【出産レポ】無痛分娩で出産しました。
2月2日の昼過ぎ、3000グラム超えの男の子を出産しました。
出産当日の夜は、いわゆる「産後ハイ」になり中々寝付けませんでした。
初の出産という経験に対する興奮やアドレナリンみたいなのが湧き上がり、疲れているはずなのに目がギラギラ……最終的には「この経験を残さなきゃ!」とスマホを取り出し、書き連ね、気づいたら5000文字のレポを書いていました。寝ろよ。
自然陣痛から無痛分娩の出産までを書いたので、どなたかの参考になれば嬉しいです。
無痛分娩で良かったのか?
この記事に辿り着いた方は「無痛分娩っていいの?悪いの?」と気になる方が多いと思うので、結論からお伝えします。
私は自信を持ってイエス!と答えます。
私が思うメリット↓
・出産途中で主人と会話できた
→まさか出産途中で穏やかな会話ができると思わなかった。主人が来てくれて心強かったし、主人も「ずっと痛がっている姿を見るのはきっと辛かったから、無痛で良かった」と言ってくれた。
・痛みに対して精神的余裕がある
→体力の限り踏ん張れるし、指示も素直に聞ける。器具を入れての内診や会陰切開のときも怯えなくてよかった。
・出産の経過がよく分かる
→痛みがほとんどないため、赤ん坊の位置がなんとなく分かるのがよかった。このへんに頭あるねーと教えてもらったり、痛みが変化することによって「もうすぐ会える!」と頑張れた。
・出産後の余裕がある
→友人たちに出産報告をLINEした時に、私・主人・息子の3人の写真と一緒に送った。すると「元気!」とか「乱れてない!」と友人たちに驚かれた。たぶん分娩間近の痛みがなかったから、だいぶ残り体力に余裕があった。
デメリットとしては以下でしょうか。
無痛分娩は体力的な部分もそうですが、なにより精神的な面でメリットが大きかったです。
「出産=ひたすら痛い」という印象が、ガラリと変わりました。痛いは痛いのですが、「楽しい」とさえ感じることもありました。
2人目も恵まれたら無痛分娩で産みたい。
陣痛と戦う6時間
ここから出産レポです。
私の戦いがはじまったのは、予定日1週間前の夜中でした。
▼ 夜中1:00
便意のような痛みを感じて起きる。
トイレへ行くが何も出ず、諦めてベッドに横になる。しかし再び痛みを感じ、四つん這いになる。
トイレとベッドを往復し、3回ほど繰り返すと、主人が起きて「大丈夫?」と聞かれる。
まだ全然喋れるレベルの痛みだったため。頷く。が、なかなか引かない痛み。
▼ 夜中2:00
主人を起こすのも悪いし、横になれないのでリビングへ。
四つんばいより猫伸びのポーズの方が楽だと気づく。
手はのばさず、枕を掴みながら陣痛に耐える。
お尻の穴から痛みを逃がすイメージで、天高くあげるとだいぶ楽。
(腰に痛みがくるタイプの人はおすすめかも)
逆に寝転んだ姿勢で痛みは逃げなかった。なんならひどくなる。
猫伸びのポーズで痛みを逃し、痛みが消えたら、寝転んで体を休める。
「もしや陣痛?」
「でも子宮口硬いって言われたし……」
「陣痛かもと思っても朝には治ってたなぁ」
思考をぐるぐるさせながら、ひたすら痛みに耐える。
このあたりから陣痛タイマーをつけ始める。
▼ 5:00
真冬なのでまだ暗い空。
3時間耐えたので、病院に電話。がんばった私。
2つを伝えると「初産だし2時間様子見ましょう」とのこと。
軽く絶望し、バウムクーヘンを食べる。
「病院で知らん人と一緒に陣痛を耐えるよりは、家にいたほうが気が楽かも……」と無理やりポジティブ変換して、痛み逃しのポーズをとる。
ホットカーペットのありがたみが人生1感じた。
▼ 6:00
6時あたりになると、陣痛の合間に気絶するように眠るようになった。慣れってすごい(慣れなのか?)
