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会員2200万人突破! 国内最大級オンラインRPG「ファイナルファンタジーXIV」開発者が組むFFXIV公式バンド「THE PRIMALS」の”異常な”愛情と情熱に隠された秘密 おかえり祖堅! ライブレポート

エフエフ派も、ファイファン派も、ヒカセンの皆さまも こんばんは!

5月15日(土)、5月16日(日)の2日間にわたって開催されたファンイベント『ファイナルファンタジーXIV デジタルファンフェスティバル 2021』のクライマックスで行われたTHE PRIMALSのライブレポートをお届けします。

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撮影/築地 孝典 大谷ZUN純一朗 アンザイミキ 千葉 美珠々


■THE PRIMALS オフィシャルサイト

2013年のサービス開始以降、現在は累計プレイヤー数が2200万人(※日本・北米・欧州・中国・韓国の5リージョンの累計アカウント数。フリートライアル版のアカウントを含む。)を突破し、いまもなお全世界のゲームファンを魅了し続けているオンラインRPG『ファイナルファンタジーXIV』(以下、『FFXIV』)。『FFXIV ファンフェスティバル』(以下、ファンフェス)は、2014年から定期的に開催されている同作最大のファンイベントだ。4回目となる今回は、コロナの影響もあり世界中のプレイヤーが同時に参加できる初のオンライン形式での開催となった。

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そのイベント2日目を締め括ったのが、THE PRIMALSによるスペシャルライブだ。

THE PRIMALSは、『FFXIV』のサウンドディレクターである祖堅正慶(Vo&Gt)を中心に、GUNN(Gt)、イワイエイキチ(Ba)、たちばな哲也(Dr)、マイケル・クリストファー・コージ・フォックス(Vo/『FFXIV』ローカライズスーパーバイザー)によって結成された、『FFXIV』オフィシャルバンド。結成当初は公式アレンジアルバムへの参加や、ファンフェスでのパフォーマンスが主な活動だったが、プレイヤーからの熱望に応え、2018年には単独アルバムの発表と、Zeppツアーを開催。この日のライブも多くのプレイヤーを熱狂させていて、その興奮度合いは、めまぐるしい勢いで流れ続けるチャットのタイムラインが物語っていた(当日のライブは、たちばな哲也の代わりに、城戸紘志がサポートドラムを担当)。

『FFXIV』のマッチング待機画面から、ゲームに登場するキャラクター・アルバートの映像を経て、ライブは「貪欲」からスタート。重厚かつ緊迫感のあるバンドサウンドを高鳴らすと、そこへ原曲のボーカルを務めているアメリカ在住のシンガー・Jason Charles Millerの歌唱映像がクロスフェードされる。同じステージに立ってはいないものの、画面上では間違いなく共演しているように感じられる演出は、オンラインだからこそできるものといえるだろう。そんな興奮を「To the Edge」のずっしりとしたグルーブが高めていった。

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ロールプレイングゲームのBGMというと、シンフォニックで雄大なイメージを自然と思い浮かべることが多いだろう。もちろん『FFXIV』にも、「究極幻想」のような壮大な意匠が施されたものもあり、この日のライブではコージが黒いローブを纏って姿を現す演出で盛り上げていた。しかし、そもそも『FFXIV』のバトルシーンのBGMは、90年代に隆盛したデジタルロックやビッグビートを彷彿とさせる「輝ける蒼 ~希望の園エデン:覚醒編~」をはじめ、ロックサウンドを基調としたものも多い。そんな楽曲群をバンドアレンジすることによって、一定のリズムを分厚く刻み続ける硬質なロックサウンドでありながら まるでダンスミュージックのように気持ちよくリズムに乗れる仕上がりになっていることが、THE PRIMALSのサウンドの特徴だ。

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また、原曲のイメージに沿う形だけでなく、大胆なアレンジが施された楽曲もある。神々しいクワイアが組み込まれた「女神 ~女神ソフィア討滅戦~」は、ブルージーなミディアムナンバーにシフトチェンジ。ボーカルを担当するGUNNの歌声とも絶妙にマッチしていた。続けて披露された「目覚めの御使い ~ティターニア討滅戦~」は、3拍子が軽やかな印象を与える幻想的な楽曲なのだが、ちょっぴり甘酸っぱさのある4拍子のガレージロックに新解釈。前述のFINAL FANTASY XIV Stratocaster®を奏でる祖堅とGUNNの2人が交互にマイクを取りつつ、各パートのソロ回しも披露。

