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令和コードギアス初見オタク、ゼロレクイエムを目撃し果てる。

 タイトルの通りです。元号が変わってすでに3年ですが、ようやく『コードギアス 反逆のルルーシュ』を観ました。

 コードギアス、2000年代にアニメファンやっていれば義務教育レベルで一世を風靡した作品ながら、当時別の界隈にいた自分はこれを華麗にスルー。そして何やかんやあって放送当時視聴組に囲まれた結果、鑑賞することになりました。

 みなさん小学生とか中学生でコレを毎週観てたんですか??一週間お預けされて???マジか……。


ルルーシュという孤高のカリスマ

 コードギアスというアニメの魅力を一手に担い、あまりに色んなものを背負いすぎた結果オジマンディアス級のジョークをぶちかまして物語に幕引きをする、そんな主人公ルルーシュ・ランペルージくんに、ぼく含め全ての視聴者はもうメロメロです。CLAMP作画なので恐ろしく手足が長いし、頭身がぶっちゃけ何回かバグってるけど、それすら格好いい。

 ルルーシュくん、眉目秀麗で頭のキレる才児なわけですが、その正体はブリタニア帝国元第11皇子なわけで、非植民地国のエリア11(元日本)にいながらめちゃくちゃノブレスな王子様系男子。そんな彼が魔女C.C.と出会い「ギアス」を手にした結果、母の命と妹の自由を奪った祖国に復讐するため立ち上がる。要はシャア・アズナブルを主人公にしたファーストガンダムであり、ダークヒーローはそれだけで活劇度が上がるため、自ずと応援したくなってしまう。視聴者はさながら、彼の覇道を見守る騎士団の一人として、TVに釘付けになるわけです。

 ルルーシュの才覚はその頭脳にあり、たとえ圧倒的な戦力差があっても戦略で勝利するタイプ。その奇策に敗れるブリタニア軍を観てスカッとするのは今でいう「ナメてた相手が○○」の味わいがあるし、大番狂わせの要素として「ギアス」という絶対順守のチート異能が、常に相手の想像の一歩先を行くルルーシュの慧眼を後押しする。

 彼にとっては計算と演出の賜物だが、周囲の人物にとってはそれはまるで奇跡のようであり、それに魅入られレジスタンス部隊である黒の騎士団は急成長。あまりに上手くいきすぎて団員のほとんどがゼロ頼りになってしまい土壇場でアドリブが効かなくなるくらい、ルルーシュ=ゼロのカリスマは絶大なのです。

 とはいえ彼も完全無欠にあらず。「兄さんは体力が無い」とロロに言われており、白兵的な戦いではその辺の一般人と変わらないし、彼の最大の弱点が妹のナナリーの存在。ルルーシュの行動規範は常にナナリーの幸せが根底にあり、それゆえにナナリーが不幸になることは絶対に出来ないし、ナナリーがさらわれでもすれば総力戦の最中に前線をいきなり離れたりするので、ギアスに依存した絶対無欠のヒーローではないところも、お姉さん方の庇護欲をくすぐるのではないでしょうか。

ジャンルの反復横跳びアニメ、コードギアス

 コードギアス、名前だけ知っているけど観たことのないアニメ筆頭だったため、1話を観た時の衝撃は大きかったです。日本が占領地!?ロボット!?絶対に命令に従わせる異能!?(えっちじゃん……)情報量はとにかく多い。

 その勢いのまま、コードギアスは2期通算50話を駆け抜けていきます。そのため、最終的な方程式としては学園ハーレム×異能バトル×ロボットアニメ×生徒会モノ×ピカレスクロマン×男と男の友情=コードギアスが成り立ちます。いくらなんでも盛りすぎたジャンルのラーメン二郎。

 しかも恐ろしいことに、コードギアスは同じ話数の中で激しくジャンルが入れ替わります。どういうことかわかりますか?例えば、親方!空から女の子が!⇒ローマの休日パロをかましたと思いきや突然移民と差別を語る激重展開になったり、ギアスの効能を確かめるべく実験をする『デスノート』の序盤めいた展開と同じ回でゼロの仮面をネコに盗まれ同時に行われた生徒会主催のイベントによりルルーシュが全生徒から追われるという気の遠くなるエピソードがあります。あまりに要素が大きすぎるため、ジャンルとジャンルの境界線を反復横跳びしながらエピソードを消化していく様は、慌ただしくて危なっかしい。

