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強度と献身 2020 J1 29th Sec

ACLの試合日が確定したことに伴って、29節が繰り上げられた、中2日での試合。実に厳しい。

とはいえ前節では2連勝とし、この日もホームである。波に乗りたいし、乗り続けたい。ほんのひと月前だが前回対戦では酷くやられている。ここでも借りを返そうじゃないか。

スタメン

松田詠太郎がスタートから! シンが戻って来た! 流石に喜田は休ませたか、というところだが、その代わりに入るのが和田というあたり、うちは本当に層が厚くなったと思う。このスカッド、まったく戦力が落ちたようには見えない。

さあ、勝点3を目指そう。


戻ってきたプレス強度

前回の7月の対戦で負けた理由は、相手のプレスに負けたというよりは直接的に最終ライン裏を狙われたことが大きかった。

攻撃面では、チャンスはまずまず作れていた。前半にあったそれを決めていればどうなっていたか。

守備の大筋としては相手に余裕をもって蹴らせないために、また、リスクをいつでも晒しているだけに、相手に考える暇さえ与えないほどに前からハイプレスを敢行するほかはないのだろうと思う。


この試合の前半では、そんな理想的な、いや、それに相似な「がむしゃらな」プレスが見られ、相手を窒息させることができた。

真夏のこの連戦のさなか、にもかかわらず。

立ち上がりから、追う。マルコスと和田を含めた5人でGKまで圧をかける。そこまで行くのなら相手にプレー選択の時間を与えないよう速度が必要だがそれも十分。ミスを誘い回収、保持、攻撃。このサイクルの連続により相手陣内でゲームを進めていく。

うちのビルドアップの場面で、サントスが縦に大きく動く。彼が下がることによって相手のやり方だとCBもマークのため出てくることになる。すると相手の最終ラインは疎になるし、ピッチ全体に「間隔」ができる。こうなると準カウンターの場面と構図は変わらなくなってくる。うちの得意パターンである。

パギのフィードも素晴らしい。その構造を見抜き、いたずらに最終ラインで危険を冒すことなく長めのパスでフィールド中央を的確に突いていく。


0741にはサントスの目の覚めるような得点!

一度は右のパス交換に関わったタカが左へ移動し、ライン間に入った動きも光る。局面として4対3を作った。そこからマルコスと絡めて回転するように高野を押し出し、ラストパス。サントスのシュートは勿論素晴らしいのだが、この一連の繋ぎも美しい。


相手が良くなかったのはGKを伺うような前プレをしていながらも、寄せの強度が足りていなかったことだろう。この程度ならばうちは十分やれるのだ。

ただし、うちへの対策として定番の、逆サイド裏に早めに蹴ってくる相手のプレーにヒヤッとすることもないわけではない。これをきっかけに揺さぶられるとうちは脆弱。跳ね返しながら即時奪回プレスと攻撃へのサイクルで結果として保持率を上げ、ゲーム全体を掌握することが結果に繋がるということだろう。


3952には追加点。またもサントス!
右サイドの攻撃をスローインにすると、そのボールを和田が上手くボックス内に引き出す。彼のラストパスは相手GKに触られたが、それがサントスの前へ… この人はこんな運も持っているのだろうか。彼の当たり加減にはただ驚くばかり。


1対1の攻防

後半になると相手のマンマークとその守備強度がやや増してくる。立ち上がりから行ったり来たりになった。4913は危険なシーンだった。切り替わりから2対2で持ち込まれフリーのシュートを許す。絶体絶命のところシュートは枠の上を超えて助かった。

5150には何とシンの「足による」ゴールで追加点を挙げ3-0に。詠太郎が仕掛けて得たCKの跳ね返りを同じく詠太郎が前にヘッドで送ったところシンに収まる。するとFW顔負けの切り返しでネットに突き刺した。


このプレーから遡ること1分ほど前の5045のプレーを見てほしい。

相手のCKから切り替わったビルドアップ。パギからシン、そしてタカ。相手が前から圧をかけてくる。左の高野に渡ったところで1対2になってしまうのだが、ここで高野の選択したプレーは下げるのではなく、前方に移動したタカへ、相手2人の間を抜くパス

この、重要なプレーによって相手は5人が置き去りになり、中央に広大なスペースが開くことになった。タカからケニー、そして詠太郎。できたスペースを次々に「受け渡し」、詠太郎は自分の間合いで勝負できることとなった。

そして得たCK、からの得点、という流れ。
う〜ん なんて素敵なストーリー♪


さあ、3点リードになったら後は好きにやってかまわないぞ。笑

しかしこの得点の後、(やはり)行ったり来たりの構図が出来上がってきてしまう。たびたび自陣ボックスに入られる場面を迎えるが、「うちこういうの大好き!」と言わんばかりのトランジション合戦に決着をつけたのは今季初得点となるゴールを叩き込んだテルだった。

そのテルとともに交代で入ったエリキは彼らしい献身でこの得点をアシストして見せた。一時はエゴに走るかと思われた時期もあったが、再度信頼や団結という言葉を思い出させ、スタンドに向かい喜びを表現する彼らに少々胸が熱くなった。この際最後の余計な失点は忘れようじゃないか。


MVPは誰か。選びようがないくらいに全員が素晴らしかった試合。

テルやシンの言葉によれば、第10節の後に危機感を共有するような選手間での話し合いが持たれたという。それはこの試合において表現されていたと言えるだろう。

ただ、相手の一つのパスが重大な被決定機に繋がってしまううちの戦い方。

守備面でリスクを抱えているため複数得点しなければ勝率を上げることができない。そんな一面があることは事実で、とりわけ前半の45分を無駄にしたくない

その意味からすれば今日の出来は賞賛すべきであるものの、最低限のものとも言える。プレー強度を保ったまま ── それは適切に選手を休ませながらローテーションしていくこととほぼ同義だが ── 今年の日程を戦い続けられるか。困難なミッションがこの後も続いていく。



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