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BEE-HIVE寮のフェアウェルパーティー【2023年7月号 Perfume 連載】『たちまち、語リンピックせん?』

現在放送中のフジテレビ系 水10ドラマ『ばらかもん』主題歌「Moon」が9月6日(水)、シングルとしてリリース決定! この夏もさまざまなフェスに出演し、多くの人々を魅了しているPerfumeの皆さん。

今回の『たちまち、語リンピックせん?』は、3人が広島から上京した2003年から4年間過ごしたBEE-HIVE寮のお話をお送りいたします。

取材・文/照山紅葉

◆過去の連載はこちらから

※BEE-HIVEについては、2021年に配信した【特別編】第1回BEE-HIVE同窓会 前後編の記事も合わせてお読みください。

【特別編】ついに開催!第1回BEE-HIVE同窓会(前編)

【特別編】ついに開催!第1回BEE-HIVE同窓会(後編)

教育と衣食住が満たされる場所を作らなきゃと思って、寮を作ったんですって(あ〜ちゃん)

かしゆか  私たちが上京する時にアミューズが新人の女性グループを集めて、“大きなミュージカルのような集団を作ろう”っていうのでできたのが“BEE-HIVE”で、同じ名前がついた女子寮を作ってくださったんです。それが気づいたらもう20年経っていて。今回内部の改装プラス、いったん寮としての役目を終えようかっていうことで、フェアウェルパーティーにお呼ばれして、みんなで行ってきました。

私たちが最初住んでた時は寮生でパンパンだったんです。15人とかいたんですけど、今は一人住んでる子がいるくらいで。なかなか寮に住む子ってのが少ないみたいで。そしたら寮母さんたちも20年間やってくれてたので、やっぱりお年も召してきてますし、一人のためだけにお仕事するのも、っていうので一旦区切りということで、今回そのパーティーが開催されて歴代の寮生が集まったんだよね。地方から来てくれてる子もいたりとか、今お母さんになってる人が集まったりとか。久しぶりの面々と再会しました。

あ〜ちゃん 面白かったね。「初期メンの」とか言って。

かしゆか  「いつ頃住んでました?」「いやいや、初期メンです」「えーっ! そっかー」みたいな(笑)。

のっち   最初2時間ぐらいご歓談タイムがあって、スタジオで当時の映像がずっと流れてて、ご飯とかもいっぱい出してくれてて。1階にリビングがあるんですけど、そこで寮父さん寮母さんといろいろお話して。最後の1時間がセレモニーでした。みんなでスタジオに集まってやる、ちゃんとした式。台本もあって。

あ~ちゃん BEE-HIVEのツアーで着てたTシャツを、当時のはもうないから映像を見てアートの担当の人がTシャツに描いて再現してくれて。

かしゆか  再現度が高すぎて、当時のTシャツかと思いました。えーっ、懐かしいと思っていたら「実はこれ描いていただいたんです」って。

あ〜ちゃん すげー!だったね。5分ぐらいで描いたとか言ってて、びっくりした。そんなセンスのある人がおるんじゃーって。

かしゆか  最初にその会のことを聞いた時は、寮生たちが集まって寮母さんにお疲れ様でしたって、リビングでおしゃべりする感じかなと思ってたら、結構しっかりしたもので。歴代のマネージャーたちも来たし、役員の方々もいらしてて。

あ〜ちゃん 会長(アミューズの創業者・大里洋吉代表取締役会長)も来てました。もともとBEE-HIVEは会長が始められたものなので。寮のシステムも、それこそ当時だと新しかったと思うんですけど、24時間ずっとカメラが回ってる部屋があって、それをネット配信でずっと見てくれてるファンの人がいて。

かしゆか  まだYouTubeとかが普及する前だよね。

あ〜ちゃん そうだよね。「ただいまでーす」。“……あっ、かしゆか帰ってきた!”とか、そういうふうに見てくれてる人がいる、ものすごい最先端を行く部屋があったりして。あれも私たちは結構楽しんでましたけどね。会長の目のつけどころ、めちゃいいなと思うんですけど、早すぎて誰にも理解されずに終了するっていう(笑)。

かしゆか  ホントだよね。いま人気の“練習生が頑張るドキュメンタリー”の先駆けだもんね。スタジオにもカメラが付いてて、言葉を発する部屋にもカメラが付いてて、切り替えもできて。

