タレントマネージャーはこれからどうなるのか

この記事を見てくださった皆様が、テレビ業界の関係者であっても、そうでなくとも、お聞きしたいと思いこの記事を書きます。

タイトルの通り、「タレントマネージャーはこれからどうなるのか」。
皆さんはどう思いますか。
私は中学生の頃に憧れたタレントマネージャーという仕事に幸運にも就くことができ、現在10年近く同じ職業で過ごしています。
ただ、ここ最近の業界全体の動向を見ると、これから食っていけるのかとても心配になる瞬間が増えました。
現在の業界の背景を改めてご説明しつつ、皆さんの意見を聞かせてほしいです。

まず、この10年で芸能事務所及びタレントマネージャーという職業が置かれる環境はガラリと変わりました。
皆さんが一番に思い浮かべるのは、ジャニーズ事務所の騒動後のタレントの独立だと思います。
しかし、その前からこの兆候は確実にありました。
一番の要因は、テレビ視聴の減少と、YouTubeの台頭です。

テレビ視聴の減少


多くのネット記事やSNSで、「テレビがつまらなくなった」「BPO、コンプライアンスを気にしすぎ」などの意見がありますが、実はそこは本質ではないと思っています。

1,スマートホンの普及
2,テレビのインターネット視聴移行への出遅れ

この2点において、時代の進化にテレビが適応できなかった結果だと思います。
スマホが普及した段階で、人々の可処分時間の振り分けが大きく変わりました。
通勤通学中も動画でエンターテインメントに触れることができる。帰宅後も、その続きをスマホで視聴する。
そういった時代の変化に合わせた企業が、AmazonでありNetflixです。
そしてテレビ業界はというと、民放キー局が既得権益のために力を合わせず、各社のプラットフォームで天下を取ろうとしていました。
hulu(その前はnottv)、TELASA、Paravi、FOD・・
結果的に、今まで無料で見れていたテレビ番組が有料になったり、使い勝手が悪いプラットフォームでの視聴を強制され、視聴者は離脱していきました。
最近はようやく各社がTVerでの視聴率を気にするようになりましたが、各局が小競り合いをしている間に視聴者を奪われていました。

YouTubeの台頭

YouTubeは、2013年ころから急激に拡大したプラットフォームです。
そのさらに前は、少しだけ存在するミュージックビデオを見たり、海外のバカな動画を見る程度の場所でした。
「好きなことで生きていく」
YouTubeが芸能業界すらも揺るがした要因は、その大きな広告費です。

きっとこの記事に辿り着いてくださった方の中にはYouTubeで収益を上げている人もいると思います。
あまり知らない人のために、テレビ業界とYouTubeの動画収益について簡単にご説明します。
テレビ業界は、新人タレントの場合1本の番組出演で2万〜5万円程度です。
毎年ギャラ改定があり、その局に貢献したか、世間的に知名度が上がったかなどでギャラが上がります。基本的に下がることはありません。
誰もが知る超大御所クラスになると、1本200万円、時には1本700万円というケースも見たことがあります。(かなりレアですが)

つまり、長年活躍し続けることでギャラは上がります。しかし一方で、新人タレントがブレイクし、1年間で毎日のようにテレビに出演しても、1,000万円程度と言うことです。(広告契約やイベント出演は除く)

YouTubeは、広告単価というものが動画単位で存在します。
そのシステムはとても合理的で、企業で出稿する側の人にとっては常識かもしれませんが、多くの企業が広告を出したいと思えるチャンネルや動画の広告単価は上昇します。
ということは、みんな知ってるあの人はとても高いのかというと実はそうでもなく、人単位で広告を出す手段が少し前まではなかったため、動画の視聴者属性によって単価が変動するのが基本です。
なので、広告効果が高い視聴者属性=お金持ちの主婦や企業の幹部が見るようなコンテンツが広告単価が高い傾向があります。
(デパコス美容チャンネルや、ゴルフチャンネルなどです)
その収益幅もかなり広いのですが、1再生0.1円程度から、1再生1円以上のチャンネルも存在します。

つまり、新人YouTuberが上記のようなコンテンツでバズり、月に1回100万回再生を出すだけで、毎日テレビに出ている新人タレントと同額以上の収益を上げます。
この構造こそが、芸能界に大きなダメージを与えました。


タレントマネージャーの現在


これまではテレビに出演し、広告契約によって何千万円も稼ぐことが最上級とされていましたが、今ではYouTubeや他プラットフォームでの収益がそれを凌ぐことになり、芸能事務所が対応できない事態になっています。

ある事務所では、女優として若手女性をプロデュースし、テレビ局に営業をかけていましたがイマイチ声がかからず。
ある日その女性が、自分で編集をするのでYouTubeやってみます!ということで挑戦させた結果、チャンネルが急成長し、結果的に事務所を離れフリーで活動するようになりました。
この時、事務所側は何ができたのでしょうか。
動画の撮影の手伝い、編集、タイアップ営業。そのようなノウハウは、芸能事務所にはありませんでした。

このような事が起こる中で、各芸能事務所は、所属タレントを使ってYouTubeで稼ごう!と躍起になったのが数年前です。
裏側ではとある広告代理店がその運営の多くを担っていたのですが、成功した例は限りなく少ないと思います。
(芸能人のYouTubeがイマイチうまくいかない理由は別で記事にします)


そして、芸能界で活躍する人、芸能界を目指していた若者の意識が大きく変わりました。
テレビ視聴は減り、収益構造も変わった世界で、多くのタレントは事務所に存在する意義が減ってしまいました。

そして始まった事務所離脱。

業界として一番ショッキングだったのは、オ⚪︎カーの米⚪︎涼子さんの退所だと思います。

大手芸能事務所や、その系列事務所、インフルエンサー事務所から、フリータレントの事務所。今では様々なプロダクションの形に変化しながら、激動の時代になっていきました。


タレントのマネージャーはこれから食っていけるのか。
どんな能力を身につけたら良いのか。
タレント事務所の最適解とは。



もしあなたが、タレントマネージャーをしていたら、いったいどうしますか?



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