【詩の森】574 フェードイン・フェードアウトⅡ
フェードイン・フェードアウトⅡ
一方が優勢になると
他方は劣勢となって
しだいに消えていくコトバがある
フェードイン
フェードアウト―――
新自由主義が喧伝されて
はや40年
自己責任が叫ばれると
政治責任というコトバはいつしか
聞かれなくなくなった
自己責任―――
不思議なコトバである
責任とは責や科に対して
誰かが負うもので責任者といえば
普通は一人である
一方自己責任はどうだろう
一つ一つの事案に対して
その責任を問うのではなく
はなから責任者は自分だと
決めつけている
新しい自由を得た
1%の資本家がグローバルに稼ぎまくり
99%の市民は
自己責任の荒野に
取り残されてきたのだ
2011年死の灰は
放射性プルームと呼び換えられた
プルームとは羽毛のように広がる煙のことらしい
そして忖度というコトバは
指示者Xの存在を永遠に不問に付した
時速10万kmで疾駆する
宇宙船地球号
奇跡のようなこの星の船に
乗り合わすヒト
降りるヒト
フェードイン・フェードアウト
ヒトもコトバも―――
2023.12.27