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【2023年12月号 大森靖子 連載】『大森靖子の超一方的完全勝利』

 メンヘラの女王様に君臨していると巷で定評のあった私が、「27超えたら体重あったほうが顔はまじでかわいい説」を月1㎏ずつ、計8キロ痩せてみて立証したというのに、メンヘラ地雷ちゃん界隈では「痩せることが1番の整形」だとか、不健康ガリガリ低体重だけが最強伝説崩れないのなぁぜなぁぜ? だよまったく! 若いのか? 若いのか! やめとけ!
 いい豚に育てたいんや私は私を! 精神が雌豚であればあるほどいい歌かけるって信じてるからね。
 私がアイドルという職業を目的を持ってわざと選んだ理由を「承認欲求」という覚えたての言葉を根拠と思い込み私の外見や年齢を中傷していたたくさんの人たちを調べると、毎度ほとんどが女性だったから、女の敵は女というあまりにハードに舵を切りすぎている定説にはめ込みたくないけど、女の人にしかブスとかわざわざ言われないというようなことをSNSで発言してプチ炎上したことある。その人たちに何か思うとかは全くないけど(当時は傷ついたけど、)それだけ「こうでなければ、かわいくない!!!」という自己洗脳は強度があるんだなーと実感した。そしてそれが“美”のものさしならば、周りに無理強いする必要はなくても、なんとなく自分の理想像と真逆のものが受け入れられなくなるのは仕方ないことなのかもしれない。
  逆に「魔法が使えないなら…とギター抱えて路上ライブをしながら、アイドルになりたいのになれなかった靖子ちゃんが好きだった」こっち系の好きでした宣言もたまにXでバズっていて見かける。まず、私はアイドルをはじめるまでアイドルになりたいと思ったことは一回もない。なぜなら、なりたいと思った瞬間なったから。それまでは、自分の世界や音楽との関わり方の手段として不要だったし、自分には不向きだった、時代がそうでなくなるだろう瞬間を察知したから、はじめただけだ。良くも悪くも、ぐんと日本のアイドル像全体を実像のほうに引き摺り落とした自覚があるし、(だって神様をこの身体までひきずりおとすのが私の思うロックだったから)アイドルのセカンドキャリアとしてのライブアイドル活動の先駆けもプロデュースした実績をつくれたと思っているし、そのへんこれでも世の中変えた自覚あるんだよ。ちなみに、ちなむと、弾き語りはずっと、弾き語りのライブをしていない月など存在しないレベルで活動し続けているけれど、私は路上ライブをしたことはまじでない。完全に弾き語りのイメージで話しすぎている。映画の撮影で数回、高円寺のロータリーを歩きながらギターを弾き唄ったことは15回くらいあるかも…私は声がでかいからすぐに警察に怒られる。学校でもどこでも、怒られるタイプの人と怒られないタイプの人間がいて、だいたい自分が悪いことしてないのに怒られるタイプの人間は、声がでかい。で、声がデカくても怒られない方法として思いついたのは、逃げることである。逃げて解散になると意味がないので、逃げ歩きながら歌い続けるのだ。その時代の私が好きだったというのだろうか? 人生で1番人間としてゴミだった時期だと思うんですよね。いたっけ、ファン…ほんとに…? つまり多分、私のことを本当に好きだったことは、悲しきかな、ないんだと思うんですよね。
 なら、なぜ、かわいくなれない大森靖子が好きだったと、わざわざ人に見える場所で言いたいのか?

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