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学習者が問いをつくって授業を終わる

今年度、担当している高校1年生の地理総合の授業についてnoteに書くのは初めてかもしれません。ちょっと思い立ち、まとめておこうと思います。

地理総合には三つの柱があり、そのうちの一つが、「国際理解と国際協力」です。地理総合は主題の自由度が高く、二学期は、授業者である私が主題を選定するという形で授業をしてきました。授業で取り上げた主題は以下のような感じです。

・観光公害(世界遺産と観光地)
・貧困層の子どもの教育水準(架空の国家アスー国の言語政策)
・資源エネルギー問題(アフリカと中国、シェール革命)
・バイオマス燃料の抱える課題(パーム油、トウモロコシ)
・食料問題(ありあまるごちそう)
・都心居住の諸課題(カナダ・バンクーバー・DTES地区)
・海洋汚染(瀬戸内地域、プラごみ)
・人口問題(四国地方、市町村合併、消滅可能性都市論)
・支援・国際協力(援助する前に考えよう、ポバティー・インク)

二学期の授業での主題、太字はChatGPTを授業内で活用

「国際理解と国際協力」の全体像をデザインをしていた頃、最後の授業では、これまでの授業で取り上げてきたことを総括するような授業をイメージしていたのですが、授業を重ねていくにつれて、「自分の考えを述べよう、何かまとめよう」をやっちゃうと、間違いなく、上滑りするなと感じるようになりました。
そもそも「国際理解と国際協力」に対して関心がさほど高くない学習者たちを更なるエポケーに陥れてしまうことや、重たい内容にアレルギー反応をこの歳で抱かせてしまうこと、課題意識の高い学習者たちに対しては課題を過度に背負わせてしまうことを回避することなども考えの中にはあったと思います(そんな授業をしていると思ってしまうことを反省する日々なんですけどね)。

学習者がというよりは、むしろ授業者が、収束を目指しがちな学期終わりに、あえて発散して終わるのも悪くないなと覚悟を決めて、「支援・国際協力」に関連する質問の焦点をトリガーにQFT(Question Formulation Technique)をやることに決めました。

質問の焦点と質問づくりの手順は以下のようにしました(50分1回に押し込んだことは反省です)。

「貧困援助がビッグ・ビジネスに?あなたの”善意”が、誰かを傷つけているかもしれない」

ポバティー・インクより
  1. 質問づくり

  2. 閉じた質問・開いた質問の分類

  3. 開閉変換

  4. 組み合わせによる質問の再構成

FigJamを活用した学習者たちによる質問づくりのようす

質問を再構成するという段階まできたところで、今後、探究してみたい(納得解・最適解・正解をつくり出したい)と自らが思う質問に投票してもらいました(探究の説明と投票という行為の良し悪しはすみません)。

・貧困援助の全体的な構造はどの様になっているのが理想的であるか?
・貧困援助の作り方と、利益を上げる方法は?利益はどこに行くのか?
・貧困地域を苦しめない援助は何なのか?
・貧困援助の引き際は?現在の被援助国はいつまで「貧困」を背負うのか?
・先進国がビシネスを行うことによって途上国が得られる恩恵と途上国が本当に望んでいることの差異とは?

各クラスの最多得票の質問


ここまでの授業が、学習者の誰かが何かにいつかドライブしていくきっかけになっていればなということを、授業者としてどうしても思ってしまいます。

ただ、誰もしないかもしれないし、いつするか誰がするかも分かりません…授業者としてのこの前提と学習者と授業者のこの距離感が、僕はとても大事だと思っています。


QFTについての日本語サイトは以下がおすすめです。私は、ファシリテータ養成講座を受講した経験があり、質問づくりについて深く学べるので、あわせておすすめします。

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