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(R18)オリジナル官能小説「こうゆうっ♪」第7話 校舎裏の再会

「うーん……ここ、だよな……」

 色褪せた壁のペンキ。
 錆のついた扉。
 少しでも風が吹けば飛びそうな屋根。
 僕は今、どう見ても廃屋のボロボロの物置小屋の前に立っている。

 先程のトイレといい、どうして今日一日だけでこうもボロいものに縁があるのか……
 僕がこんなところを訪れているのには、理由があったーー

 ーー(これは……地図?)

 ガイダンスを聞きながらも、僕はトイレで女生徒から渡された紙をまじまじと見ていた。
 折り畳まれた、メモ用紙。
 そこには簡単な地図らしき図が描かれている。

 大きな横向きの長方形が二つ。
 その右横には、細長い長方形と、中くらいの波模様の長方形が並んでいる。
 おそらく、学校の本校舎・副校舎と、その東に位置する体育館、プール棟を描いているのだろう。

 そして地図にはもう一つ。
 体育館の北側、副校舎の東に位置する場所に、小さな正方形が描かれていた。
 ハートマークまでついている。
 明らかに目立つ何か。

(多分……このハートのところに来いってことだろうな……)

 あの女生徒の意図が全く読めない。

 だけどあの時……トイレで感じた、興奮と高揚感。それが僕を掻き立てる。
 怪しいとは思いながらも、心は誘われてしまう。

(行って、みようかな……)

 窓の外に広がる青空を眺め、ぼんやりとそんなことを考えた。

 ーーガイダンスを終えた放課後。

 地図を頼りに今、あのハートマークの建物までたどり着く。
 この場所は校舎からはっきりと見えない位置。遠目には確認しにくく、近づかないと分からなかった。

(だ、大丈夫かな……?)

 いくらかの不安が募る。
 ここ、下音田学園は歴史ある私立高校。
 一昨年までは古い建物ばかりだったのを、昨年からの改修工事で新しくしている最中だ。

 事実、校舎内はほとんど綺麗に直されている。プール棟と体育館、校舎西側にある部室棟さえも改修中の状態だ。

 なぜここだけ取り残されているのか……

(こういう古い建物って、嫌なんだよなぁ……なんか、不良の溜まり場みたいな気がして……)

 中学の時の記憶が蘇る。
 地域の一般的な学校だったものだから、不良らしき人もいくらかいた。
 カツアゲされてる生徒を遠目に見て、巻き添えにならないよう避けたこともある。
 奴らは大体、こんな感じの古い倉庫やら部室棟やらにたむろし、よからぬことをやっていた。

 思い出してしまったせいで、建物に入ることが躊躇われる。

(ひょっとすると、あの……オナニーしてた人、不良の仲間なんじゃ……)

 そうだ。
 あんな恥ずかしい姿を僕に見られて、何もせず去るはずがない。
 きっと色仕掛けでここに呼んで、中にいる不良共に痛ぶらせる気なんだ。

(やっぱり……帰ろう……)

 きっとここに入っても、何もいいことはない。気づかれないうちに立ち去ろう。
 そう思い、真後ろに振り返った。

 ところが。

「あれ?入らないの?」

 不意に声がかかる。
 いつの間にか、あの女生徒が近くに立っていた。

「あ……」

 それ以上言葉が出ない。
 思わず立ち止まってしまう。
 ドクンッと心臓が大きく動くのを感じた。
 先程目にした女生徒の尻が、脳裏を掠める。

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