Turingum Business ChainとWeb3ビジネスの親和性
先日、事業独自のブロックチェーン (Optimistic Rollup)を立ち上げることができるサービス「Turingum Business Chain」について発表しました。
今回はなぜTuringum Business Chainが多くのWeb3ビジネスの立ち上げや運営に向いているのかについて、具体的に何ができるのかなどの事例を織り交ぜつつ解説していきたいと思います。
Optimistic Rollupという仕組み
Turingum Business Chainは、Optimistic RollupというEthereumのLayer 2ソリューションとして開発されたものを利用しています。
Optimistic Rollupとは、簡単に言えば以下の手法でOptimistic Rollupで発生した取引であったり、Optimistic RollupにEthereumなどのLayer1から持ち込んだETHやERC20などの仮想通貨の保護を行っています。
Optimistic Rollupにて発生した取引のデータは、sequencerというノードが取引を承認・集約して、全てLayer 1上にデータ書き込みを行います。
そのままLayer1で取引を実行するより、データ書き込み費用の方がはるかに安いため、Optimistic Rollupの取引手数料は安くできます。
間違った情報をシークエンサー (batcher/proposer) が書き込んだ場合、それはLayer1上で異議申し立て(Fraud Proof)・再実行を行うことで正しい実行結果に訂正され、間違った情報を書き込んでいたノードは罰せられます。
異議申し立て (Fraud Proof)に必要な情報はEthereum上に書き込まれているため、Data Availabilityというものが確保されています。
もしsequencer (batcher/proposer) が取引を含めないなど検閲を行った場合、Layer 1に直接取引を実行するよう強制するリクエストを投げることができる。
Turingum Business Chainの良いところ
ではTuringum Business Chainを利用すると、どんな良いところがあるのでしょうか?それは
独立性の確保 : 自分たちでWeb3ビジネスをやる際にプラットフォーマーとして管理できます。 (AML/KYC、アクセス制御、独自エコシステムの立ち上げ、トークンのユーティリティー拡充など)
セキュリティ: 独自チェーンで発生した取引を安全に保護できます。 (ハッキング対策、フロントランニングからの保護など)
資産の移動や移植の容易性: Ethereum エコシステム・OP Stack エコシステムの技術的資産や仮想通貨をそのまま利用することができます。
まず一つ目からみていきましょう。
独立性の確保 (Gain Control of your business)
「独立性の確保」と、いろいろな要素を一言で言ってしまっているのでいくつかに分解していきます。
まず一番大きいのは、チェーンを利用できる人であったり、あるいは独自チェーンに新しくプログラムをデプロイすることであったりといったものを制限したりといったことが可能になるということです。
例えば
ロイヤリティの高いユーザーなど先行公開する
違法性の高いアプリケーション (Tornado Cashのような秘匿化ミキシングサービス)などに自分の展開しているアプリケーションやトークンを勝手に組み込まれないようにする
(OFACなどの)ブラックリストに入っているユーザーの利用制限を行うことができる
といったことが可能になります。日本法や各種コンプライアンスに対しても準拠することが容易です。
他にもチェーンを自由にある程度カスタマイズすることが可能です。
例えば
Confirmation Timeを0.数秒程度に変更 (早く取引が承認されます)
Block Gas Limitを1億 Gasに変更 (Ethereumではできない負荷の高い取引を可能に)
独自トークンのユーティリティー確保 (チェーン自体のガバナンストークンとして位置付けたり、独自トークンを手数料支払いに利用できるようにしたりする。)
手数料計算式の変更
Fraud Proof に必要なデータ (Data Availability) をPolygonなどの別のチェーンなどに保管することで、セキュリティーをあまり落とすことなく手数料をほぼゼロに
Withdraw Timeを1週間から数分に変更
といったカスタマイズも可能です。これにより、幅広い用途やビジネスで実現したいことに対応することができます。
つまりTuringum Business Chainを利用すると、プライベートチェーンやコンソシアームチェーンに欲しいレベルの管理機能やカスタマイズ性を確保することができます。
また、このTuringum Business Chainで建てた独自Rollupの上に、さらに新たなアプリケーションを誘致することで、プラットフォームとして手数料などの収益を得ることも可能です。
セキュリティ
また、セキュリティーに関してもアドバンテージがあります。
