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失職の方が得職よりつらい~ワタシが鬱になりまして

 人生万事塞翁が馬、とはいうものの、やはり失職はつらい。それがアルバイトであったとしても。私は今月末でリモートの日本語教師を終わることとなった。知り合いから「うちで雇った高度技能人材がまったく日本語が読めないんだ。なんとかしてくれ!とりあえず1年時間を与えることにした」とフリーには破格な期限とお代を貰っていたのに。

その高度技能人材は日本の大学院を英語で単位を取って卒業していた。入社して1年になるが、前後左右、消しゴムすら分からない状況らしい。

 「じゃ、電車の乗り継ぎはどうやって?」

「GOOGlE MAP」

「.......。」

まあ、私でも旅行の時はGOOGLEMAPで済ませるであろう。しかし、7年も住んでそれは。。

しかし、真の弊害は、「日本語を使わずとも日本で生活し、人間と交流できる」すべを身に着けてしまったことだ。かれの通った大学は、なまじっか名門大学院だったので、察するに皆が英語で彼と話したのであろう。彼は大使館の駐在員のように、英語を使い続け、英語の話せる彼女と付き合い、日本は英語の通じる国と理解してしまったのだ。

理由は分かる。まずリモートから始めてしまった。断っておくが、決してリモートが悪いわけではない。その場で相手に適切な教材を送付できる。対面だと翌週まで待たなければならない。しかし学ぶ環境、そして相手の状を知るには(今の私には)1度は対面で会う必要があった。

 彼は入門の日本語、ひらがなすら読めていなかった、つまりアルファベットで日本語を読んでいたのだ。それに最初から気が付いていれば、「あいうえお」からはじめたのだが、入門のテキストはひらがなとアルファベットが併記され、かれはアルファベットのみを読み上げていたのだ。これで数か月遅れた。

これの対応は、目線がどこを追っているか、もう一つのスマホを使う、等々手段が建てられたであろう。

そして、中だるみがあった。

相手は初期の頃は社長に尻を叩かれ焦っていた。「漢字をどれだけ覚えればいいんですか?小学校の漢字ドリルなどどうか?」と自ら提案して焦っていた。私はそれを鎮めることに腐心した。しかしながら人は慢心する生き物である。実力は大体分かってきたのだからざっくりとしたロードマップを作製するべきだったのだ。

そしてかれは入門~初級を一気に駆け抜けたあと停滞した。途中まずいと思い、かれの趣味に関する日本語の動画を送ったり、漢字の成り立ちのビデオを送ったが、看ている気配はゼロ。

そして私も慢心した。コロナ禍で鬱も手伝ったが、言い訳にはできない。教師の熱量も生徒に反映する。

段々と、彼は授業に遅れてくるようになった。仕事が忙しい、と言っていたが、楽しくないからだ。興味を引くような授業でもなかったのだろう。テキストがビジネスの現場のものを選んだが、もっと興味のひく話し方だったほうがよかったかもしれない。あるいは検定試験のテキストならば、目に見えてわかるのでモチベーションも上がる。とうとうかれは当日「仕事のデーターがまとめられない」という理由でキャンセルを出してきた。2回目は社長にさすがに報告した。データーがまとめられないのは事実だとしても、興味深い、興味を引くような語りかける授業ではなかった。平読みになっていた。

人にぴしゃりと言うのは年を取ればとるほど難しい。社会人2年目。言葉も話せない。忙しい、日曜も論文を読んでいた、などと聞くと、つい心配になる。アラフィフはお母さんの気持ちになってしまう。

とはいえ社長が授業料を出しているのだ。お財布を握っている側の立場を考えるのが筋である。

全く素人の仕事をしてしまった。友人に申し訳ない。

こうなると高校受験のアシストが一番楽だ。教師、親、子供の向かう先が揃っている。スケジュール、目標、迷いがない。

さて、次の子にはそのようなことがないよう、心せねば。

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