第13回世代間ギャップの幅

1、導入

考古学の基本的な考え方に型式学というものがあります。

型式はType(タイプ)と訳すことが多いですが、

要は分類された一つのまとまりのことです。

例えば「土器型式」といった場合は分類の結果、ある特定の時期、地域に流行していた土器のまとまりを指します。

○○式土器、といった使われ方をすることもあります。○○部分には代表的な遺跡名が入ります。大木式土器、といえば宮城県七ヶ浜町の大木囲貝塚から出土した土器が代表的なもので、縄文時代前期から中期にかけて使われ、東北南部に広く分布する、といった感じです。

縄文土器、弥生土器という括りも大きなスケールではありますが、ある共通する特徴を持って、ある特定の時間軸で使われ、一定の地域に分布する、という意味では型式の一種と呼んでいいのではないでしょうか。

2、型式の幅について

縄文時代自体が1万年以上あるので難しいですが弥生時代、古墳時代、と現代に近くなるにつれて、「型式」として把握できる土器のグループが短いスパンになってきます。

もちろん研究ですから議論が対立して進み戻りつつ深化していくのですが

最終的には20年くらいで変遷が追えるようになる印象があります。

言い換えると土器が「ニュータイプ」になるのが20年くらい。

かなり大雑把ですが、そう考えるとひと世代で道具が変わっていることが想像できるのではないでしょうか。

3、変化のスピード

翻って、現代の例で考えると

10年前と今とでテクノロジーが違いすぎて愕然とすることはないですか?

GWで部屋を掃除していて出てきた古い携帯電話があまりに過去の遺物然としていました。

それでもスマホしか見たことがない子どもたちがケータイとして認識できたことに少し驚き。

ちょうど昨日(5/4)に更新された

#つれづれあやにー @Voicy
でも子供のころディズニーランドで待ち時間何をしていたのか思い出せない、という話がありました。

時代の変わるスピードはその時を生きている時にはそれほど意識しませんが、後から考えると圧倒的に速くなっています。

古代の人々の暮らしは20年くらい経っても土器の形が少し変わるくらいでした。

現代は数年でものの考え方も変わってしまうくらい道具が変化している。

20歳くらい離れた世代間の考え方が弥生人と縄文人くらい離れてしまう日も遠くないのではないでしょうか。

#コラム #考古学 #型式


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