米国におけるマリファナ規制の歴史

最近アメリカでマリファナ・カナビスの話題というと合法化に関するニュースが大半ですが、そもそもアメリカでマリファナが違法となった経緯はどのようなものだったのでしょうか?折角なので調べてみました。

まず米国では、19世紀中旬頃から医療の分野でのマリファナ使用が広がり始めました。その流れは20世紀にも継続してきたようですが、20世紀初頭に大量に流入したメキシコからの移民と共に、嗜好品・娯楽用として大麻を吸う文化がもたらされ、当時存在したメキシコからの移民に対する反感と結びつき、マリファナ=悪いものというイメージが、徐々に広がっていったようです。

そして、ヘロインや阿片等を連邦レベルで規制するために1935年に制定された「Uniform State Narcotic Drug Act」にマリファナの規制も加えられた事で35の州で薬物として規制されるようになり、1937年に制定された「Marihuana Tax Act of 1937」により、連邦レベルでマリファナの輸入、栽培、所持、販売が明確に規制されます。

この法律は、「Tax Act」とある通り、マリファナの輸入や販売を免許制とし、さらに税をかけるというものです。ただし、その規制内容はというと、免許保持には年間24ドルの税(違反者は最大2000ドルの罰金もしくは5年以下の懲役)というもので、当時の24ドルは今の価値でもおよそ380ドルとの事なので、正直随分安いなという印象です。あくまでもこの法は嗜好用のマリファナを規制するものが主な目的だったようす。

そして、大きなターニングポイントとなったのが、1970年に制定された「Controlled Substances Act(規制物資法)」です。この法律は、薬物の製造・濫用を規制するために策定された法律で、国際条約である「麻薬に関する単一条約」の米国内実施立法でもあります。この法律でマリファナは、LSD、ヘロイン、MDMA等と同様に、医療目的を含むあらゆる状況においても使用する事を禁止される「スケジュール1」に分類され、厳しく規制される事になります。そして、この状態は、2000年代初頭より始まった一連の運動によりカナビス解禁の動きが広がるまで続く事になります。この「スケジュール1」物質というのがポイントで、カナビス解禁が議論される際は、「カナビスがスケジュール1としてカテゴライズされているのはおかしいのではないか」という議論がなされています。ちなみにもう1点は連邦政府レベルの規制ではなく、州レベルで判断すべき問題ではという点です。

本格的な規制の始まりが1970年、そして解禁の本格化が2010年代後半とすると、マリファナ・カナビスの違法薬物としての規制期間は約40年間となります。一方、有名な禁酒法は1920年~1933年の13年間となります。一世代がおよそ30年と言われているので、40年間の規制というのは社会に対してマリファナ=違法薬物という意識を刷り込むのに十分な期間と考えられ、現在のカナビス解禁の動きが社会に与える影響が非常に大きいという事が言えるのではないでしょうか。


参考ページ
https://en.wikipedia.org/wiki/Legal_history_of_cannabis_in_the_United_States
https://en.wikipedia.org/wiki/Uniform_State_Narcotic_Drug_Act  
https://en.wikipedia.org/wiki/Controlled_Substances_Act
https://www.cbp.gov/about/history/did-you-know/marijuana



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