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【無料記事】 TV Bros.総集編特大号 「ブロスは何を取り上げてきたのか?」 元編集長・小田倉智セレクト

※この記事は現在発売中の『TV Bros.6月号 総集編特大号』で掲載している記事を転載したものです。

元TVBros.編集長
小田倉智 セレクト

’96~’02年まで編集部に在籍し、’05~’10年まで編集長。忌野清志郎、爆笑問題、おおひなたごうなどを担当。

[玉置浩二 結婚記念フォトセッション&インタビュー

(2010年9月18日号)

●特集担当の前田が小田倉氏にインタビューする形式でお届けします。

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──小田倉さんの記憶に残ってる特集って何ですか?
 そりゃやっぱり「玉置浩二 結婚記念フォトセッション&インタビュー」でしょ。
──ブロスがマスコミで話題になった号ですもんね。なんであの特集をやることにしたんですか?
 創刊600号記念号だったし、自分が編集長として手掛ける最後の号でもあったから、とにかく「特別なことをやりたい」と思っていたわけ。それで、その年の7月に玉置さんと青田典子さんが結婚して、空港でキスをする場面がワイドショーで取り上げられていたのを思い出して。「結婚式は挙げていなかったから、ブロスで誌上結婚式をやったらいいんじゃないか」と思いついたのが、そもそもの発端。事務所に提案してみたら先方もノリノリで、話しているうちに玉置さんの自宅に伺って、表紙撮影とインタビューをやることになった。「ジョンとヨーコのベッド・イン」みたいなイメージで。正直、「え、本当にそこまでやっていいんですか!?」みたいな心境だった。
──で、僕が編集担当になって、吉田豪さんがインタビュアーになって。取材当日のことは今でも鮮烈に覚えてます。
 取材スタッフで玉置さんのマンションに行って、ロビーで待っていたら、マネージャーさんが降りてきて言ったんだよね。「すみません、今日は玉置の調子が悪いんで…」って。つまり取材はできないと。調子が悪いなら仕方ないけど、もともとスケジュールに余裕がなかったし、次の取材日も調子次第なので分からないというし、現地解散したものの、すごく心配だった。
──僕も同じ心境でした。豪さんだけ、「こんなこと、めったにあるもんじゃないですよ!」と興奮してて、「やっぱ肝座ってんな」と思いましたけど。それが昼過ぎの出来事で、事務所に戻って仕事してたら夕方にマネージャーさんから電話がかかってきたんですよ。「調子が戻りました。今日の19時に取材できませんか?」って。「えっ、今から!?」と思ったけど、これを逃したらいつ取材できるか分からないので、取材スタッフに緊急招集をかけて。正直、僕もこのへんからハイになってました。
 それで再びマンションのロビーに集まったら、カメラマンのホンゴさんとアートディレクターの土田さんが赤い顔してるんだよ。「もう今日はバラシだ」と思って二人で飲んでたらしくて。でも結果的にそれで二人ともハイな状態になっていたのが功を奏したのかもしれない。で、家にお邪魔したら、玉置さんもハイになってて。
──ドアを開けたらガウンを着た玉置さんが立ってて、バッと手を広げて「ようこそ!」って(笑)。
 すごいよね。現実感ないよね。しかも撮影のセッティングしてたら、玉置さんが「みんな! 撮影の前にワインで乾杯しよう!」と言ってきて、それで全員ワイングラスを手に輪になって「今日はがんばろう、乾杯!」って(笑)。赤ワイン1杯で酔ったわけじゃないけど、あのテンションに引きずられて自分もハイになってきた。
──撮影、めっちゃスムーズでしたよね。どんなリクエストにも応じてくれて。
 ホンゴさんも土田さんもすでに酔っていたから、「いいですね! サイコーーーッ!!」みたいなテンションになってて(笑)。
──部屋のステレオから「クラブかよ」みたいな爆音で音楽が流れてたのも、ハイテンションを後押ししてたと思いますよ。マイケル・ジャクソンの『デンジャラス』でした。
 撮影が終わったら、玉置さんが「今日はありがとう! 本当にありがとう!」とスタッフ全員にハグしてくれたんだよね。あれは感激だった。
──でもその直後に玉置さん、「今日はみんなありがとう! じゃあ俺、出かけるから!」って出て行こうとしたんですよね。これからインタビューだというのに。1日の中で何回サプライズが来るんだという。
 しかも出かける先が哀川翔さんの家だというし、こちらが引き止めるわけにもいかない(笑)。
──で、交渉して僕と豪さんだけ車に同乗して、車中インタビューをすることになって。行きと帰りでインタビューして、マンションに戻ったときも「今日はありがとう!」ってハグしてもらいました。
 取材は波乱含みだったけど、でもそれで終わりじゃなかったんだよな。特集の編集作業をしている時期に、玉置さんのドタキャン騒動が起こって、一気にマスコミを賑わせはじめて。それがピークに達したタイミングでこの号が発売されたんだよ。

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──発売当日は徹夜で作業してたんですけど、早朝にツイッターを見たら、豪さんがブロスの感想ツイートをじゅうたん爆撃のようにRTしてて。その後も1日中ずっとRTしてるんですよ。今はよくある手法ですけど、'10 年当時はああいう「分刻みでRTし続ける」みたいなやり方をする人はまずいなかった。SNS史的にも重要な出来事だったと思います。
 渦中の人を大々的に取り上げているということで、マスコミからの問い合わせもすごかった。30社以上から表紙や記事を使わせてくれと依頼が来て、ワイドショーでブロスが取り上げられたり、スポーツ新聞にブロスの表紙が載ったりもした。
──許諾の問い合わせだけじゃないですよ。僕は『とくダネ!』から30分にわたって取材されました。
 すごいよね。テレビを取り上げる雑誌なのに、雑誌がテレビや新聞に取り上げられて。そして「サンジャポ」から「編集部を取材させてほしい」とオファーが来たんだよね。最後の編集長命令として、前田さんと土館さんに出演をお願いして。
──「レポーターが編集部を訪ねたら、たまたま岡本夏生さんが居合わせていた」というすごい設定でした。
 また岡本夏生さんがめちゃくちゃハイテンションなんだよね。この特集に関わった人、みんなハイだった(笑)。ロケ終了後、現場立ち会いに来てた販売部の梁田が、岡本さんのブログ用の写真を撮影させられて、何度も何度もダメ出しされていたのも含めて、いい思い出になってる。


(了)


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