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徒然に読書メモ

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本の感想に主眼を置いた投稿をまとめています、何らかのきっかけになれば、望外の喜びです。
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#原田マハ

いろいろ悩みましたが、、【 #愛読書で自己紹介 】

 新年に入りふと思い立ち、少し前から note を始めているのですが、読書系の記事を辿っているうち、面白そうな企画「#愛読書で自己紹介」を拝見したので便乗させていただこうかな、と。 正直、3人・3冊に絞り込むのはどうにも悩ましかったのですが、、今回はこちらの3作品にしてみました。 『桜宵』(北森鴻)  三軒茶屋の路地裏に静かにたたずむ「香菜里屋」というバーを舞台とした連作短編集です。中でも特に印象に残っているのが「桜宵」の一編、「御衣黄」と呼ばれる、その名が示すように「

【読書メモ】『カフーを待ちわびて』(著:原田マハ)

毎年夏になると家族旅行をそこそこにしていました。家内が好きなこともあってか沖縄にもそれなりの頻度でお邪魔してたなぁ、なんて『カフーを待ちわびて』を思い出しながら。お気に入りな作家さんのお一人でもある、原田マハさんのデビュー作となります。 美術系小説が主軸な感じの原田さんですが、デビュー作は意外にもラブストーリー、確か宝島社の「ラブストーリー大賞」も受賞されていたような。 舞台は沖縄の小さな島・与那喜島、主人公はそこで雑貨屋を営む“友寄明青”。その彼がいたずら半分で絵馬に残

【読書メモ】『永遠をさがしに』(著:原田マハ)

今の職場、月に何度か市民楽団の方が練習に来られます。私自身、音楽はすっかり門外漢で、、あまりに音痴過ぎて家内からは「人前では歌わない方が?」とも言われるくらいに素養もありませんが、それでも生演奏の妙なる調べは風情があり、そちらをBGMに仕事との何とも贅沢な時間をいただけるのを楽しみにしていたりも。 なんて、ちょうど本日にその楽団さんが練習に来られていたので、その演奏を拝聴しながら思い出したのが『永遠をさがしに』との一冊。 著者の原田マハさん、『楽園のカンヴァス』や『キネマ

【読書メモ】『旅屋おかえり』(著:原田マハ)

確か最初は、図書館で出会った原田マハさんによる「旅」を題材にした一冊、以前にご紹介させていただいた『楽園のカンヴァス』とはまた少し違った雰囲気の物語となります。 主人公は、ひたすらに旅好きな「丘えり」という“元”アイドル、所属事務所も零細でブレイクの気配が欠片もない彼女、、旅を題材にしたレギュラー番組でどうにか食いつないでいたのですが、その唯一のレギュラー番組が打ち切られたところから物語が始まります。 困りに困った上に始めたのが「旅屋」というサービス。一言でいえば、依頼者

【読書メモ】『楽園のカンヴァス』(著:原田マハ)

先日、息子が通う大学のカリキュラムを見ていたら取得できる資格の中に「学芸員」があり、そういえば自分も学芸員(キュレーター)の資格を取ったなぁ、なんて懐かしくなりました。教職以外にも何か一つくらいの動機だった気がしますが、『MASTERキートン』などに感化されての興味もあったと思います。 というわけでもないでしょうけど、博物館や美術館にたまに無性に行きたくなることもあります。といっても「美術」などをソラで語れたりするほどに詳しいわけでもなく、(それなりの好みはありますが)単純

【読書メモ】『キネマの神様』(著:原田マハ)

唐突ですが、今までで一番印象に残った映画はお持ちでしょうか。もしお持ちでしたら、その始まりを思い出しながら『キネマの神様』という物語のページを開いてみてください。 私は、どこか懐かしいヴァイオリンとピアノの調べを背景に、シチリアの海の風景とレモンの鮮やかな黄色の対比が印象的な、カラカラとフィルムを巻き取る音までもが聴こえてくるような、そんな始まりの映画を思い浮かべながら、です。 物語を引っ張っていくのは、八十歳の父と四十歳の娘の親子。父はギャンブルで多額の借金を作った矢先