第16回先端技術と文化財の親和性

1、導入

文化財とAR/VRの親和性は実は高い。

ARは拡張現実で、ポケモンGOのように現実の風景にCGが浮き出るようなもの。

VRは仮想現実でゴーグルをかけて視界全てをCGで製作してしまうもの。

一般にどれだけ認知されているか分かりませんが、

日本全国で「歴史体験アプリ」が雨後の筍のように湧いています。

2、デジタル復元の優位性

発掘調査で見つかった古代の建物の痕跡は基本的に柱穴と礎石のみです。

多いのは平面展示ということで精々柱の根元から30〜40センチ程度の復元するのが多いです。

一方で建物を復元してしまうと費用も膨大です。さらには柱穴と礎石だけで建物を復元するのは賛否両論あり、本当の姿とかけ離れてしまう危険性も孕んでいます。

そこで注目されるのがバーチャル復元です。

タブレットやスマホでかざすと画面上にデジタルで描画された建物が表示され、現実の風景中に溶け込んで見えます。

この形式であれば実物を復元するよりよっぽど経費が削減できますし、研究が進んだ場合に復元案を修正することも比較的容易です。

3、アプリ運用の現状

それでも課題は多い。

まずこのサービスを利用するためには アプリをダウンロードすることが大前提で、それがハードルが高い。

このご時世でもスマホを使いこなしていない層も一定数いる。

現地に来てもらって、初めてアプリの存在を知っても、Wifi環境がないとダウンロードには躊躇することもあるだろう。

旅に出る前に、行き先の史跡に関するアプリを調べてダウンロードして行くことがあるだろうか。

その第1のハードルを越えたとしても、アプリの使い方をどう伝えるか。

使用法に習熟したガイドが常駐しているような場所はかなり限られるだろう。

実際私も一昨年、姫路城に行った際にアプリをダウンロードして体験してみたが、行列の待ち時間で色々試してみたが、半分くらいの機能しか使いこなせなかった。

実際に発注者として類似のアプリ製作に関わった私でもそうなのであるから、初めて使うような方はどこまで効果を感じることができるだろうか。

4、今後の展望

感覚としては文化財活用にAR/VRを用いることは第1次ブームだと思う。一息ついて検証のフェーズ。実際に集客効果、顧客満足度で目標達成している事業がどれだけあるのか、成功の要因は何か。

補助金を付けて作らせている文化庁その他が情報を収集し、公開して欲しい。

もしくは旅好きの方で各地の体験アプリを片っ端から試してレポートするような発信してくれないだろうか。

十分な需要はあると思う。

来週アプリ製作業者が営業に来てくれることになっているので、次の動きを模索していきたい。

#コラム #歴史体験アプリ #AR #VR

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