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■メンタルヘルス■法制面での意義編②

労働災害の認定と民事訴訟を理解しよう。

労働基準監督署長により、次の2つの存在が認められると労災認定され、労働者災害補償保険法に基づいて保健給付が行われる。

・業務遂行性・・・企業の支配または管理下で行われたこと
・業務起因性・・・業務に伴う危険が現実化したと認めらること

ここ数年、セクハラ・パワハラの問題も見られる。セクハラについては内容・程度、その継続する状況、会社の対応有無・内容、改善の状況、職場の人間関係等を踏まえて判断される。

次に職場のパワハラの定義について見てみよう。

『同じ職場で働くものに対して、職務上の地位や人間関係等の職場ないの優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるまたは職場環境を悪化させる行為をいう』とある(改訂三版 メンタルヘルスマネジメント検定試験重要ポイントより)。

労働基準法上の災害補償責任については、履行の確保を目的として、労働者災害補償保険法(労災保険法)というものが制定されている。労災保険法によって災害補償に相当する給付が行われた場合は、企業は補償の責めを免れることになる。

重要ポイント①

●労災保険法に基づく保健給付・以下の支給が予定

①療養補償給付 ②休業補償給付 ③障害補償給付 ④遺族補償給付 ⑤葬祭料 ⑥傷病補償年金給付 ⑦介護補償給付
→保健給付は企業に落ち度がなくても従業員に給付されるが、被った損害の一部に限定

●民事上の損害賠償責任による補償

保健給付では填補されない部分では、慰謝料と逸失利益が大きい。
→従業員から民事上の損害賠償請求訴訟が提起されることにもなる。
→労災保険法に基づく保健給付がされた時は、すでに給付された金額は、損益相殺の対象とされ、民事上の損害賠償請求訴訟において損害賠償額から控除。

重要ポイント②

●ハラスメント関連問題

ハラスメントを原因とする精神障害の発症が社会問題になっている。代表的な職場のハラスメントにはセクハラ・パワハラ・マタハラがある。

・セクハラ

→1999年改正の男女雇用機会均等法で事業主の『配慮義務』が明文化。
→2007年同法改正で男女区別をなくし、『措置義務』に
『当該労働者から相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない』

・パワハラの6つの行為類型

①暴行・傷害(身体的な攻撃)
②脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
③隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
④業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制。仕事の妨害。(過大要求)
⑤業務上の合理性がなく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと。(過小要求)
⑥私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)
→労働者の権利が侵害された場合は、民法や刑法等の一般法が適用される。

・マタハラ

→セクハラと同様の措置義務が課せられている。
→セクハラとマタハラは男女雇用機会均等法の他、特別な法律は存在せず、労働者の権利が侵害された場合は、民法や刑法等の一般法が適用。

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