日本語教師 コミュ力と学力

 春休みを利用したオンライン日本語教師は、残念ながら期間延長とはならず、最終日を迎えた。
 私の教え方が悪かったのか、オンライン授業が慣れず支える棒がブレブレだったのが悪かったのか、中国語が求めるレベルに達していなかったのか、心当たりがありまくるなか、足取り重く委託先から指定された最終日限定のオフライン、つまり教室で授業を実施しに向かった。

 なんとなくぎこちない気持ちになりながら、折角の時間を有意義に過ごすため、彼の好きな事を話させる事にした。私をみて戸惑われたものの(どうやら彼にも最終日オフライン授業とは言われてなかったらしい)相変わらず礼儀正しい。かれは中学2年生で、2年も日本の学校に行っていたが日本語のレベルが小4程度で、中国に赴任している父親が成績に驚いて受講を決めた。礼儀正しいが故に彼は周囲に好かれ、登校拒否にもならずサッカーの友達も出来、学校には順応していたのだ。今教えている発達障害の子供の逆パターンだとつくづく思う。


折角なので彼の好きな教科の話をさせた。普段授業を従順に受講している彼から話しをするのは初めてだった。彼は社会が好き、それも歴史で人物を見るのが好きなようだ。彼は始皇帝を好意的にとらえており、中国では始皇帝は怖がられているが、彼は中国を統一した事が素晴らしいと評価していた。日本では家康を評していて、やはり統一することに価値を置いている。私が信長をどう思うか振ってみると信長も凄いと合わせてくれる、これもコミュ力だよなあ、これがあれば学力など必要う無いんじゃとさえ思えてしまう。

そして自分なりの意見(彼は感想という言葉を使った)を言えて心が開かれたのであろう、実は自分は中国では日本を悪く思っていた事、でも日本に来たら気持ちが変わった、中国は情報が統制されているのだ、との事。
帰り際12才の彼の背中が大きく見えた。


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