あ〜ちゃん 20年前にそれやってたから。

かしゆか  会長いつも早すぎるんです(笑)。

あ〜ちゃん 早すぎて誰にも理解されずに、お客さんまったく入らないまま「ダメだったかー」で終わる企画も結構多くて。ミュージカル『シカゴ』もそうだよね? BEE-HIVEでやった後、米倉涼子さんがブロードウェイに行かれたりして日本でも大人気の公演になって。で、その会長が奥様と一緒にセレモニーにいらして。セレモニーの挨拶で当時の話をしてくれたんですけど、最初「僕はもともと渡辺プロダクションというところにいまして。3人組の女の子をやってたんですよ」。えっ、そこから!?

のっち   あはははは!!

かしゆか  会長の歴史をまず(笑)。

あ〜ちゃん あなたの身の上話するん? いやいや! 主役は寮母さんと寮父さんだし、この建物だよ? 大丈夫? いける? みたいなことからまず始まって。自分の事務所(アミューズ)を始めて最初の頃は所属メンバーもサザンオールスターズさんとか男の人たちばっかりだったから、もっとバラエティに富んだアーティストに入ってもらおうということで新人発掘のためにアミューズ全国オーディションをやったと。そこまでで既に10分ぐらいしゃべってたから、ようやく来たぞ来たぞと思って。男女問わず才能を持ったすごい子たちがいっぱいいるから、その子たちをうちに所属させたい。地方にいる若い子たちを東京に集めるとしたら、ちゃんとした教育と衣食住が満たされる場所を作らなきゃダメだと思って、寮を作ったんですって。

かしゆか  ありがたいです。

あ〜ちゃん それがナベプロの話から必要だったかはちょっと分からないですけど(笑)。で、そのためには寮母さんが大事だからまず決めなきゃいけないってなって。そしたら会長の奥様が同じ学校のお友だちに、自分の子育てが落ち着いて、これから趣味に生きようかという人がいるから「ちょっとあなたやってみない?」という話になって。寮母さんも最初そんなこと私にはできないわよって言ったらしいんですけど、「でも、やってみないと分からないじゃない」ってことで、始めて20年。「難しかったら途中で断っていただいて結構なので」みたいなことで受けたらしいんですけど、そんなの断れないじゃないですか? 途中で断ったらこの子たちどうなるの?って。

かしゆか  「前日までにお返事いただければ大丈夫よ」みたいに言われたって。でもそれで前日に電話して、奥様がいなかった場合どうなるの?

のっち   断れない(笑)。

あ~ちゃん ていうところから始まった寮で私たちはBEE-HIVEのメンバーと出会ってるんです。全国からいくつものグループが集まって、その歌手軍団として『シカゴ』をやって、ツアーを回るってところから始まったんですけど、会長の話を聞いて、“あっ、なるほど。その中で私たちはピックしていただけたんだ”みたいな。そのいきさつを知らなかったから、寮ができることも予定があったからちょうどいいし拾ってもらえたのかなって思ってたけど、最初から私たちありきの寮だった話を聞いて嬉しくて。教育と、安全な場所と、ちゃんとした食事がとれることを大事にしないとってできた場所だっていうのも、本当に大切にしてもらえてたんだなって改めて感じました。地方から子供を若い時に手放して東京へ送リ出す親に安心してもらえる。そういう施設をって。私たちだけじゃなく親のことまで考えてくれてたんだって、すごく感動して。その会長の話が20分ぐらいあって。セレモニー自体は1時間ぐらいの予定だったんだけど、もう最初でそんないっちゃって。

のっち   ふふふ(笑)。

かしゆか  進行役の方もあたふたしてたよね(笑)。こんなに長い言葉をいただくなんてって。

のっち   5分ぐらいだと思ってたはず(笑)。

あ〜ちゃん 会長の会じゃないからって、みんなたぶん思ってたよね(笑)。でもそこで初めて聞けることが、自分たちにとってはすごくいい時間でした。そこから始まって、次に卒業生からの話があって。思い出をしゃべってくださいみたいな。会場に小上がりのステージが作ってあったんで、そのステージにひとりずつ登っていくんよね。

当時の私がぷくぷくと健康的だったのは寮父さん寮母さんお二人のおかげです(のっち)

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