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【詩の森】655 日本人のつくりかた

日本人のつくりかた
 
アメリカ人なら
「やあトム、ところで君はどう思うんだい?」
としつこく聞かれることだろう
そうすれば誰だって
自分の意見を持たざるを得ないだろう
それがかの国で生きる術だからだ
 
人は社会によって育てられる
その社会の規範を受け入れ
その社会の価値観に順応していくのだ
子供たちにとっては地域社会が
とりわけ家庭と学校が
彼らを育てる場所になるだろう
 
日本の子供たちにとって
親の権威は絶大である
保護者であると同時に生殺与奪権を
握っているからだ
それを子供たちは本能的に
察知しているのではないだろうか
 
学校に上がるとき親から
「先生のいうことをよく聞きなさい」
といわれれば
子供たちは素直にそれに従うだろう
それは親から先生への権限移譲である
親も先生もいうことは変わらない
 
大人たちが権威主義なら
子供たちも権威主義に染まるだろう
アメリカ人も日本人も社会がつくっている
そこに貫徹する為政者の意図―――
日本と韓国と中国そして世界
教える史実は必ずしも同じではない
 
日本の憲法は
個人は等しく価値があると認めている
人々が水平に並んでいるのだ
しかし
権威主義の社会は人を縦に並べる
それは差別の構造そのものだろう
 
この国が
いじめを克服しようとしないのは
差別を容認しているからだ
非正規雇用の法律をつくったのも
差別の国だからだ
それでいいのか悪いのか
僕らは憲法を踏み躙っている―――
 
2024.6.14
 

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