主人が起きて、第一声。
「ずっとリビングにいたの?!」
いたよ。
陣痛タイマーで測ると、30秒ほどの誤差はあるが5分感覚に。痛みも明らかに強くなっていた。
▼ 7:00
再び病院に電話する。
ようやく「病院に来てください」と言われる。
主人に付き添われながら車へ。
時々来る陣痛は、アシストグリップを握りながら耐える。こんなにアシストグリップに感謝したことはない。
▼ 7:30
病院に到着。
この時点ですでに6時間くらい痛みと戦っている。さらに寝れていない。
ボロボロの状態だが、精いっぱいの元気をふりしぼって、助産師さんに挨拶した。すると「お!笑顔だしまだ時間かかるかもねー」「初産は子宮口が開かなくて、帰ることもあるから」と言われる。絶望する。
簡易的なPCR検査をするため、鼻に綿棒をツッコまれる。痛すぎて泣いた。
結果が出るまで車で待機15分。
コロナ陽性だったらどうしよう、何も考えてなかった。と一抹の不安が湧き上がるが、陣痛の痛みにかき消される
結果は陰性。ほっと一安心して病棟へ。
歩きながらも陣痛が来るため、時々うずくまりながら診察室へ。
「初産だし子宮口が開いてなかったら、一度帰るかもねー」と違う助産師さんにも再び言われる。
そして助産師さんの内診を受けると、驚いた表情で告げられた。
「4センチ。子宮も柔らかいね」
「良いときに来たねー!」
あれよこれよと分娩準備へ
そこから分娩台の上で、しばらく陣痛との戦い。主人には「一旦家帰って大丈夫」と連絡。
NST、点滴、血圧計、酸素濃度、心電図を装着。コードだらけになる体。
▼ 9:30
院長が診断する。カルテを見ながら言う。
「あれ、前の診断のときは子宮口が硬かったのにねー」
「なんなら予定日超えるって言われてました」と言いたいが、陣痛の痛みで言えずに終わった。
そして内診。院長も驚いた顔に。
「6センチになってる」
助産師さんが「本当ですか?」と疑うように言い、内診する。院長が信用されてない。すぐに「わ、本当だ!」と驚いたように言う。
「だろ?」と、なぜかドヤ顔の院長。言葉を続ける。
「いやすごい!自然にここまで開くのが大変なんだよー」
膝を軽く叩かれる私。
はははと笑いに包まれる分娩室。
私も笑うけど我に返る。
いや6センチってそこそこひらいてません?!
麻酔の同意書を書いてない問題
分娩時に知ったのだが、38週の健診時に子宮口が硬すぎて、無痛分娩は無理かもと思われてたっぽい。まじか。
無痛分娩するにしても、予定日を超えて、陣痛促進剤を打たなきゃダメだと判断されていたそう。
そのため麻酔の同意書を書いていない問題が発生。
陣痛がおさまってる合間に説明受けてサイン。
「来たのが夜中だったり、日曜だったら無痛分娩はできなかったからね〜良かったよ〜」
のんびりと院長は言う。
陣痛がきたのは夜中だけど、分娩台にあがったのは朝。
色々とタイミングが良かったんだなとお腹の息子に感謝を捧げる。
麻酔を注入していく
分娩台にあぐらをかき、麻酔を注入していく。
背中に針を入れるとき痛いかなーとビビっていたが、全く感じなかった。
テスト麻酔を注入され「苦い味がしないか?」「足の付根が痺れてないか?」と確認されるが、特に異常はないことを伝える。そのあと、テープで麻酔を固定され、寝かせられる。
だいぶ陣痛も強くなってきた。はやく麻酔いれてほしい。
しかしここから30分くらい麻酔の準備。
急な分娩だったため、準備に時間がかかるそう。
その間に痛みのレベルについて説明を受ける。
痛みのレベルがざっくばらんすぎないか?と思いつつ、「今は5くらいの痛みです」と答える。
ひたすら陣痛に耐える。
マスクをしてなきゃいけないのが地味に辛い。助産師さんの目を盗んで時々外しながら息を吐く。
30分ほど耐え切って、ようやく麻酔の注入。3回に分けて入れていく。
脊髄に冷たい感触がして、味わったことのない感覚にヒエェとなる。
そのあと陣痛促進剤の点滴。
(麻酔が効くと、陣痛が弱くなるため)
この点滴をした瞬間が、たぶん最大の痛みだった。
腰の痛みはないが、下腹部に猛烈な痛み。痛みの波がどんどん襲ってきて流石に呼吸が乱れた。「痛いです!7くらいです!」と訴える。
