落ちる雨

水色にペイントされた板の上
上手に乗っけた小さな足
鉄の鎖を握りしめ奇声をあげて勢いよく空へ

母親らは緊張した面持ちで小さなベンチに横並び

この先新しく生まれる気持ちはあるだろうか


恋をして人生に夢をみた

私があなたの
あなたが私の
肩を支え足元に注意をはらいながら歩く日

同じ人に恋をして、また共に人生最後の夢をみる

そんな日を迎えてみたい

見つめ合える最期には、おぼろな姿
私には私の
あなたにはあなたの
深部のわだかまりだけがユラユラと揺れて過ぎた時間

私たちはなにを分かち合ってきたのだろう
なにひとつ与えられず、なにひとつ受け取っていない可能性

私の全てであなたに伝えようとした、強い想いが恋しい


いつかの私も嬉々として体を空に飛ばした
どの頃にも戻れない嫉妬、生々しい後悔の数

いつだって初めての経験
老いに慣れず怯えた心は悲鳴を上げる


晴れた空に汚れきったグレーの雨が降り出した

雨だ!と叫び、楽しげな高い笑い声が響く

ベンチでは疲れた顔が一斉に空を見上げる

誰にも同じように降る雨

誰もが違って感じる雨




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