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【やさしい】年齢と妊娠~受精卵という重要なファクター【不妊症ガイド】

たなかゆうすけです。

不妊症のやさしいガイダンスです。


前回までのお話はこちら。

不妊症の検査を行うタイミングについてお話しました。

その中で、妊娠と年齢の関係について理解する必要があるとお話しました。


こちらも併せてどうぞ。


年齢と妊娠の関係

年齢と妊娠の関係は、当たり前のように言われています。

いまさらクローズアップすることなのか?ということではありますが、今一度基本に戻って確認してみましょう。

年齢が上昇すると、出産する人数は少なくなる。

1961年の論文で、女性1,000人あたりの出生数を調べたデータがあります。
年齢の増加に伴い、出生数の低下が認められ、特に35歳以上では顕著となります。

すでに子供のいる女性は妊娠を望まない傾向にあることや、加齢による性交回数の減少などの影響がある可能性は否定できませんが、加齢による妊娠への影響を示す一つのデータとして、様々なところで引用されています。

年齢と妊娠の関係について、もっと他のデータはないでしょうか?


年齢と不妊治療の関係

年齢と不妊治療の妊娠率の関係を示したデータがいくつかあります。

最もわかりやすいのは、体外受精・胚移植の妊娠成績です。

日本産科婦人科学会 ARTデータブック2021より

日本産科婦人科学会では、体外受精・胚移植のデータブックが公開されています。

これによると、30歳ごろから治療成績は徐々に低下をし始め、治療ごとの妊娠率は低下していきます。
特に35歳を超えると顕著に成績は低下していきます。

それに伴って流産する率もどんどん上昇していきます。

結果、生産率(赤ちゃんを得られる率)は年齢の上昇とともに大きく低下していきます。

では、この年齢と妊娠の関係は、主に何によるものなのでしょうか?

大きく、妊娠・着床する側、される側に分けて考えましょう。

妊娠・着床する側、受精卵の問題なんでしょうか?
それとも妊娠・着床される側、子宮の問題なんでしょうか?


受精卵の問題が大きい

いきなり答えですが、受精卵の問題とされています。
なぜかと言うと、子宮が年齢の影響を受けにくいことはわかっているからです。

子宮は年齢の影響を比較的受けにくい

実は、若い状態の卵子の提供を受けてできた受精卵を移植した場合の、年代別の妊娠率のデータというものが存在します。
いわゆる卵子提供(oocyte donation)のデータですが、50歳まで妊娠率の低下は認められません。

子宮も年齢の影響を大きく受けるとすれば、妊娠率は低下するはずですから、このデータからはそうではない、つまり子宮は年齢の影響を受けにくいということになります。

受精卵の質の低下は卵子の質の低下

ここから、加齢による妊娠率の低下は、主に加齢による受精卵の質の低下によるということができます。

受精卵は、精子と卵子から作られます。

精子はその都度作られていますが、卵子は女性が生まれてからずっと体の中に存在しています。
それも、減数分裂という特殊な細胞分裂の途中という、中途半端な状態で停止しています。

人の細胞はナマモノですから、やはり作られてから何十年もたっていると、少しずつ質が下がっていってしまいます。

その結果、卵子と精子からできる受精卵の質が低下してしまいます。
これが、先ほどの体外受精・胚移植の成績に最も関係していると言われています。

このように、加齢による妊娠への影響は、主に『卵の質』の低下によるものと考えられています。

この話はここでも触れています。


次回予告

さあ、ここで『卵子の質』というワードが出てきました。
妊娠関係でよく聞くけど、その実よくわかるようでわからないワードの筆頭です。

次は『卵子の質ってなに?』です。

こちらも併せてどうぞ。


妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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