の感性で作り上げていくしかない。そして「おまかせで」って言ってる以上その感性を信じてもらってると思うしかないし、「おまかせ」ならそこに口を挟むのって基本NGだと思うんです。
下野というデザイナーのデザインで作って欲しいから「おまかせ」じゃないですか。だけども、これを言ってくる人たちのほとんどが、その後「いや、ここはこうじゃなくてこうで、全体的にはこうして…」みたいに言ってくるんです。そして、そのほとんどの人は言い方悪いですがデザインリテラシーが皆無の人たちです。その人たちが口を挟んだ時点でもう「おまかせ」じゃないし、下野というデザイナーが作る意味がない。デザインリテラシーの低い人のデザインになっちゃう。

誰も得をしない

こうなるとどんなデザインに仕上がっていくか大体想像つきますよね?
こういうことがデザイン業界、特に私のような弱小デザイナーには頻繁に起きてるんです。これをやることで割りを食う、損をしてるのは誰かというと、デザイナーです。こういうことを繰り返していくと、そのデザイナーの信用度がどんどん落ちていってします。
そしてクライアントも損をしています。出来上がったデザインは決していいものではなく、そのクライアントのビジネスにおいてマイナスな要素が大きくなってしまうことも多々あります。
つまり誰も得をしないんです。
幸いなことに私は、そういったお仕事が今ほとんどありません。あっても断るか途中で投げ出すかしています笑
中には付き合いでどうしてもやらなきゃいけないこともありますが、その時はこっちの信用を落とさないデザインに仕上げていくため、あの手この手でこちらのフィールドに引き込みます。それが結果、クライアントの信用を落とさないことにも繋がっていきます。

プロとの仕事の付き合い方

やっぱりプロである以上、その道のプロじゃない人よりかはスキルも経験もノウハウもあるわけじゃないですか。そのプロに対して無責任な「おまかせ」ほど失礼なものは無いなぁと思ってます。なので私は自身の経験を踏まえて、仕事をお願いする時は自分の意図をしっかり伝えますし、「おまかせで」って言う時は本当に「おまかせ」で、どのプロの思う最高のものを望んでいる時です。なので絶対あとから「ここは…」みたいなことは言いません。
こういうことが、このデザイン業界から少しでも無くなっていって欲しいなぁと思って、こうやって日々、発信を続けています。

というわけで今日は、「おまかせで」というものほど「おまかせ」じゃない。というお話でした。

ブランド・プランナー 採用ブランディング認定ディレクター 下野

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