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イベントに無頓着な私が子供を授かって


「私たちの結婚記念日を忘れるなんて……!」

ドラマや漫画で見るシーン。目に涙を浮かべながら訴える女性を見るたび、「私は言われる側だなあ」と思う自分がいる。


カップルや夫婦のイベントといえば、大きく分けて2つだろう。
クリスマスやバレンタインなどの季節のイベントと、誕生日・付き合った日・結婚記念日などの2人だけのイベント。

前者の季節性のイベントはまだいい。店や街の雰囲気などでイベントを意識せざる得ないため、忘れることはない。毎年なんとなーくお祝いをしている(普段の晩御飯よりちょっとリッチになる)

ただ2人だけのイベントは、誰かが教えてくれるわけではない。忘れることもしばしばある。
忘れないために結婚記念日は令和1年5月1日、いわゆる「令和婚」をしたのに、次の年にはすっかり忘れていた。5日後にお義父さんから「結婚記念日おめでとう」とお祝いされ、ようやく思い出した。

主人の誕生日も一度忘れたことがある。
「やけに主人が何か言いたげだな?」と首を傾げて、普段通り1日を過ごしていた。寝る前にようやく「俺、今日が誕生日なんだけど……」とジトリとした目で申告された。

付き合って1年目はサプライズ旅行とか、プレゼントを贈りあったりとか、きちんとお祝いしていた。ただ3年目くらいから、記念日のために計画を練ったり、準備を綿密にすることはなくなった。
中には1週間くらい経って思い出したイベントもある。

私がそんな性格のため「付き合って100日記念日♡」という友人のストーリーを見たときは、「マメすぎないか?!」と叫びそうになった。


なぜイベントに無頓着なのか


1.サプライズにリアクションできない

まずこれ。
主人は自分と違い、人付き合いがうまい。地元・高校・大学と数多くの友人がいる。
そこでの経験を生かしているのか、最初の方はサプライズをよくしてくれた。
行き先を告げずに雰囲気の良い旅館に連れて行ってくれたり、プロポーズには2人の思い出ムービーを作ってくれた。

一方で、サプライズをしたことも、されたことも、ほとんどない自分である。
友人は、(無理やりポジティブに言うなら)少数精鋭タイプ。グループ内で誰かを祝うときも、誰かのサプライズ企画に乗っかるだけである。

サプライズされたことも数回あるが、どれも「お、オーウ、ありがとう〜!!」みたいな反応しかできなかった。サプライズが苦手とか、そういうわけではない。気持ちは嬉しい。
ただサプライズされる前に、だいたい「サプライズの気配を感じる……」となり、「ちゃんとリアクションしなきゃ……!」という緊張に繋がり、最終的に引きつったリアクションしかできないだけである。不器用か。

主人も私の反応を見てか、今ではサプライズで祝うことはなくなった。
最後にサプライズでお祝いされたのは、花束を用意してくれた結婚式の時だ。

ただ後日聞いたのだが、「花嫁さん、絶対泣きますよ〜!」と笑顔で言うプランナーさんに対して、「いや、絶対に泣かないと思います」と断言したらしい。案の定、私は泣かなかった。反応が分かっていても、サプライズしようとしてくれる主人。こういう部分がリア充に繋がる道なのだなぁと聞いたときは思ったものだ。

2.お祝いのお金は貯金に回してほしい


「結婚3周年♡主人がホテルとレストランを予約してくれて、ダイヤモンドのネックレスをプレゼントしてくれました……♡」と友人の投稿を見て、第一に思ったのが「その金は共通口座に入れてほしい」だった。

何度も言うが、お祝いの気持ちは嬉しい。

ただデパコスもアクセサリーも全く欲しいとは思わないアラサーである。仕事は基本フルリモートだし、休日に遊ぶ友人もほとんどいないし、ネックレス外すの面倒だし……枯れすぎでは?

そして自分も働いている身である。欲しいものがあったら自分で買う。
さらに物をあまり増やしたくない主義である。元彼からプレゼントされたものも、付き合っている期間中にフリマアプリで何の罪悪感なく売ってしまった。

ダイヤのネックレスを私なんかにプレゼントするくらいなら、ローンの返済に充ててほしい。本気でそう思っている。

3.基本ネガティブ

私がイベントに無頓着な最大の要因はこれだろう。

凝ったお祝いされると「私なんかにそんな時間をかけなくても……」と喜びより、申し訳なさが勝ってしまう。
反対に自分が凝ったお祝い企画を考えると、「本当に喜んでもらえるだろうか」と相手の喜んだ顔より、引きつった顔が思い浮かんでしまう。

そんなことを繰り返していたら「イベントって面倒だな」という価値観が育ってしまった。さらに元々のズボラな性格も加わり、イベントの日程もスポーンと頭から抜けてしまう。

主人にたくさんの友人がいることは「すごい」とは思っているが、全く羨ましいと思わないのは、「大人数だとイベントをお祝いすることが多そう、私には無理だ」と分かりきっているからである。大人数と関係を保つリソースが、私には備わっていないのだ。


私たちのお祝いの仕方


「主人がイベントをお祝いするのが好きそうなのに、上手くやっていけるの?」と思われたかもしれない。

幸い?なことに、主人は「イベントをお祝いしたい!」というタイプではなく、「相手が喜ぶならお祝いしたい!」というタイプである。

驚いたのは、「友人の結婚式ムービー作成」という私からしたら金もらってもやりたくない仕事(直球すぎる)を、複数人から頼まれていた。「相手が喜んでくれるなら全然苦にならない」と言っていて、「マジか……」と愕然したことがある。