強めの麻酔の追加される。脂汗をかきながら耐えていく。
そのあと保冷剤を使って麻酔が効いているかの確認。胸と太もも裏に保冷剤をあてられると、太もも裏はほとんど冷たさを感じない。
しかし腹に当てられると、冷たい。そして容赦なく襲ってくる陣痛に痛みを訴える。
強めの麻酔が効いていないことに、助産師さんが首を傾げた。
再び内診し、驚いてる。本日3回目のびっくり顔。
「9センチ開いてるね」
どうやらお産スピードがはやすぎて、麻酔の効きが追いついていないらしい。
主人を呼ぶ
▼ 11:00
強めの麻酔がきいてきたのか、だんだん痛みはひいていく。
生理1日目くらいの痛みまでおさまる。とりあえず一安心。
ここで主人を呼ぶ。
「全開になりそうですー」みたいな掛け声があって、院長の超音波検査。
どうやら赤ん坊の頭の向きがちょっと悪いらしい。体を左向きにしてと指示される。
助産師さんがお産を進めるため、膣の中に指を入れ、卵膜を破る。ぱちんと小さな音が響いた。これが破水かーと変な感動が湧き上がる。麻酔が効いてるからか、特に水の感触はなかった。
ここで胎児の心音が乱れて焦る。卵膜を破ったあとはよくあることらしい。
私に酸素マスクを装着。そして子宮口が全開。
助産師さんが慌ただしく、テキパキと動いていく。
▼ 11:30
主人が到着。
主人が入ってきて安心したのと同時に、まさかのフェイスシールド姿に笑ってしまう。
体を左向きにし、陣痛が来るたびに股に力を入れる。踏ん張り方が合ってるのか分からず、「お腹に力を入れる感じで合ってます?」と助産師さんに聞く。彼女は手を止めて、にこやかに言った。
「そうねー3ヶ月くらい溜め込んだウンコを出す感じ!」
「便秘気味だったんで任せてください」と冗談言えるくらいの余裕がある。麻酔すごい。
若干の痛みはありつつも、全然我慢できる程度。
お腹の張りが去ったときは「だいぶ子宮口開くの早かったねー」「仕事大丈夫そう?」など、主人と他愛のない話をする。
「出産中だけど、こんな穏やかで良いのか?」と逆に混乱する。
途中で助産師さんが「院長が麻酔を打ちたくてウロウロしてる」と冗談か本気か分からないことを言ってきて、主人と笑う。マッドサイエンティストかな?
産まれる瞬間
だんだんお尻側に痛みが移ってきた。
報告すると両足を開き、台にのせて、踏ん張るように指示される。
腟から人差し指の第一関節分のところに、赤ん坊の頭があるらしい。いつの間に。
「股に入った指を押し出すように」と言われたが中々うまくいかない。
息を吸って止めて、腹の方を見て、吐きながら押し出すらしい。
しかし上手くいかないため、違うやり方に変更。
太ももを抱えるようにして、自分の方に引き寄せて踏ん張る方法。これがかなり合っていた。
「うまいようまいよー!すごいよー!上手だよー!!」
あんなに褒められたのは人生初だ。しかも痛みがないためいくらでも踏ん張れてしまう。
一度踏ん張りすぎたのか、頭が半分くらい一気に外へ。
「おおっと!!」とすかさず助産師さんのナイスキャッチ。
そして次の踏ん張りで頭が全部でた。
ずるりとした感触が股から飛び出る。
お腹が一気に軽くなる。
わ、わ、わ、でたでたでた!と放心して5秒後、大きな産声があがった。
2人家族が、3人家族になった瞬間だった。
ぶわっとあふれる涙。すごい、ちゃんと命がお腹にいた。
主人の喜ぶ声が聞こえてきて、無言でこくこくと頷く。
10ヶ月ずっと一緒にいた存在は今、一人の人間としてこの世に誕生した。
泣いている赤ん坊を抱くと、ずっしりとした重みと温かさ。羊水の中にいたから、皮膚がしわくちゃで、糸のように細い髪が額に張りついている。精いっぱい息を吸い込もうと、大声で泣いている。すごい生きてる。エコー上でしか知らなかった存在が、目の前で生きてる。
はじめての抱っこ
感動で半ば呆然としながら、一度赤ん坊を預ける。
横で体重や身長を測定されている息子。
彼を横目に見ながら、いつの間にか切られてた会陰を縫う処置を受ける。麻酔のおかげで特に痛みはなし。