Optimistic Rollupの性質上、チェーンに入金された資産やOptimistic Rollupでの取引はEthereumによって保護されます。bridgeも長期に渡ってバトルテストされたものです。
フロントランニングといったMEVを行う悪意あるプレイヤーはEthereumなどのパブリックブロックチェーンに溢れています。Turingum Business Chainは我々が承認を行うので、ユーザーを完全に保護することができます。
もしOptimistic Rollup上のアプリケーションでクリティカルなハッキングが起きた際には、sequencerを一時停止するといったことも可能です。
独自Proof of Stakeチェーンのようにセキュリティ的に低いチェーンではなく、Ethereumにアンカリングしています。
つまりは、Etheruemなどのパブリックブロックチェーンに実装すると発生してしまう各種問題について対処することができます。また、その他のブロックチェーンやプライベートチェーンに対してもセキュリティーや手間という面で優っています。
Ethereumからの資産の移行や移植が簡単
さらに、Turingum Business Chainは
金銭的資産
技術的資産
の二つのEthereumの資産を利用することができます。
Turingum Business ChainではネイティブでEthereumに存在する任意のERC20トークンを移すことができます。USDTやUSDCといったステーブルコインはもちろん、WBTCや独自トークンについても自由に移すことが可能です。特に追加開発などは必要ありません。
さらには、もしも万が一チェーンを停止したい (サービス終了したい) といったことになった場合、逆にTuringum Business ChainからEthereum側に資産を全て出金することができます。このようにもう一つ大きなメリットとして、Ethereumと繋がることにより多くのEthereumの技術的資産を利用することができます。
EVM 同等性が保たれているため、すでにEthereum上で長期に渡って実運用でテストされたアプリケーションの1つであるUniswapなどのあらゆるスマートコントラクトを全て移植することができます。
その他にも、ライセンス的に可能であればMetamaskといったウォレットをそのまま利用できたり、フロントエンドも大きな変更なく対応することが可能です。
これにより、新たなアプリケーションの誘致といったことも容易に行えます。
Turingum Business Chainが対応できないこと
幅広いカスタマイズやEthereumとの高い親和性があるTuringum Business Chainですが、どうしても対応できないことはあります。
Ethereumにあるコントラクトを1txでインスタントに直接使いたい場合は、対応ができません。ただTuringum Business Chainからのメッセージングは可能です。 (詳しくはお問い合わせください。)
Ethereumエコシステム以外をどうしても使いたい (ただ、場合によってはEthereum以外の別チェーンの上で稼働するRollupも作成することができますのでお問い合わせください!)
更なるカスタマイズを行いたい (独自VMや、取引の承認フローをさらに変更したい)
ただ、おおよそのWeb3ビジネスは、Etheruemエコシステムを利用しつつ独自性を担保するというTuringum Business Chainと親和性が高いかと思います!
まとめ
Turingum Business Chainの主に技術の視点からみた3つの利点である、独立性、セキュリティ、資産の移動や移植の容易性について解説いたしました。
Turingum Business Chainを利用すれば、Ethereumの資産を最大限に活用しつつ、GameFiや金融などあらゆるビジネスに対応することができます。
カスタマイズできることや、ビジネスの段階等、各企業様によって状況はまちまちかと思いますので、まずはお問い合わせください!
Q&A
はじめる場合どのようなプランがありますか?
いきなりメインネットではなく、まずはテストネットでのPoCから始めることも可能です。カスタマイズ性が高いため、お客様に合った設定をテストネットからテストすることが可能です。
Data Availabilityを他のチェーンで確保するとセキュリティはどうなるのですか?
Fraud Proofに必要なデータをどのように確保するかですが、これをPolygonなどの他のチェーンで行う場合、さらに原価を下げることができます。セキュリティはそれほど落ちません。
Data Avaliabilityについては、Fraud Proofを行うVerifierが何らかの形でデータを入手できればいいので、DAを保管するチェーンA 、DAを保管するチェーンB、Fraud Proofを行うVerifierのローカルのPCのうちどれかにアクセスできれば大丈夫という性質です。
つまりは究極自分のPCがちゃんと動いているという前提があれば、主観的セキュリティは落ちません。
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