見出し画像

押井守のサブぃカルチャー70年「YouTubeの巻 その15」【2022年9月号 押井守 連載第50回】

今回からは、押井さんが最近やっと理解出来るようになったという「Vチューバ―」について語っていただきます。まずは、ポピュラーだという「東方系」についてのお話です。

取材・構成/渡辺麻紀

連載バックナンバーはこちらから

<新刊情報>
加筆&楽しい挿絵をプラスして待望の書籍化!
『押井守のサブぃカルチャー70年』が発売中!

詳しい書籍の内容はこちら!

押井守/著
『押井守のサブぃカルチャー70年』
発売中
発行:東京ニュース通信社
発売:講談社
カバーイラスト・挿絵:梅津泰臣
文・構成:渡辺麻紀

Vチューバーはすべてが虚構、虚構のカタマリなんです。

――前回は映画のチャンネルについて語って頂きました。その流れでいうと次はゲームですね?

うーん……というか今回は、最近やっと理解出来るようになったVチューバーについて話そうかな。「Vチューバー」って知ってる?

――聞いたことあるような気もする程度ですね。「V」というのはヴィジュアルから取っている?

違います。ヴァーチャルです。私はヴィデオかなと思っていたんだけどヴァーチャルのVだった。彼らの特徴は、自分の顔を出すのではなくアバターを使う。要するに、自分じゃないキャラクターを通し、チャンネルのなかで語る。声を変える人もいれば、自前の声でやる人もいる。個人でやる人もいれば、集団でやる人もいる。

――でも押井さん、ユーチューバーには自分の顔を出さない人もいますよね。たとえば、これまで紹介してくれた『Fラン大学就職チャンネル』の人とか。アバターを使うだけだと、そんなに差があるとは思えないんですが。

根本的にちがうんです。あの『Fラン』の人は顔を出してないし、声もボイスロイドを使っているけど、一応、概要欄には軽いプロフィールがあがっていて、自己アピールする場合もある。そういうのは基本、真実の場合が多い。一方、Vチューバ―になるとすべてが虚構。顔はアバターだし素性もウソ。虚構のカタマリです。

――なるほど。

Vチューバーのなかで多かったのは「東方系」と呼ばれるキャラクターを使用しているチャンネル。同人サークルが制作した東方Projectというゲームが由来で、このゲームには女の子のキャラクターがたくさんいる。それを無料で貸し出したから「東方系」と呼ばれるVチューバーが増えたんだよ。お金はいらないけど、使用するなら二次創作であることをちゃんと明記してね、ということで増えたんです。
わんさかいる女の子キャラクターのなかにも人気者がいて、彼女たちが対話するスタイルになっている。

ここから先は

2,024字 / 1画像
「TV Bros. note版」は、月額500円で最新のコンテンツ読み放題。さらに2020年5月以降の過去記事もアーカイブ配信中(※一部記事はアーカイブされない可能性があります)。独自の視点でとらえる特集はもちろん、本誌でおなじみの豪華連載陣のコラムに、テレビ・ラジオ・映画・音楽・アニメ・コミック・書籍……有名無名にかかわらず、数あるカルチャーを勝手な切り口でご紹介!

TV Bros.note版

¥500 / 月 初月無料

新規登録で初月無料!(キャリア決済を除く)】 テレビ雑誌「TV Bros.」の豪華連載陣によるコラムや様々な特集、テレビ、音楽、映画のレビ…

TV Bros.note版では毎月40以上のコラム、レビューを更新中!入会初月は無料です。(※キャリア決済は除く)