途中で「本陣痛から出産まで9時間ですね。初産にしては早い方ですよ」とニコニコしながら言われ、「これが……早い方……?!」とビビり散らかす。
処置が終わり、私・主人・息子の3人で写真撮影
あんな大きな声で泣いていたのに!と思うほど、おとなしく抱かれている。
助産師さんが息子に私のおっぱいを吸わせようとするが、一向に吸わない。諦めてパジャマのボタンを閉めると、自分の小さな指を吸いはじめた。
おっぱいは吸わないのに、自分の指は吸うんかい!とツッコミながらも、ちゅぱちゅぱする姿さえ愛おしい。
胸の上に確かに感じる温かい存在。
目頭が再び熱くなる。
命を生み出した自分すごい。
そしてあの狭い産道を通ってきた息子すごい。
命を繋いだ胎盤を見せてもらう
バースプランに「胎盤を見てみたい」と書いていたので、見せてもらった。
思ったより大きい!というのが第一印象。
なんかグロいな……!が次に沸いた感想だった。
助産師さんの両手に広げられた胎盤。巨大なレバーのスライムって感じだった。
ここから息子に血液や栄養が渡っていたんだよなぁ。と感慨深くなる。
10ヶ月、息子と繋ぎ止めてくれてありがとう。
出産後、ボロボロの体
息子が出てきた時の頭の位置がちょっと悪く、腟内が傷ついたそう。
出血多量のため、明日再検査となった。
出産後4時間、分娩台で安静になり、車椅子で部屋に運んでもらう。
今日はベッドから一歩も動いちゃだめと念押しされる。尿をカテーテルで自動採取し、点滴と一晩を共にする。
これいいな。頻尿で寝れなくなることもないじゃん!(恥じらいがない)
……ここまで余裕ぶっこいているが、出血量900mlと知った時は愕然とした。
(後日分かった)
1リットルの涙ならぬ、1リットルの血液が出産によって消費された。さらに胎盤も剥がれかかってたらしく、タイミングが悪ければ早期剥離になっていたそう。
麻酔で痛みも感じず、割と元気だったが、説明を受けてゾッとした。
出産は命がけなんだと改めて思い知らされた瞬間だった。
出産当日の夜
最初にも書いたが産後ハイもあって中々寝つけず。
出産はもちろん、車椅子、点滴、局部麻酔、尿道カテーテル……人生初めてのことばかりで、経験値爆上がりである。
点滴をしてるため寝返りも出来ず、真っ暗な天井を見つめてると自然と涙が出てきた。
廊下から聞こえる赤ちゃんの泣き声や、夜勤で働く助産師さんの声に感謝してボロボロ泣く。
妊娠中使っていたアプリを開き、「産まれたよ!」ボタンを押したあとに流れるメッセージにボロボロ泣く。
家族や友人、SNSに出産報告をして、お祝いメッセージをもらってはボロボロ泣く。
そして主人が撮ってくれた我が子の写真と、産まれた瞬間の小さく温かい命を思い出してはボロボロ泣いた。
出産を支えてくれた人たちに、最大の感謝を
以上が出産当日に書いた出産レポでした。
思いの丈をひたすら書き連ねていたため、1週間ほど経った頃に推敲したのですが、記憶が曖昧になっていることに気づきました。
あんな衝撃的な経験だったのに、人間って忘れるもんなんだなぁ……。
出産当日は体を休めるべきですが、忘れっぽい自分のことを考えると、記憶が鮮明なうちに書き残しておいて良かったと思いました。
この記事を推敲していて感じたのは、出産はたくさんのサポートがあってこそ成り立つものだということ。
出産中ずっと励ましてくれた主人・妊婦健診や麻酔注入など私の出産に携わってくださった院長・健診や分娩の際にきめ細やかなサポートや声かけをしてくださった助産師さん、誰1人欠けても私は出産できなかった。本当にありがとうございます。
そして息子へ
10ヶ月お腹にいた命が、狭い産道を通って、外の世界に飛び出して、産声をあげたあの時、私は世界で一番幸せでした。涙があふれて止まらなかった。
生まれてきてくれて本当にありがとう。
***
出産後、分娩台に横になっていた時のこと。
「おいしいわよ〜」と助産師さんが持ってきてくれたのは一杯の水。
一気に飲み干した水は、出産でくたくたになった体に沁み込むようだった。
おつかれ、自分。と少しだけまた泣いた。
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