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【やさしい】基礎体温とは何なのか【初心者ガイド】

たなかゆうすけです。


誰もがみんな知っている。
だけど中身はそんなに知られていない。

そんな基礎体温について、今日はお話します。


基礎体温って必要?


基礎体温とは

基礎体温とは、筋肉運動、食事、精神作用などのない、心身ともに安静な状態で測定した体温のこととされ、排卵前後で低温の時期と高温の時期に分かれ、2相性の変化をします。

日中の活動している状況では、これら運動や、食事、メンタルの影響を大きく受けてしまいますので、基本的に早朝の目覚めた直後に測定を行います。

また、体表面の温度は外部環境の影響を大きく受けてしまいますので、教科書的には体の深いところに比較的近い口の中で測定するとされています。

基礎体温は、さまざまなものの影響を受けます。睡眠時間や睡眠環境、前日の生活環境や食事の状況、アルコールの摂取状況、季節、空調などの環境温度などです。


なぜ体温が上下するのか

卵胞が発育した後に排卵が起こると、黄体というホルモンを分泌する器官へと変化します。この黄体から分泌されるホルモンの内、プロゲステロンが体温の上下と関連しています。

体温は脳の一部、視床下部と呼ばれる場所に調節する中枢があり、プロゲステロンの血中濃度が3~5ng/mLを超えると、体温のセットポイントが上昇します。

これにより基礎体温の上昇が起こりますが、その上昇幅は0.3℃以上とされています。

上昇は all or nothing で、プロゲステロン値が上昇すればそれだけ上昇するというわけではありません。上がるか上がらないかです。


基礎体温でなにがわかるのか

一般的には、

・排卵がいつ起こるのか
・排卵が起こっているのか
・排卵したあとの状態が問題ないか

などが基礎体温でわかるんじゃないか、わかればいいなというイメージだと思います。


基礎体温でいつ排卵するか知ることは基本的にできない

排卵前に、体温が落ち込むということが良く言われます。この体温の陥落日と超音波で排卵日が起こった日を比較したデータがありますが、一致率は28.4%でした。つまり、未来の排卵日の予測はほぼできないということになります。

現在、一番正確に排卵の推定が可能なのは超音波と考えられますが、それとの一致率は決して高くないのです。

基本的には、基礎体温でいつ排卵するか知ることはできません。


排卵が起こっているかの確認はできる

また、基礎体温が上昇し始めた日、つまり、低温期の最終日と超音波で排卵日が起こった日を比較したデータでは、一致率は62.5%でした。つまり、振り返ってどこが排卵日であったかというのは、正確性はそこまで高くないが推定は可能ということになります。

ただし、基礎体温が完全に上昇した後で性交渉を持っても妊娠の可能性は高くないため、有効性は高くありません。

低温期と高温期がはっきり分かれている場合は、排卵は起こっていると考えて良いでしょう。

逆にはっきり分かれていない場合は、排卵が起こっているとは言い切れません。


高温期が10日以下なら、妊娠を維持する機能に問題があるかも

前述のとおり、基礎体温はプロゲステロンの上昇を反映しています。プロゲステロンは妊娠を維持するのに必要なホルモンです。

では、基礎体温の状態で妊娠を維持する機能(黄体機能と言います)に問題があるか推定できるでしょうか。答えは推定はできるということになります。

基礎体温の上昇は all or nothing で、プロゲステロン値が上昇すればそれだけ上昇するというわけではないというお話をしました。上昇の程度では、妊娠を維持する機能の推定はできません。

高温期が10日以下の場合は、黄体機能に問題がある、黄体機能不全という診断になります。ですので、妊娠を維持する機能の推定はできるということになりますが、黄体機能については臨床的な意義が疑問視されているところもあります。高温期を正確に把握できていないということもよくありますので、高温期が短いからといって過度に心配する必要はありません。


基礎体温を測定する意味は?

では結局、基礎体温を測定する意味とは何なのでしょうか。

それは、排卵が起こっているかどうか確認する、ということになります。
逆にいうと、それくらいのことしかわかりません。

基礎体温は、排卵は起こっているかどうかの確認は得意です。数周期確認してみて、低温期と高温期がはっきり分かれていれば、排卵は起こっていると考えて良いでしょう。

体温測定はさまざまなものの影響を受けますので、かなり値がブレることがあります。2相になっていないようでも排卵していることはよくありますが、心配であれば超音波で確認することができます。

排卵の予測は基本的にできませんし、妊娠を維持する機能(黄体機能)についてはそもそも意義が疑問視されているところがありますので、そこまで気にする必要はないでしょう。

毎日毎日しっかり測定したら妊娠しやすいとか、逆にしっかり測定しなければ妊娠できないという類のものではありません。

測定にストレスを感じるようであれば、測定する必要はないと思います。治療をする上でも、そこまで重視していません。

基礎体温の測定を頑張っている方を否定する意図は全くありませんが、負担になるなら止めてしまいましょう。余裕がある方は測定してみても良いでしょう。

Take it easy!


終わりに

誰もがみんな知っている。
だけど中身はそんなに知られていない。

今回はそんな、基礎体温のお話でした。


妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…

たなかゆうすけでした。

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