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好きを叫んで軽く突こうぜ!

みなさんお久しぶりです.

つんぽです.

前回の記事を書いた後,複数の記事の構想を練っていたのですが,本じゃん!コミティアとかCOMIC ZIN の評論コーナーで売ってるやつじゃん!!という分量と濃さになってしまったので書くのを中断しました.(いつかは書きたい)

これからはあんまり肩ひじ張らずに四方山話をだらだら書いていこうと思います.

突然ですがクイズです ٩( ᐛ )و

皆さんは2017年のノーベル経済学賞はどのような内容の研究が受賞したのか覚えていますか???

簡単でしたか?

答えは,リチャード・セイラー教授らによる行動経済学への貢献

具体的なキーワードを挙げれば「ナッジ(nudge)」です.


ナッジとは何か

ナッジとは、ヒジで軽く突くという意味の言葉です.

wikiには以下のように記載されています

Nudge(ナッジ)とは、がみがみ言う(nag、ナッグ)よりも肘で軽く突く(nudge、ナッジ)ようなちょっとした後押しの方が、人の行動を変え良い結果に繋がるという理論に依る. 引用 wiki リチャード・セイラー

いまいちよくわかりませんよね...

では,行動経済学とはどのような背景で出てきたのかという所からさかのぼってナッジを説明してみたいと思います.

私は経済学を専攻しておりませんし,体系立てて勉強したこともありません.

なので,めちゃくちゃ間違ったことを言っているかもしれません.

なので,経済に詳しい方におかれましては,何か間違いがあれば積極的にご指摘いただきたいです!

あと,めんどくさければ飛ばしてください!

一般的な経済学の前提

一般的な経済学の理論を構築するための大前提として以下の2つが挙げられます.

①完全情報・・・個々の売り手と買い手は,市場価格や財の性質について完全な情報を持っている.

②合理性・・・売り手と買い手は常に合理的判断をする.

この前提がないと経済活動はあまりにも複雑すぎて理論化することが難しかったんですね.

しかし,現実は本当にこの前提に沿っているのでしょうか?

価格.comなどの価格評価サイトなどは普及しましたが,いまだに市場にいる人全員が完全情報を得ているとは考えづらいです.

では,我々は日々合理的に経済活動をしているでしょうか?

セイラー教授は以下のように言っています.

誤った前提とは ”ほとんどすべての人がほとんどすべての場合に自分たちの最大の利益になる選択をしている” この前提はどうみても間違っている.  引用 実践行動経済学 リチャード・セイラー他

非合理な経済活動をしているのは私だけではないらしいので安心です(o・∇・o) 

行動経済学の誕生

では,非合理な人間たちの経済活動をより正確にモデル化するためにはどうしたらよいのでしょうか?

その解答として出てきたのが行動経済学であり,経済を分析する際に合理性だけではなく,人間の心理的、感情的側面の現実に即した分析を行うというものです.

つまり行動経済学とは,心理学や社会学,脳科学などの成果を経済学に取り入れたものと言えます.

ナッジとはなにか?

お待たせしました,ナッジの説明です.

ナッジは行動経済学の中で出てきた概念です.

ナッジとは、「ヒジで軽く突く」という意味で,科学的分析に基づいて人間の行動を変える戦略のことを言います.

広義的に言ってしまえば,ちょっとしたきっかけを与えることで消費者に行動を促す手法ということです.

ルールで強制されるのではなく、望ましい行動をするよう、誘導する際に有効な手法とされています.

ナッジの具体例

では,ナッジの具体例を示していきます.

例えば男子トイレの蠅シール.

アムステルダムのスキポール空港の男性トイレの便器には、小さなハエが描かれています.

これは,男の人がおしっこをする際に,”ハエに当てたい”と思わせて,飛び散りが最小になる場所におしっこを誘導するというものです.

便器にハエの絵を描くことで、「的に狙いを定める」という人間の心理を誘導し、床に小便を飛び散らせないようにしてアムステルダム・スキポール国際空港の清掃費を80 %削減するという経済的効果を上げた 引用 wiki

その他,のナッジの例としては以下のようなものがあります

・コンビニのレジ前に足跡をつけておき、そこに並ぶように誘導する
・ネットショップの会員登録時に、メルマガ登録のチェックボックスにすでにチェックが入るように設定しておき、登録したくない人はチェックを解除するようにする
・レストランのメニューのうち、特定のメニューにのみ「おすすめ」を表示しておく                              引用 ferret: あなたも知らないうちに誘導されているかも?行動経済学の手法「ナッジ」とは

ナッジは選択の余地を残しながらも消費者を特定の選択肢に誘導させるという手法です.なので,消費者にとっては自発的に選択した感覚があるため、商品やサービスに悪印象を持ちません.

