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怪物たちの宴 2020 J1 28th Sec

変則的に組み込まれた、J1第28節。

この10月の移籍第3ウインドウ、試合の直前に電撃的に獲得したGK高丘がいきなりベンチ入り。角田の名前も。

今回のメンバーも最前線と最終ライン、各々どのように振る舞うか、始まってみないとわからない。


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キックオフ。基本的な立ち位置としては上のようなところか。

ビルドアップに関わる後方の選手は、ファルソ・ラテラルの動きを含め非常に柔軟で、最前線も、構成を見ると幅が無くなるかと思ったがそうでもない。場面によって集まったり開いたりしている。

しかしながら十分な試合間隔があったという相手のプレッシャーに晒され前進できない。ややゆっくりブロックを再形成しながらもFWがスイッチになり連動したプレスをかけてくる。距離は少々あってもそのアプローチの速度にメリハリがあるためすぐに選択肢を奪われる。

特にエリキや大然らウイングに対する相手SBの出足には手を焼いた。今季前半を思わせる構図だった。

また、これはうちのクセでもあると思うのだけど、片サイドでばかりパス交換しはじめる中でミスしたり相手に奪われることも多い。3042などはその例。

前半からIHのような役割をもって、まるで昨年のように上がっていたケニーはその動きがなかなか生かされなかった。2524のロストから始まる被決定機(の直前)は勿体ない場面。

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0858のFKからの被シュートに始まり、主にカウンターから前半少なくとも3度の決定機に晒されたが、いずれも相手が決めきれなかったことに救われた。これらは非常に危険なもので、相手のこの決定機逸が試合の結果に重要な意味を持つことになる。



後半に入るとすぐ、エリキがやはり降りて受けようとするところを鋭く追われて倒されたりもするが、そのリスタート後、左のブンがやや内側に入りながらも一瞬で外へ出てシンから縦パスを受け、ターンから素早くこれも縦に大然へ送るというようなプレーも見られた。オフサイドにはなったが。

個人にフォーカスすると、このような工夫は至る所で行われていたということも見えてくるが、最終目的のためのプレー連鎖という意味で繋がってこないのがもどかしい。


5005には最前線でロスト、弾むボールに触ることができず相手に渡り被カウンター、このサイドチェンジのパスが素晴らしく「やられた」と思ったものだが、カットインからのシュートは枠の上へ飛び胸を撫で下ろす。

その直後もカウンター気味に持ち込まれCKを与えたりと相手の時間となったりするのだが、53分にサントスによる得点が突如生まれる。

これもリプレイ中の出来事でポジトラの最初の一手が確認できないのだが、中央で受けたマルコスが既に走っていたエリキへ。2人に詰められる形になるものの股下を抜いて緩いグラウンダークロス。このボールがサントスに絡んだ相手DFの予想できなかったものになっており、その「裏」で受けることに成功したサントス、そのDFを引き摺りながらGKの至近からシュート、得点した。


すると間も無く55分には何と2点目が入る。

一度はボールを失うのだが、槙人が前に出てチェックするとやや内側に入っていた大然へ。相手に絡まれるがマルコスに渡ると大然へ縦パス。それに触れないのだが、相手の2人いたDFに次々当たると外側にいたサントスへ。何という強運なのだろう。フェイクを一つ入れ、難なくゴール左隅へ流し込んだ。

この後しばらくは、相手が攻撃しようとしロストした直後の空間を上手く使って保持前進し、うちの時間帯が続くことになる。このリズムだ。これが欲しい。やはりうちはトランジション。

そんな中、相手陣内でディフェンスしたケニーに相手MFが暴力行為をし退場となる。これにより試合の行方は決まったと言っていいだろう。


リードを2点としてなお攻め続けるうちはやはり、10人になった相手にもそれなりにチャンスを与えてしまう。汗

だが試合が終わろうという90分台に入り、うちにはさらに2点が追加されることになった。交代で入った水沼が呼び込んだオウンゴールとカウンターからのエリキによるもの。


見返してみて思ったが、相手に圧されたというよりは、うちの攻撃がややちぐはぐだったということなのかもしれない。

個人的な好みを言えば、特に前半は期待度の高い場面を作ることができなかったし、4-0 で勝ったわけだがまったく気に入らない。決まらなかったから良いものの、相手に決定的なチャンスを数々作られた。いつも相手に退場者が出るわけではないし諸手を挙げて喜ぶというわけにはいかない。

少々付け加えるとするなら、その上手く行かなかった前半に、後半の積極性は出なかったのかと思う。喜田は前に行ったし、タカは最前線のサイドに出てウイングとポジション交換したりした。

相手のプレッシャーに屈する形で前に行けなくなったり、様子見をするのではなく、そんな中でも前に出て逆に相手に圧を感じさせたい。そこはそれこそ配置とかナンとかいうよりも「勇気」であって、それが見たいわけだ。サッカーはそうしてカウンターの場面のように裏返すことができるのだから。

しかしながら、今季の優勝が無くなった今、わずかに残されている3位以内へ食い込む可能性について考えれば、価値のある勝利だったと言えるだろう。



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