本当は怖いつわり体験談(後編)
寿司屋の看板を見て「大好きなお寿司が食べたいのに〜〜!到底食べられない〜〜!」って泣いた。この時点で明らかに普通じゃない。しかし隙あらば出勤するワーホリである。(ワーキングホリデーじゃない方)
深夜の腹痛はこれまで経験したことないほど痛くて、流産したかと思ったら、ただの激しい下痢だった……なんだったんだ……。
当時のワイは、とりあえずハァハァ言いながら職場に行って(お腹は出てないけど血が薄くなってて歩くだけでハァハァ言ってた)座って、こそこそ北海道チーズ蒸しパンを食べ、気持ち悪くなったら何度も職場のトイレで吐くという、妖怪と化していた……思い出すだに恐ろしい……。
もちろん、ほとんど仕事にはならない。
あまりに気持ち悪くて、通勤時もそこらのお婆ちゃんよりもゆっくりしか歩けない。妊娠前はあれだけ元気にバリバリ働いてたのに。妊娠したらここまで弱るなんて誰も教えてくれなかった。もうすぐ昇進できそうだっただけに、みじめだった。
最もつらいつわり生活が始まった。
ハァハァ言いながらも出勤していた日から、わずか4日程度で泡立ち胃液を吐く状態へと転落したのである。
(そういえば、この辺りで夫に母子手帳を取りに行ってもらった気がする。ワイは当然、自分でもらいに行くと思ってたから驚いた。でも父親の自覚を持ってもらうにはとても良かった。)
あれだけ吐いていたのにまだ吐く回数が増えるのがつわりの恐ろしさなのか……。
食事はとれず、飲み物すら吐いてしまうので、妊婦検診だったけど行けなかった。後日妊婦健診に行った際、不妊治療で超有名な名医が、「なんで9週の時に検診に来てくれなかったの?待ってたのに……」って顔を曇らせてた。つわりで無理でしたって言ったら不思議そうな顔してたのが非常に印象的であった。(妊娠したらホントみんな地元の病院行っちゃうのね……)
このあたりからケトン体とか調べ始める。
またこの日、心配したお母さんがクリスピークリームドーナツを持ってきてくれたのがすごく嬉しくて、1つペロリと食べてしまった。(昼間に家に誰もいないのが本当に孤独で辛かった。ずっと神様に「お腹の赤ちゃんが元気なら私はどうなっても良い。あと私から仕事を取らないでください」って二律背反的なことを祈っていた)そしてその後、吐きもしなかった。つわりは精神的な要素が大きいと実感した次第である。
水分が全くとれず、尿も減ってきたのでついに救急へ。しかしながら私がヨボヨボながらも自分の足で歩いて病院に行ったのが悪かったのか、体重が5キロ以上減少していたのに驚いて、大きな声で元気よく「ええっー!?」って病院で叫んだのが悪かったのか、医者に「入院?点滴?そんなのいらないアルヨ!!漢方あげるから、我慢するしかないアル!!」と笑顔で見送られたのであった。(後に、この医師のもとで分娩させていただくこととなる。最高のお医者様でした。)
この頃は本当に食べることができなくて、毎日夫にコンビニのおにぎり棚を写真撮ってもらって、その日のラインナップを見て食べられそうなモノを指示して買ってきてもらい、そして食べずに満足するという謎のルーティーンがあった。
また、それまで口にできていた普通のフルーツがダメになって、なぜかパイン缶だけは食べれる、みたいな期間もあった。謎すぎる。
この間、ずっと仕事を休んでいた。
休暇余ってて良かった……!
毎日朝に職場の上司に電話で申告してた。今思えばLINEで良かった。
ということで、12週4日からめでたく出勤することができた!(仕事が大好き過ぎて、いかにつわりから脱して仕事行くかという話に終始しているが、その間お腹の赤ちゃんはめちゃくちゃ元気だった。親がここまで苦しんでいるのに、赤ちゃんはいつも健診のエコーでは羊水内で泳ぎまくっていた)
これで私のつわり体験記はおしまいである。
ここから胆汁なり胃液なりを吐きながらも、毎日風呂に入れるようになり、質素ながら食事もとれるようになり、16週2日目にして夫とケーキを食べに出かけられるようになったのであった。
なぜここまでひどいつわりになってしまったのか。
江原啓之さんによると「母と子が持つ人生のタスクが違いすぎると、つわりになる」とのことだった。つわりは現代医学なんぞでは太刀打ち出来ない神の領域である。もう全て信じるしかない。
つわり中はテレビが憎かった。寝ても覚めても、食べ物のことばっかり放送してるのだ。その甲斐あってか、今我が家にテレビはない。パソコンのモニターにファイアースティックTVを接続して、毎日家族でYouTubeを見ている。NHKも解約して快適だからおすすめだ。
そして今となっては謎だが、ベランダの排水溝のにおいがマジきつかった。冬だから窓やカーテンも閉め切っていたのに、なぜかベランダの排水溝のにおいが寝室にただよってくるのである。そしてもれなく吐く。あらぶる嗅覚よ、しずまりたまえ。
また、つわり中は気持ち悪くてスマホすら見ることができなかった。寝ながらスマホできる人は健康なんだと痛感した。その際、唯一私の救いとなったのは、コウノスケさんのTRPG卓の録音だ。(笑)
眠れない日中、家に誰もいない孤独のなか、編集なしで6時間とかある録音を流し聞きすることだけが私の癒しだった。コウノスケ卓、ありがとう。
それではわたしのあとに続く勇者たちよ、健闘を祈る。今のこの壮絶なつわりを耐えた果ての出産時には、「いや、出産なんかより、つわりの方がずっとしんどかったなコレ……」ってなるので。
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