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持つべきか持たざるべきか 2020 J1 32th Sec

中2・3日で続いた22連戦(!)も一旦ここで途切れることとなる、J1第32節。

ACLの登録枠の関係もありパギがローン移籍、梶川は怪我を負ったためGKは緊急事態。そこで加入間もない高丘がなんとスタメンとなった。


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キックオフ。
立ち上がりから両チームともに奪い返す守備によって混戦。

0040あたりから始まるプレー。自陣左から圧を逃れ右へ展開するとすぐに浮いていた皓太へ小池が縦にパス。スペースのある状態でドリブルし、相手を十分引きつけた上で左側へいたAJへ。すると彼はそのまま右のエリキへ裏を狙ったロブを送る。

これは一連の流れから原理的にいって準決定機。

皓太は引きつけて中央でリリース。相手の意識も構造も集める。そこで左のAJへプレーベクトルを向けると、右のエリキのサイドは警戒が解かれることになる。プレー展開の速度も十分であり、ベクトル逆転+速度、こういった条件が重なると守備側としてはボールを注視するほかなくなるからだ。

この時点では中央に誰もいないのでエリキは一度起点を作るために大きく開いているべきだっただろう。それもありAJのロブは角度がなくGKにキャッチされてしまったが理想的なプレー連鎖だった。


ここのところ、最終ラインの守備に意識の変化を感じる。というのも、以前少々触れたとおり、相手保持の時にステイするだけではなく、Zonal の基本のような前方アプローチによるプレッシングに出て行っていること。

うちの前線のプレスは嵌らないので💦 後方の選手のこのような意識がセーフティネットになる。選手はそれぞれ、勿論裏に蹴られることも想定に入れながら、自分の前にいる相手選手を注意深く意識しているようで非常に良い傾向だ。6分〜7分あたりの最終ラインを見ていただければ、ここで言っていることがわかっていただけるのでは。


相手の守備も5-4-1を基調にし、注意深く守っている。試合を通じ最後までこれに悩まされることとなる。

それでも2235、2609は決定機だった。特に後者は自陣ビルドの被プレスをいなし、チアゴから中央の皓太に鋭くパスを送ったことで始まった擬似的なカウンターで、最後は中央が疎になっただけにどうにかしたかった。最後のパスは大然ではなく浮いていたAJに送るべきだったろう。


保持するもシュートまでいけず、相手には数は少ないながらも非常に危険なシーンを作られるという懐かしい(?)構図で進んでいた前半だったが、32分の失点で均衡が破れる。クロス対応がなんとも淡白に見えた。




前半、シュート4と振るわなかったが、後半になると立ち上がりから相手はうちのビルドに圧を強める。うちの保持になれば全員が自陣ボックス前に下がって守るため、やはりシュートまで行けない。結果的にシュート数は8と、トータル2桁にさえ到達しなかった。

それでも5355など、一つ剥がして高速カウンターも見せるのだが、決まってさえいればということだろう。そうこうしているうちに相手FKからOGにより2点目を失ってしまう。

こうなるとうちは…リアルタイム観戦時には言いたくなかったがやはりだめだった。追いつくことすら叶わない。88分には一瞬の隙を抜け出されPK献上、決定的な3点目を与えてしまう。試合終了間際にこちらもPK獲得により1点を返すがそれまでだった。



なんとか打開しようとするあまり中央に集まり幅が無くなる。相手が密集により守ろうとするのに付き合ってそこに密集、さらに状況が悪くなる。

守備は密、攻撃は疎。基本的な原理はここにあると、常々考えている。
そしてそれらを具体的なプレーとして落とし込んでおくべきだと…

うちの攻撃、特に相手が引いた時のそれは、密に対し密で打開しようとするアドリブに頼ったものだ。これが改善されない限り、今後もずっと70分・85分あたりのような、相手ブロック前で回すだけの場面が繰り返されるだろう。

これまでずっと言っているとおり、相手がどれだけ引いてもその「裏」がある。それは縦に相手を引っ張りながら空間を作り出すということでもあり、集まったなら裏を含めた縦方向の出入りでも相手を「広げ」たい。

言うまでもなくうちは、「攻撃は疎」の最たるものであるカウンターは上手く強いのだが、どれだけ保持率がトータルで高くなっても意味を為さない、象徴的な試合になってしまった。



勿論選手は必死にやっているし、それがわかるだけに悲しく辛い試合だった。頑張りだけでは解決しないのがサッカーで、メカニズムが必要なのだ。



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