ちなみに自分は誰か友人に余興やムービーを頼むと、逆に頼まれる可能性があるため、結婚式の余興は全部自分が用意した。

(余談:SEという職業を生かして、プログラミングを絡めた余興にした。「余興を自分で考えて、自分で作るやつは初めて見た」と友人にツッコまれたが、あまり類を見ない余興だったからか、なかなか好評だった。)

「お祝いはしないし、されたくない」スタンスを意地でも貫いていたため、主人も凝ったお祝いをすることはなくなった。

今は誕生日にお互いが手料理を振る舞うくらいである。あとは地元の花屋で買った、小さなブーケを贈るくらいだ。これくらいのお祝いが、一番心地よい。


イベント無頓着な私が子供を授かって


結婚して約5年。
今月の2月はじめに子供を授かった。

妊娠中、出産後のことを調べるのは避けていた。
初産ということもあり「無事に産めるだろうか」と不安が募り、あまり考えないようにしていた。

出産を終えたあと、赤ん坊には、あらゆるイベントがあるのだと驚いた。

「お七夜」
生後7日目をお祝いする行事。医療制度が整っていなかった時代、この時期に亡くなる赤ん坊が多かったため、生後7日目をお祝いするのだとか。

「お宮参り」
男の子だったら生後31~32日目女の子だったら生後32~33日目にお祝いする行事。赤ん坊が無事に産まれたことを神様に報告し、今後の健康をお祈りする。

「お食い初め」
生後100日のお祝い。生涯食べ物に困らないようお祝いする行事。
お祝い膳を用意して、赤ん坊に食べさせる真似をする。


そのほかにも生後半年をお祝いする「ハーフバースデー」、女の子なら3/3・男の子なら5/5を祝う「端午の節句」などなど、盛りだくさんである。


そして撮影料も、お食い初めのお祝い膳も、大人顔負けの値段である。
調べた当初は「祝ったところで子供の記憶に残らないし、なんだかんだお金かかるし、やらなくてもいいかな〜」と思っていた。

そのあと退院して、家での子育てがはじまり、私の価値観が180度変わることになる。

イベント ちゃんと お祝いしたい……!!


散々「イベントには無頓着」と書き連ねていた私の言葉とは思えない。プライドがないのかとさえ思う(なんのプライド?)

子育てするうちに、「イベントをお祝いしたい欲」が急ピッチで育ち、花咲き始めたのだ。これには自分も驚いた。


1日ごとに成長する新生児


急にイベントをお祝いしたい欲が芽生えたのは、「自分の子供がかわいいから」という理由ではない。

いや、かわいいのは間違いないのだが、それよりも大きな理由があった。

赤ん坊は1日ごとに成長すると気づかされたから。これに尽きる。

なんなら午前中におっぱいが吸えてなかった息子が、午後には上手く吸えたりする。半日でめまぐるしい成長が見える時もある。

ほかにも、「体重が重くなった」とか「蹴る力が強くなった」など、毎日のように成長の証が感じられるのだ。主人と変化を言い合っては、「今日も成長している!」と驚いている。

そんな日々を過ごしていると、「形に残さなきゃ」と義務感のようなものが芽生え、最終的に「イベントをお祝いしたい」という欲求に繋がったように思う。

もちろん大人だって成長はする。
ただそれは長期的に見て「あの時に比べて、こんなことが出来るようになったな」と振り返って、ようやく実感するものだ。

たとえば私の27歳の誕生日も、28歳の誕生日も、大きく変化はなかった。
容姿・体重・身長……どれもそんなに変わらない。それぞれの誕生日の写真を並べても、「こっちが28歳の誕生日の時!」と即答できないだろう。

ただ赤ん坊は違う。

驚くスピードで変化し続け、世界に馴染もうとしている。

出産当日と比べ、お七夜の時には、飲むミルクの量が増え、おっぱいを吸う時間が長くなり、暗い場所でも泣かなくなっていた。

出産から約1ヶ月が経った頃には、体重が1キロほど増えるらしい。産まれたときに3キロだった赤ん坊が、1キロ増えるなんて信じられない。


ゆるくイベントを楽しんでいこう


「イベントをお祝いしたい!」と決意してから、主人と話し合い、「疲れない
程度にお祝いしよう」と決めた。

風習を大事にして、しっかりとお祝いすることは、ズボラな私には向いていない。

たとえば「お宮参り」は生後31日〜32日目に、親戚が集まってお祝いすることが多いらしい。しかし私たちは、もう少し後の日程でお祝いすることにした。

その時期になると、近くの神社で桜が満開になる。

カメラマンの出張サービスを使い、主人と息子の3人で、お宮参りをすることにした。美しい桜の下で、家族揃って撮影できたら、一生の思い出になるはずだ。

「お食い初め」も手作りする人もいるそうだが、「お食い初め」サービスを行っている料亭にお願いする予定だ。ずっと気になっていたお店なので、今から楽しみである。これも親戚は呼ばず、主人と息子の3人で祝うつもりだ。

「お金がかかる」と最初は思っていたが、今はそれ以上の喜びがある。息子は覚えていないだろうし、完全に親のエゴだなというのも分かっている。それでも楽しい。誰かのためにお祝いすることが楽しいだなんて、初めて知った。

そしてもう1つ決めたことがある。
それぞれのお祝いで写真を残し、私が感じたことを文章に残すこと。
目まぐるしい毎日の中では、きっと忘れてしまうと思うから。

あなたの成長に驚いたこと

あなたが産まれてきて、この上ない喜びを感じていること

いつか伝えられたら、私は嬉しい。




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妊娠・子育ての記録を残したブログです。




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