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構造デザインの講義【トピック7:基本構造のデザインを科学する】第2講:骨組の力学とフォルムの可能性

建物のフォルムを決める、骨組と力学の関係とは.

東京理科大学・工学部建築学科、講義「建築構造デザイン」の教材(一部)です



近現代の建築構造物の骨組には、いろいろな形状・フォルムがあります

古代より、人類は、身の回りの自然素材を使って建造物を作ってきました。
近代に入り、鉄鋼材料の登場によって、大空間建築やスカイスクレーパー・超高層建築が建設されるようになりました。

東京駅周辺の超高層ビル群は、都市の空間と緑を適度に融合し、シンボリックな建物として表現される

ミース・ファン・デル・ローエによるレイクショアドライブ・アパートメント(1951年)を皮切りに、鉄骨を使った、線が象徴的なスチール・デザインの高層建築が、街を彩るようになりました。
1900年代中頃、スカイスクレーパーの時代が幕をあけました。

骨組による超高層ビルの構造骨組は、整然さによるファサードデザインを見ることができる
柱と梁によるラーメン(rahmen)は、頑強さとともに、開いた印象をもたらす
斜材のブレースを用いた骨組をファサードに表すことで、様々な表情を見せる
細身の鉄骨の骨組と、その他の材料を組み合わせた比較表現により、空間とファサードは多様な表情を見せることができる
コンクリート系の骨組にも関わらず、伝統的木造の軒の深い表現を実現した香川県庁舎

建物の構造骨組は、地震や風などの自然外力によって変形します。
これにより、柱や梁には曲げが作用し、変形します。

曲げが作用すると、断面内には引張と圧縮、そしてせん断が作用します。
鉄骨は比重の関係から板要素で構成されるため、圧縮により局部的に変形(座屈)が発生します。
コンクリートは、引張やせん断によりひび割れが生じます。
曲げは、建築部材にとって致命的になることがあります。

地震による地動加速度により、地面と建物の相対的運動によって慣性力がもたらされる
ラーメン骨組の柱や梁に作用する力は、曲げが支配的となる
材料力学の原理により、応力と変形を計算することができる

モード学園・コクーンタワー(西新宿)

モード学園・コクーンタワーは、高さ203m、服飾を想起させる「繭」=cocoonの特徴的なフォルムの超高層建物です。

モード学園・コクーンタワー、繭=cocoonをイメージした曲面のフォルムは、トラスで構成されている

インナーコアと外周部のフレームによって、構造体が構成されています。
外周フレームは、斜材による格子が組まれ、ダイアゴナル・フレームと呼ばれています。

ダイアゴナルフレームのユニットはトラスで支えられている

モード学園・スパイラルタワー(名古屋)

モード学園・スパイラルタワーは、高さ170m、外周フレームがねじれた、いわゆる、スパイラルのフォルムが特徴的な超高層建物です。

センターコアのインナーチューブと、3つのダイアゴナルフレームによって構成されています。
最上部にTMDが設けられた制振構造です。

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