そのため,消費者を満足させつつ自社の誘導したい選択肢へと導く方法として非常に注目されています.

皆さんもナッジによって気づかずに誘導されていませんでしたか?

人間なんて非合理でちょろい生き物

たしかに人間はナッジによって軽く心を突かれただけで行動を変えてしまうちょろい生き物です.だからこそ,ちょっとした発信で相手の行動が変わることもあります.

個人的に実践しているナッジはバスやタクシーを降りる際に,お礼を言うというものがあります.

 運転手に感謝のお礼をいうことにより立腹・イライラ状態から遠ざけ,安全運転を誘導して,めぐりめぐって自分が事故にあう確率を下げようというものです.

感情ストレスを集約すると、「立腹・イライラ」「事故不安」「焦り」「不快・悩み」「眠気・疲 労」「神経質」の 6 種類に大別された。なかでも、「立腹・イライラ」と「事故不安」の報告比率が高く、両者を合わせると構成比率全体の 6 割を占める。引用 ドライバーの感情特性と運転行動への影響 国際交通安全学会

イベントの時に手紙や声援を送って,演者さんの心を突っついてフルフルさせることによって,よりよいパフォーマンスができるように誘導するということも広義で見るとナッジの一部なのかもしれませんね.

SNSで推しの宣伝をするときに行動経済学の手法を使ってみるのもいいかもしれません.

悪いナッジ使いに注意(*>△<)

ナッジは非常に強い力を持っているのでそれを悪用しようとする人たちも出てきています.

2016年の米大統領戦でトランプ陣営を支えたのが、英データ分析会社「ケンブリッジアナリティカ(以下CA)」だった。CAはフェイスブック上の数千万人の個人情報を取得し、候補者を決めあぐねていた人々を抽出した。  そして、心理プロファイリングを行い、「カスタマイズされた情報」を意図的にフェイスブックのタイムラインなどに流し、投票結果を左右しようと試みた。まず最初に、フェイスブックの偽のプロフィールを開設し、ターゲットとつながりを構築する。意見に同調するコメントを発して、彼らと同じ考えを持つ人が多数いるという誤った認識を与える。
「集まった人々は自分と同じ考えを持ち、共通の事柄について語っている。これは大きなムーブメントが始まっているに違いない、と彼らは思うだろう」 抜粋 Forbes トランプ勝利に貢献した「FB情報操作」の実態、関係者が告白

公的な組織がナッジを使用する場合,社会全体の利益のために使われるべきであって,特定の個人・団体の利益のために使うのはアウトです.

セイラー教授はそうした悪用されたナッジは「スラッジ(Sludge=汚泥)」だと言って強く非難しています. "Nudge, not sludge",Richard H. Thaler,Science 03 Aug 2018: Vol. 361, Issue 6401, pp. 431

しかし,ナッジの効果が非常に高いことが知られてしまったので,これからも悪用する人が必ず出てくるでしょう.

なので,自分の決断は誰かに意図的に誘導されたものではないのか?と時々疑ってみることが大切かもしれません.

好きを叫んで軽く突こうぜ!

ようやく結論!

つまり,人間は非合理でちょろい生き物なのです!

知らず知らずのうちに,何者かに突っつかれて行動を誘導されてしまっているのです!

それが良いナッジなら問題ないのですが,悪いナッジであるスラッジの可能性もあるので注意して自分の行動を振り返ってみるといいかもしれません.

また,自分が他人に何かを勧めたいときや,他人の行動を変えてほしい時にナッジを使ってみるといいかもしれません.

個人的な意見なのですが,

好きが前面にあるナッジを見ると非常に微笑ましい気持ちになります.

なので,好きを叫んで軽く突きあうことによってもっと幸せなことにならないかな~と思います.

逆に,嫌いが前面に出されているナッジを見るとちょっとテンションが下がります.

例を挙げると,こんな悪い連中がこんな悪いことをしているから,この悪行を拡散して排除の雰囲気を作ってコンテンツから追い出そうみたいなやつです.

嫌いを叫んで突っつかなければならない時もありますが,それが前面に出ていると,そのコンテンツや文脈を知らないひとが見て突っつかれたときに,そのコンテンツ自体に悪印象を持ってしまう可能性があります.

これは難しい問題ですがいい落としどころを探していくしかないと思っています.

何はともあれ,もし推しがいるのなら好きを叫んで突っついてほしいと思います(o・∇・o) 

おわりだよ~


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