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なさけない話ですが

昨年の12月から調子がおかしい。

目覚ましが鳴っても8時間から10時間くらい寝っぱなしだし、起きたときから眠いしだるいし、食べたらすぐ寝落ちするし、髪質が変わって会った人から「前髪それでいいの?」と訊かれるし、友人の子には「顔がちがう」と言われるし、はじめての口唇ヘルペスがいつまでも治らないし、市販のおせちを食べた直後にひとりだけ嘔吐するし。

もう春まで冬眠するしかないのか。そんなときにポチったのが川上弘美さんの短篇集『ぼくの死体をよろしくたのむ』だった。

語り手がぴょんぴょん変わる「なくしたものは」。三角関係っぽい男女三人のつぎに、死んだラブラドールの小太郎のたましいが語りだす。

 犬のたましいは、最大で十年この世にとどまるそうです。私はお母さんや満やお父さん(そして、たまにこうして渚のことも)を、すぐ横にいて見守っています。小さな力しかないけれど、悪いことが起こらないように、できるだけいい念を送ります。

そう、求めていたものはまさにこれ! 
つづく「儀式」では、語り手が洗濯や夕飯など家事の合間に儀式をおこない、人の魂の声を聞きとって天罰を与える様子が描かれる。読みながら、自分の弱った魂の声も聞いてもらえた気がした。

魂の呼び声の内容は、ほんとうに千差万別です。……
 どの声にも、わたしは応えません。ただただ、声を聞くだけです。でも、それでいいのです。魂は、聞いてもらえたと感じれば、それだけでずいぶんと身軽に、ふたたび活発に、なるのです。


↓ ちなみに、こちらで紹介しているドラマ "On Cloud Nine" に、死んで99日までは魂がしあわせを感じられるという話がある。

わんこを看取る前後に観ていたせいか、それが思った以上に支えになっていたらしい。死後100日を過ぎたころから不調がひどくなったのは偶然じゃないはず。

今後10年間は支えにできる言葉と出会ったのだから、そろそろ冬眠から目覚めなければ。

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