 しかもちょいちょいお色気要素があって、スクール水着姿の女学生とカレンさんのコスプレ姿はまだ序の口。果ては事後のシーンがあって、次の回で虐殺が描かれたりと、もう観ているこっちは情緒不安定。

 とはいえ、これこそがコードギアスの醍醐味なんですね。ルルーシュにとってはゼロという「戦場」とルルーシュとして生きる「日常」が常に背中合わせにあって、それがシームレスに移行するからこそ緊張感が生まれる。

 そんなゼロの覇道に巻き込まれて、世界情勢も周囲の人々の人生も急展開を幾度も迎えます。『コードギアス』は人の悲劇か死を燃料に物語をジェット推進する癖があるので、毎話毎話の終わり際がスゴいことになっており、目が離せなくなるのです。

~覇道の犠牲者たち~

 コードギアス、複数の大国や部隊が交戦するアニメなので、自然と登場人物が多くなります。Netflixさんの字幕がなければ、騎士団の一般兵等々は見分けすらつかなかったでしょう。そんな群雄割拠の中でも印象に残った推しキャラの話をします。マオくんとジェレミアさんです。

 マオくん、ルルーシュに立ちはだかる最初のギアス持ちの敵という美味しすぎる登場の一方で、やることといえばシャーリーにルルーシュを殺させようとするとかナナリーを誘拐するとか一々まどろっこしい策を展開し、ウザ絡みをしてきます。しかもその目的はルルーシュからC.C.を引きはがし奪還することで、C.C.さんに母親の影を投影するというより拗らせてしまったシャアさんみたいなキャラクターです。

 ただ擁護するなら、これ全部C.C.さんが原因なんですよね。孤独でいたいけな少年に綺麗でミステリアスなお姉さんが母親になってくれて、それで自分の元からいきなり去ったら、人はどうなりますか!?拗らせます。

なお、当のC.C.容疑者は「大事なものは遠ざける」と発言しており、その監督不行き届きが指摘されております。

 ジェレミアさん。どことなく『ガンダム00』のグラハム・エーカーさんの面影があるな……と思っていたらマジで仮面をつけて再登場したので手を叩いて喜びました。しかもギアスキャンセラーという作中屈指の能力を持っているにも関わらず、一切有効活用できないまま遠回しにシャーリーさんの死のフラグだけを建てるというメチャクチャな活躍で、心を鷲掴みにされたのでした。

 本人は忠義に厚いキャラなので、仕えていたマリアンヌ様の子どもであるルルーシュの味方になるし、パイロットとしての腕も立つし、最終回ではゼロレクイエムの真意を知る数少ない懐刀みたいな立ち位置まで昇格していて、最後にはオレンジ農園を始めるという、たぶんコードギアスでもかなり幸せになった方の人物です。もう出てくるだけで美味しいし最後に笑いを振りまいてくれるオレンジさんマジ推せます。

そして衝撃の結末へ

 ここまでネタ的に本編を消費してきて申し訳ない限りなのですが、終盤の展開にはとにかくやられました。オジマンディアス的解決、この世全ての憎しみを引き受け死を迎える、ゼロレクイエムです。

 これまで、たくさんの人の運命と、命を血に染めてきたゼロ=ルルーシュ。彼の落とし前は全世界の敵ルルーシュを、仮面を被った正義の味方ゼロに討たせるという、自分の命すら投げ打った人類和平のための秘策。ルルは、自分の命を犠牲にして「一つになれ」というギアスを、全人類にかけたのです。

 一番笑顔にしたかったはずのナナリーから最愛の兄を奪い、スザクにはゼロという「象徴」を生きることを科す「呪い」をかけることで、世界の平和が訪れたのです。コレ書いた人大丈夫?ちゃんと寝てる??

 このクライマックス一つで、『コードギアス』という作品への評価や印象が一気に名作へと引き上げられたし、10年以上経っても愛される作品だというのがわかりました。それゆえに、『復活のルルーシュ』とかいう劇場版の存在が怖すぎませんか……?コードギアスのオタクがこの映画の話をするとき口ごもったり複雑そうな語りになっちゃうの、今ならわかります。復活するの!?!?ダメだろ!!!!!!!ばか!!!!!!!!

 とりあえず、U-NEXTに劇場版三部作と『復活』があります。まずは観ないと何も言えませんからね。令和コードギアス初見オタク先生の次回作にご期待ください。

次回作はコチラです

もう一人の令和コードギアス初見勢

れ、令和コードギアス再燃オタク!?!?

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