静かな生活の手記〜Washed Outの新譜を聴きながら

※このブログは2024年6月28日金曜日の夜に投稿される予定でしたが、筆者が本稿で取り上げるWashed Outの新譜にうっとりと聴き入ってしまった為、投稿が大幅に遅れました。

外は雨。

5日間のウィークデイを無事に働き通せたことにほっとしている。

簡単な夕食を済ませ、ベッドの上に大の字になりながら、スマートフォンをタップしこの文章を綴っている。
同時に別の音楽アプリから、Washed Outの新譜、Notes from a Quiet Lifeを流しながら。

しみじみと良い時間だなと思う。

Notes from a Quiet Life
「静かな生活の手記」とでも、訳せばいいのだろうか。

チルウェイヴのパイオニア=アーネスト・グリーンこと、Washed Outの5枚目のオリジナルアルバムはかつてのリバーブを取っ払って、簡素なテクノサウンドの上でふわ~っとした、あの声で歌っている。

というか、アルバムごとにサウンドに振り幅がある人なのだ、アーネスト・グリーンは。
ハウスに挑戦したアルバムも過去作にあるし、いつまでも、チルウェイヴなんてタグを付けていては彼の音楽の本質を捉えきれないだろう。
そうは思ってはいたが、今作のリバーブのリの字もない、ベタッとしたキックには驚かされた。
いや、正確にいえば驚いてはいない。
へえ、と思っただけだ。

なんというか、「普通」を音にしたような作品だと思う。
ロウでもハイでもない気持ち。
そんな気持ちで過ごす生活に鳴っている音。
それがこの作品の通常低音なんだろうな。

彼の音楽のカジュアルなファンとして思うのが、このような作品に、5枚目のオリジナルアルバムにして、辿り着けたのが素晴らしいと思う。
過剰に逃避的なドリーミーサウンドから、地に足の着いたリラクシンなテクノサウンドへ。
何事も継続なのだ。

そして、自分のことで恐縮だが、雇用先の勤続年数がある程度経った。
ここまで働き続けた道のりはけして、平坦なものではなかった。
未だ何も成し遂げてはいないが、一週間を振り返り自分の働きぶりを反省する余裕は持てるようなった。
そして、仕事に対して過剰なガッツを燃やすのではなく、淡々と手を動かし納品するという業務の型のようなものを習得することが出来た。

素晴らしい音楽を作るミュージシャンと一介の会社員の自分を比較するのはてんでお門違いだとは思うが、やはり、ある程度の年月を費やし鍛錬を継続することで理解できること、習得できることがあるのは間違いないと思う。

おっと、話が自己啓発的になってしまった。
何はともあれ自分はこの「簡素なテクノアルバム」もしくは、「平穏な暮らしのBGM」をこれから何度も愛聴することになるだろう。

今日のような五日間の勤労を安堵し心を休めるための儀式として。

心に平穏が満ち足りて、少しばかり退屈な時のBGMとして。



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