見出し画像

まだ我々は小さな存在 2020 J1 4th Sec


J1第4節。

先日、このエントリーの下書きのタイトルに

「ホーム日産に静かなる凱歌」

なんて書いたオレが悪いのだろうか。

結果は1-3で敗戦。内容としても非常に、非常に落胆するものであった。


スタメン

再開後の2戦の、総プレータイムを考慮したかのようにミックスされた構成となった。この過密日程の中、頷ける措置である。

控えはほぼスタメンクラス。その意味では不安はない。

この日からうちの試合も客入れが可能になった。しかし上限5000人、以下応援行為に対しては厳しい制限がついた中でのそれである。

基本、許されるのは「拍手」「掲げる」だけに近い静かな雰囲気の中、試合はキックオフを迎える。


前半

試合開始直後、目についたのは、水沼のポジションが良いということだった。
ボールを中心にした構造から離れるように位置しているように見えたからである。

0050で相手ゴール前に迫った時、相手の後ろの死角で適切に距離をとってボックスに入ったプレー。
そしてその直後、0105でボールは左に移動したが、彼はバックステップを踏んでフリーになれるよう動いている。このタイミングでクロスが入ってくればビッグチャンスだ。

テルとは違う特徴を、その位置どりで表現しようとしているように感じ、好感が持てた。

相手の4-4-2は割と深い位置にあってもボールサイドに全体としてスライドしている。逆側は捨てているということだ。
そんなこともあり、揺さぶることで上手く試合を運べるという想像もできた。

0315なども、水沼は中央からのボールを一度外に膨らむようにして受けている。イイ。
このシーンなどを見ても、すぐに点取れるんじゃないの、と思わせたものだ。

すると予感は的中する。
右CKのリスタートから、ボールは中央へ送られたが、それを戻すようにAJが水沼へ長めのパス。このプレーはナイスだった。フリーの水沼は余裕をもってクロス。中央でアドがフリックするような形になり、渓太が走り込み押し込む。先制!

急激にプレーベクトルを ーボールが向かうであろうと想像される方向性のー 逆方向へ変化させることが攻撃のひとつの肝である。
この一連のプレーによって、相手の中央の守りが構造として「ほどけた」。前へ出ようとしたが急いで下がらざるを得なかったからである。その様子を繰り返し見てほしい。

0705も惜しい。
梶川から切り替わりでカウンターに近い場面。ブンが左で持ち上がったが、相手はそのボールサイドに全体として寄っている。水沼はフリーのまま右で距離を保ってボックスに到達。ブンのボールがここに直接通っていれば。状況が良かったので直後もチャンスであった。

0850も切り替わりで似た形。
おいおいイケるんじゃないの今日?

このほか、2555、3728。3850も惜しい。
水沼の集団から離れる動きは、今後もしかすると大きな役割を果たしそうで期待が高まる。彼はクロスが得意というよりは、その直前の受け方が得意なのかもしれない
読者は、オレが今回こう言ったということをぜひ覚えておいてほしい。

しかし、これらのチャンスをものにできなかったのが結局は今の実力なのかな、と…
クロスは上がるが、中でどういう動きや配置をするか、詰めるべきはそのディテールだろう。

あと!
4158の、小池のチャンネルラン!
これは引っかかってしまったが、水沼もダイレで前へ出そうとしてるように見える。

大きく見ると、4142から一度左で作ろうとして詰まり、右にボールが流れて来た。その中で相手の守備の間隔がわずかに広がった。
後方でU字に回すことになってもかまわない。左右に揺さぶり続けながら縦に刺すというのも、やっていくべきなのだろう。

実は、この形は後半の5732に成功している。
左側でやや集まりながらも渓太が中央へ。その間スルスルと小池が前へ出る。受けたタカはその背中側を通し大外の水沼へ。通常下げてしまうような場面だが、小池は瞬間にダッシュ。それに合わせるように水沼は前へ出す。

この形、つまり外のウイングに渡ったら中のハーフレーン/チャンネルを走り抜ける選手にボールを止めずに出すプレー。
再現性が欲しい。何度でも見たい。


試合終了

ハイ、負けました。終わり終わり!

アーアー 何ですかー? 聞こえないなぁ?


安い失点は、うちのやり方だとシーズンを通し一定の確率で現れる。
そのことをどうこういうよりも、アタッキングフットボールの本質として、シュートと得点ができなければ話にならない、と、再度思わされた試合だった。

スタッツ上はシュート数が2桁に乗っていない(Jリーグ公式)。

この後半、相手の、人に対する守備の強度が増した。相対的に見ると前半は緩かった。
慌てるばかりでミスが増えるし、さらに失点を重ねてもおかしくなかった。ファウルすることも増えた。悲しかった。

ビッグチャンスと言えるものは、5152の渓太と7833のテルくらいではないだろうか。

ただ、8401のテルのバックドアは良い形だった。小池が持った瞬間に意思が合った。
しかし…こういう場面は全員がスピードを上げる必要がある。エジは相手DFの裏側だったし、アドもしくはエリキに後方で浮いてほしいところだが間に合っていない。つまりアドリブなのである。

他にいったいどれがシュートだったのだろうと懸命に探していると (^▽^;)
8843に喜田がシュートしたシーン、真ん中に集まりすぎで…これじゃイチバチだわさ…



うちは基本切り替わりの瞬間を生かしたカウンター型のチームで、その場面には滅法強いが、引かれると崩せない。これは昨年からずっと変わっていない。

速いクロスはうちの特徴だが、それは速い攻めの形になればこそ効くもの。
ボールを浮かせたら最後、それに触れる確率は相手と五分、同じになってしまう。
その選択をしたらあとは運でしかない。よほどボックス内の状況が良くない限りは。

前節の決勝点のクロスは、ゴール前が2対2でボックス内での選手人数が少ない)だからこそ通った(通りやすかった)。
なぜ通りやすいか。人が少ないと、少し先に動き出すなどアクションのずれを作ることで自分のマーカーより先にボールに触れる。逆に人数が多く密集していると、せっかく作ったずれは他の(余っている)選手のカバー範囲に入ってしまうということが呆気なく起きる。

何度も言ってきたが、相手ゴール前ではパターンが必要だと思っている。
アドリブが重なるだけではサッカーでは何も起きない。それは所謂和式である。


もちろん、相手の対策を上回る成長に期待したい気持ちはある。


アンジはきっとパターンを仕込むといったアプローチは採らないだろう。
もっとも、うちは激しいポジションチェンジを是としているだけに、パターンを仕込んでもその再現が難しくなるような気もするわけだが。

そう考えるとこの先、何に期待すればいいのだろう、と、袋小路に入り込んだ気分すらする。
勿論シーズンは始まったばかりだが、うちの試合を支配している大まかな構図が変わらないままなのでね…

今年は(引かれた場合の)崩しの最終局面を主に見ていくことになるな。
水沼宏太は引き続き注視したい。押し込んだ時も幅取れ。頼む!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?