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股にかける。

仕事のご縁で先週今週と2本の舞台を見させていただきました。

先週はこちら

『素浪人ワルツ2023』

主演のいいむろなおきさんは世界を股にかけるパントマイマー。
小さな体から想像できない力強さで舞台に様々なものを生み出し様々な場所へと体一つで作り出していきます。
見るものを圧倒するそのパフォーマンスは老若男女問わず釘付けになってしまいます。

また演出のウォーリー木下さんは音楽劇から2.5次元まで幅広く手掛ける脚本・演出家。
関西でいち早く演劇に映像を取り入れ、様々な実験的演出をされてきました。
何より東京パラリンピックの開会式の演出もされていた方です(ちなみにいいむろさんも出演されてました)

そんな二人がタッグを組んで面白くないわけない。
舞台に立つのは3人。主に動くのはいいむろさん。そこに副音声と黒子が合わさり、映像の投影によって一人の素浪人の生き様が演じられます。
またザッハトルテによる生演奏がそれを時に感動的に、時にコミカルに彩っていく…90分が一瞬に感じる素晴らしい舞台でした。

そして今週はこちらを観劇。

本若第十八回公演『風華伝』

本若の団長(座長)平宅亮さんは役者でありながら芸能事務所の社長をしております。
殺陣を得意としその武器を生かしてテレビと舞台を股にかける、とても頼もしい男です。
よく関わってるのはNHKの歴史系の番組ですね。
彼との付き合いはもう10年以上になるんですが、同い年ということで意気投合し、色々一緒に仕事させてもらってます。
凛とした佇まいと漢気溢れる演技、軽い身のこなしから繰り広げられる精度の高い殺陣は、ぐっと惹きつけられるものがあります。
だけど一度板を降りたらヤンチャで天真爛漫な地元のツレみたいになるのでそこもまた不思議な魅力の一つなんでしょう。

本若という劇団はずっと時代劇をやっているのですが、誰もが知っているような人物が出てくることはあまりなく、「その時代を生きた人」をモチーフにしていることが多い気がします。
脚本を書いている渡辺ケイさん、演出の福島健太さんも同世代で、みんなが一つの目標に向かって舞台を作っているのがよくわかります。
また大人数が出るのもこの劇団の魅力で、所狭しと様々な人間が入れ代わり立ち代わりする立ち回りは本当に圧巻です。
一番前の席で見たら刀飛んでくるんちゃうか?と思うほどに。
しかしそのほとんどが若い人ではなく、熟練の猛者ばかりなのも凄いなぁと思います。出演者に同い年めっちゃおるのよ。

役者やってた頃は年間100本くらいの芝居を見ていました。
今は年間100本くらいのお笑いライブを見ています。
仕事柄様々な舞台に触れることがあるので、それをうまくネタに変換していけるよう常にアンテナは張っていなければいいけないなと思います。

この2週の作品はとてもいい刺激になりました。
自分も表方と裏方を股にかけるものとして精進していきます。

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