妖精大国

争いや問題、住人達の不満や不安、そんな事柄とは無縁の国。

その大国の名はハイチーズ王国。

妖精界ではとても有名な大国なので
どんな奥地に住む妖精達もこの国のことは知っているし
この国を嫌う妖精はいません。

実はこの国、人間界にとても近い位置に存在していて私の家とも繋がっているの。
きっとあなたの家にも繋がっているわね。
この国の王様ときたら、何て言うのかしら……とっても気さく？　
妖精界の生き物達が望むなら
人間にもたくさん愛されるようにと、妖精を預けてしまうの。

王国からお手紙も届くわよ。
妖精を預かっているお家には特別たくさん届くわね。
(何しろ注意事項が山ほどあるものだから)　
手紙は封筒ではなく、小さな紙をぐるぐるに巻いて小さな葉が一枚だけついた
蔦でとめてあって、とてもかわいらしい巻物なの。
開くと8センチ程度の用紙で、読めない字もあるけれど妖精達に聞けばなんとかなるわ。
それより家のどこに転がっているか分からないから見つける事の方が大変なの。
配達は鳥達が喜んでお仕事をしているらしいわ。

ハイチーズ王国は東西に長く長く広がる国。

この国の唯一の決まりごとは定住人の制限です。
なぜなら手付かずの美しい自然と長い長い時を共に仲良く過ごすには
妖精達が増えすぎてもいけないし自然が増えすぎてもいけない。

国王は「ほどほどに」この事だけは常日頃からとても大切に考えているのです。

みんなが住みたい大国ですが、国王の大切な決まりごとを守らない妖精はいません。
だから妖精達はよく旅に出ます。
なぜなら
王国では旅人はいつだって大歓迎されるし、いつまで滞在していても構わないからです。
旅の途中の妖精も、散歩や狩り、食事や友達を探しになど
誰もがこの国に立ち寄り、皆が皆、時を忘れて思う存分安らぎます。

この大国では、謎めいた事件や驚くような事は何も起こらない。
とっても魅力的で個性溢れる妖精達が出入りする場所です。
みんなも大好きになる妖精がきっといるはずよ。

誰から紹介すればいいかしら……
そうね
まずは王国を代表する国王。
王様の紹介からはどうかしら？