【つれづれ】男性生殖医がエコーをするときに注意していること【よもやま話】
たなかゆうすけです。
今日は、経腟超音波(いわゆるエコー)をするときに、何を気を付けているのかをお話しようと思います。
『ない』のでわからない
私は男性ですので、膣はありません。
もちろんエコーをされた経験もありませんので、どうなったら痛いのか、どうなったら不快なのかははっきりとはわかりません。
わからないので、かなり慎重にやっています。
医療行為で必要なこととは言え、痛みや不快感がないに越したことはありませんからね。
想像力を働かせながら、これは痛くないんじゃないかな?これなら不快感が強くないんじゃないかな?と考えながら行っています。
短時間で終わらせる
エコーを行う時間は短いに越したことはないでしょう。短時間で終わらせるためには、エコーをしながら考えている暇はありません。
エコーをする前に、なにを見たいのか、どう見えそうなのかを、過去のエコーや前回のエコー、診察の状況などからある程度推定しておきます。
計測は迅速に。必要のない計測は行わない。そして、なるべく迷わずに必要な情報を集めたら、エコーが終わってからどうするか考えます。
目安は1分以内です。それ以上かかった場合は、反省会です。
勢いよく動かさず、スムーズに動かす
短時間で終わらせたいからと言って、勢いよく入れて奥に『ドン』と当ててしまうと、強い痛みを感じるでしょう。
また、強く押し当てたまま左右に振ると、これもまた強い痛みを感じる原因になるかも知れません。
急にアクセルを踏んで、急ブレーキをかけるような運転ではいけません。
アクセルもブレーキも最小限で、迷うことなくスムーズに行うことが重要と考えています。
繋ぎの時間を作らないことで、痛みや不快感を軽減しながら、結果的に短時間で終了することができると思います。
抵抗を手でしっかり感じる
例えば、膣の入り口からエコーを入れるときに引っかかる感触とか、膣壁をズルズル擦りながら入っている感触とか、奥に当たった感触とか、エコーを左右に振ったときに膣の入り口が突っ張る感触とか、上下に振ったときに恥骨に当たる感触とか、卵巣を見るためにエコーを押していったときに押し返される感触とか、さまざまな『抵抗』を手に感じることがあります。
そのまま無理に動かすと痛みや不快感が強いように思います。
この抵抗を感じたときには、無理にエコーを動かさず、エコーにかかっているテンションを緩めて位置取りを再確認したり、いったん仕切り直したりします。
こうした自分が行った動作に対するフィードバックが『抵抗』として感じられるので、これには十分気を付けています。
いろんな反応に気を配る
エコーをされている方が痛みや不快感を感じるときには、さまざまな反応があります。
『痛い』とか『ウッ』と言われることもありますし、逃げるように体を動かされることもありますし、緊張したように体をこわばらせることもあります。
こうした反応があった時には、より慎重にエコーを行ったり、声かけをしたり、より手早くスムーズに終わらせたり、他に状況判断できる方法を考えたりします。
このようなさまざまな反応にも気を配りながらエコーを行っています。
とくに言外の反応がある場合には、すでに我慢させているものと考えて、迅速に終了させるようにしています。
反省する
やはり、最初から最後まで痛みや不快感なく短時間で終了することがベストです。
ただ、それができなかった場合には、その理由を分析して一般化し、次にうまくアウトプットできるように振り返りを行います。
日々こうした反省と改善を繰り返しています。
終わりに
エコーは生殖医にとって基本中の基本の技術です。
特に不妊治療ではエコーは何度も何度も行うものですから、なるべく短時間で痛みや不快感がなく終了できるよう、なんとなくでやらずにさまざまな工夫と配慮をしています。
これも皆さんに安心してエコーを受けてもらうためです。
妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…
たなかゆうすけでした。
コメント、メッセージ、スキなどいただけると大変励みになります!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?