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鋭いコメントで注目される小原ブラスとは何者なのか!?

『とくダネ!』『アウト×デラックス』(フジテレビ系)、『5時に夢中!』(TOKYO MX)などにコメンテーターとして出演し、鋭い視点で世相を斬る姿が注目を集めている小原ブラス。ロシアで生まれ、5歳から兵庫県で育ち、関西弁を操るロシア人タレントという独自のパーソナリティーを活かし、YouTuberとしてもチャンネル登録者数13万人を超えるなど、各方面で人気を集めている。そんな彼にアフターコロナのメディアについて感じたこと、YouTubeの課題、ロシアの現状やプーチンへの本音、今後の自身の在り方などについて深掘りしてみた。

取材・文/高橋ダイスケ 撮影/高岡弘


テレビとYouTubeの向かう先

――コロナ禍からようやくテレビのスタジオ収録ができるようになってきました。最近はいかがですか?

まだリモート出演の番組もあれば、休止しているのもあって。スタジオ収録もアクリル板で仕切られたり、距離を保ったりして、隣の人の声が聞こえづらかったりするので、今でも全然慣れないです。

――『5時に夢中!』(以下、ゴジム)もそろそろスタジオに戻るのでは?

僕はまだ言われてないので、まだリモート出演が続きそうです。でも『ゴジム』は「明日、こうだから」みたいに直前で決まることも多いので、前日にならないと分からないです(笑)。リモート出演は苦手ですね……。
こういう状況になって思うのは、僕の場合、収録前のメークさんとの会話が大事だったということです。メークさんは自分の汚いところをすべてさらけ出してる人だし(笑)、信頼関係を築けちゃう。『とくダネ!』も『ゴジム』も出演前にメークさんと話すことで、頭の中で整理したり、反応によって伝え方を変えたりもします。僕はそういう時間がすごく大事だと再認識しました。
出演者の中にはあえて打ち合わせをしない人もいますよ。(『ゴジム』MCの)ふかわりょうさんもそのタイプで「同じことをもう1回言うと面白くなくなる」と言って、事前の打ち合わせはしないんです。僕はまだシミュレーションが必要で、周りの人と話したりできるあの空間は大事だったと思います。

――やはりスタジオ収録の方がやりやすいですか?

そうですね。でも、リモート収録も、いい面もありましたよ。最初は電話で音声だけの出演だったので、衣装もメークも必要なくて、寝転びながらやっていました(笑)。そうするとより素の自分が出せるんですよね。普段は相手に言えないことも、距離がある分、勇気を持って言える。
『ゴジム』のMC大橋未歩さんのことはもともとイジってましたけど、「ちょっと、二の腕そんなに出して大丈夫なの~?」とかね。もうね、大橋さんだって、最近は特にイジってほしいのが見え見えで「これ、ツッコミ待ちの状態やん!」っていうのが、リモートだとより冷静に見られるんですよ。インスタの写真とかもそうですよね(笑)。一応、番組が終わった後、「あんなこと言ってすみませんね」って言ったりするけど、大橋さんも「うわ、本当はそんなこと思ってないでしょう!」なんて返してくるから、こっちも「はい、思ってないですね~」って(笑)。
大橋さんとは番組に入ったのも2019年4月からの同期だし、もしかしたら、僕が大橋さんに乗せられてることもあるかもしれないけど(笑)。

――YouTubeなどの隆盛でテレビの在り方も変わっている?

YouTubeを始めるタレントさんが一気に増えましたよね。僕は以前からやっていましたが、コロナで番組がなくなっても、YouTubeをやっていることで救われたし、YouTubeがあるから発信できるという安心感あります。じゃあ、YouTubeだけやれればいいのかというと、決してそうではなくて。
僕が視聴者としてテレビに求めているのが“華”なんですね。タレントさんがリモートで家にいる空間から出演するのって親しみを感じる面もありますけど、その親しみって1、2回で飽きるし、そういう映像はYouTubeで見られるじゃないですか。それよりも、僕はキレイにメークして、ステキな衣装を着て、リラックスしていない、気合いの入ったタレントさんの姿を見るのが好きなんです。
セットも気づかないところを何回もスタッフさんが直してくれていたり、気の利いた小物を置いていたりしていて、僕は他のタレントがつまんない話してるときにセットの細かいところを見て「あれ、なんやろ?」って思ったりとかしてるんですけど、そういうのって、YouTubeだとあまりないですよね。

――テレビはやはりプロの仕事が見られるということですね。

あとは“公共の電波”という面が大きいですね。ネットでは、あそこの局は偏っていてどうのこうのとよく言われていますが、それってたくさんの人が監視している証拠じゃないですか。そういう意見がたくさんあるのが強いですよ。いくら偏っているとはいえ、一個人のYouTuberがやっている報道系の動画と比べると、圧倒的な中立性があります。もちろん、理想とされる中立性と比べたら偏りはあると思いますけど、YouTubeの方が圧倒的に偏っていて、個人でやっている分、間違ったことも言えてしまう。
僕もテレビで発言するときは「本当にこの発言をして大丈夫か」と立ち止まって考えることが多いです。バラエティー番組はYouTubeにパイを食われていると思いますが、報道はまだまだテレビが強い。それをもっと中立にして、みんなの信頼を集められるかがこれからのカギになると思います。

――信頼という面で『5時に夢中!』はいかがでしょう?

『ゴジム』は信頼がないことが信頼になっていますよね(笑)。出演しているみんなが適当なことを言っていて、視聴者もそもそも信頼あるコンテンツとして見ていない。だからこそ、それが強みになっているところがあって、僕自身はかなり気楽にやっていますね。
大橋さんに対してはもう何も気にせずに言いたいことが言えてますし、ふかわさんにもなんとかしてくれるという信頼感があります。ふかわさんって面白いと思うツボが普通じゃなくて、こっちが今のは面白くなかったかなと思った発言も面白く拾ってくれるんですよ。逆に渾身の面白ネタをサラッと流されたりすることもありますけど……。

――打ち合わせをしないふかわさん独特の感性がいいように作用しているようですね。

視聴者も「え、そこ拾うの?」みたいなことが多いと思うんですよ。あれはふかわさんしかできない。その点、大橋さんとは面白いと思うツボが同じなので、大橋さんの渾身の面白いことがふかわさんに拾ってもらえなくて、悲しい顔しているのをよく見ます。「今のはふかわさんが拾ってくれへんくて、すべったな~」って。ふかわさんと大橋さんなので、気楽にやれていますよ。『とくダネ!』はそうはいかないですけど。

――『とくダネ!』に出演するときは心境が違うんですか?

『ゴジム』も一応、報道番組と名乗っているけど“報道風”の番組で、『とくダネ!』は報道番組。『ゴジム』の視聴者は、僕のことをいつもの変なこと言う外国人だって分かって見てくれていると思うけど、『とくダネ!』は、なんとなく朝の時間に音だけでもつけておこうっていう人も多いですよね。当然、僕のことを知らない人も多いし、僕がゲイで、外国人なのは分かるけどロシア人とは分からない。それを分かっている前提で話すと、誤解が生まれてしまう。日本に来てまだ数年か、生まれも育ちも日本なのか、同じ外国人が言う言葉でも受け取られ方が違います。たとえばなにか日本の体制や文化について「おかしい」と言うのも、日本の人が言うのと、外国人が言うのとでは捉えられ方が全然違う。『とくダネ!』では完全に外国人として見られていることを想定して、前置きをすることが多いです。それが下手で自分でも何を言ってるのか分からなくなることもあるけど(笑)。

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期待に応えて変なことを言っていきたい

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