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最後に出番が回ってきた祖堅は、FFシリーズのバトル終了時に流れる「ファンファーレ」をギターで高鳴らし、視聴者を喜ばせていた。

今日のライブは、視聴者が楽しめるように「いろんなギミックを用意してきた」と祖堅が話していた通り、とにかく見せ場の多いステージになっていた。躍動感溢れるイワイのベースで幕を切るダンサブルなギターロック「ロングフォール ~異界遺構 シルクス・ツイニング~」では、ステージに4人のダンサーが登場。

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この曲は、同曲にあわせてプレイヤーが踊っているミーム動画に触発されたTHE PRIMALSが、逆にそれをカバーしてミュージックビデオに取り入れてしまったというユニークな経緯があるのだが、この日のダンサーを務めた全員が、なんと『FFXIV』に携わっている開発/運営スタッフ! ライブに向けてかなりの練習を積んできたそうだ。また、「過重圧殺! ~蛮神タイタン討滅戦~」では、地を揺るがすダイナミックなアンサンブルで攻め立てていると、ステージにプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹が登場。

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コージと激しくラップを掛け合い、視聴者の興奮を延々と煽り続けていた。

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衣装のブーツの買取を真剣に考えると話すみんなのヒーロー吉田P(画面右)

他にも、祖堅がトランペットを吹き鳴らした「メタル:ブルートジャスティスモード ~機工城アレキサンダー:律動編~」に、90年代のミクスチャーロックをアップデートしたかのようなアッパーなサウンドが身も心も揺さぶる「ライズ ~機工城アレキサンダー:天動編~」では、突如、演者が全員ストップ。ゲーム内に登場する「時間停止」の演出を組み込んだパフォーマンスを見せつける。

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そして、ダンスビートが生み出す多幸感が全身を突き抜けていく「ローカス ~機工城アレキサンダー:起動編~」で、ライブは終了……したかと思いきや、『FFXIV』の名シーン&名セリフを用いたアンコール演出から、「Shadowbringers」になだれ込むという、実にエモーショナルなエンディングとなった。

THE PRIMALSは、2021年11月23日(火)からサービス開始予定の拡張パッケージ『FINAL FANTASY XIV:暁月のフィナーレ』のメインテーマを担当することも決定している。彼らの音楽を未聴の方は、現在公開されている『暁月のフィナーレ』のトレーラーを視聴していただき、『FFXIV』はもちろん、その音楽に触れ、期待を高めて欲しい。

世界中で大ヒットしているオンラインゲームに国内、海外の人気ミュージシャンがヴァーチャルライブで参加するというケースは時折見る。ただ、THE PRIMALSの活動はそれと似たようで異なる。

知名度のあるミュージシャンが多数のプレイヤーが集まるゲームというプラットフォームで新しいファンを獲得しようとすることと、ゲームから生まれた音楽をバンドというゲームの外に存在する形にすることで現実世界に進出することはベクトルが逆だ。

そしてゲームから発生したバンドという出自があることが 2020年のPOPソングの潮流を追うだけではない THE PRIMALSの硬質で特殊な音楽性を特徴づけている。

祖堅正慶は話す。

「そもそもTHE PRIMALSって、普通のアーティストと違って、俺たちバンドメンバーが主役じゃないんですよ。“プレイヤーのゲーム体験そのもの”が主役であって、俺たちはそれを持ち上げるジャッキみたいなものだから。なので、演奏中にゲーム画面を出すと、ただ音楽を聴いているだけじゃなくて、自分のゲーム体験が自然と蘇ってくるし、喜怒哀楽も生まれてくる。そういったTHE PRIMALSの特徴を、今回のライブはうまく出せたんじゃないかなと思います。パンデミックが落ち着いたら、改めて早くみんなの前でライブがやりたいです!」。

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祖堅はバンドメンバーが主役でないと話すが、彼らはそれでもスターなのではないかと思う。なぜなら、ライブ当日、癌で闘病していたこと、そして、その寛解を公表した彼の元にはTwitterでトレンド入りするほど多くの「#WelcomeBackSoken 」(おかえり祖堅!)のメッセージが届いていたからだ。

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