見出し画像

親父の日記によると、おれの義叔父にあたる人が列車に轢かれてバラバラになり、干からびた肉片と化していたらしい

※スキ(ハートボタン)を押すと「インターネットあるある占い」が表示されるように設定してみました。是非試してみてください。  

◇ここから本文◇

ひょんなことから親父の日記を見つけてしまい、あまり褒められたことではないがコッソリ読み耽ってしまった。大して面白いことは書かれていなかったが、その筆致は丁寧かつ知性を感じさせるものであった。

息子のおれが言うことではないかも知れないが、もともと親父は神戸大から資生堂というバリバリのインテリエリートであり、その経歴は伊達ではなかったようだ。とはいえ、その後脱サラに失敗し自己破産の憂き目に遭うのだが。

ひるがえって、おれはいわゆる没落貴族の息子であり、もちろん親父よりも遥かに出来が悪い。アタマもカラダもである。

親父は学生時代、体操部に所属し鉄棒競技にて大車輪をキメるマッチョでもあったのだ。一方おれはヒョロガリ帰宅部の地元就職組である。なんだか書いてて嫌になってきた。

その日記には昭和57年、おれが三歳の頃に親父の義兄、つまりおれの義理の叔父に当たる人物が線路内で列車に轢かれて事故死したことが書かれていた。そんな話は親父の口から一度も聞いたことがない。

それもそのはずというべきか轢死現場というものはやはり悲惨であり、事故跡は鉄道関係者に丁寧に整理されていたにも関わらず、親父はいち早く義兄の一部らしき干からびた肉片を

ここから先は

1,323字

¥ 290

お酒を飲みます