「女ともだち」2巻 一条ゆかり

2023年6月に少女まんが館へ行って読んだ漫画の感想です!

🌷「女ともだち」2巻 一条ゆかり

書誌情報:一条ゆかり「女ともだち」2巻(1992、りぼんマスコットコミックス、集英社)


2巻、昨年読んだつもりだったんですけど、読んでませんでした…

今まで本気で人を羨んだことなんか なかった
人の幸せを妬んだことなんかなかったのに――
こずえ!
今なら あの時のこずえの気持ちがこんなにわかる
あの時 どんなにみじめな気持ちになったのかが

43ページ

↑いい場面だなーと思ってメモした菜乃(なの)のモノローグですが、、何でみじめな気持ちになってたんだっけ。。
この巻は菜乃が晴臣のことを好きだと自覚する巻だったので、晴臣のことでもやもやしてるシーンが多かった気がします。

ていうか、「女ともだち」は相関関係がけっこう込み入っていて…
とりあえず2巻の内容から読み取った相関図をストーリーズで作りました。

書き忘れたけど、晴臣は白河水絵の息子です

ね、ややこしいですよね。
でも漫画読むとちゃんと分かります。(ちゃんと説明できてないけど)

映画のキャストは最終的にちょっと変わるんですけど、とりあえず2巻はこんな感じ。

こういった状況なんですけど、その前に話を戻すと、菜乃は晴臣のことが好きで、でも親友のこずえも晴臣を好きで、しかもこずえと晴臣は芸能界同業者なんですよね。

菜乃は、母親の女優・搖子さんの奔放さに嫌気がさしているので、一般人でいることを決め込んでいるし「夢はOLだ」とか言ってるのですが、そんな欲望や願望の無かった菜乃が、自分の内に生まれた望みや独占欲と向き合い、それに驚き困惑し、葛藤する……そんな場面が↑の引用の場面だったと思います。

それで、晴臣と接点のあるこずえに嫉妬したりするんですよね。

あたしがあたしじゃなくなっていく…
自分が一番きらっていた人間になってしまう…

49ページ

すばらしいなー

古風な好みかもしれませんが、少女漫画はこういうふうに『初めて出会う自分の感情』と対峙するものであってほしいんですよね。

私は最近の物語の、『自分のことについては自分が一番よく分かっている』みたいなノリや正論言ってるだけの話があんまり好きじゃなくて、なんでかというと「理解できない自分自身が内側から出てきたとき、この人物はどうするつもりなんだろう?」って思っちゃうからです。
自分のことを自分で理解してると思ってる人って、理解不能な側面が自分に現れたとき、やっぱり対処法を知らないから拒絶したりその感情をシャットアウトしちゃったりするんじゃないかなと思うんです。
でも自分を拒絶して切り離すのって、結局その局部も自分自身だからいい結果にはならないですよね、自分を殺すような行為なんじゃないかな。

自分自身という存在をちゃんと未知のものとして扱ってほしいな。未知の自分に出会っても観察したり向きあう力を身につけたほうが、いいと思うんだけどな。


余談ですけど私ここ数年、女性と恋愛小説にかんする話をしていて気づいたんですけど、女の人って自分の思考や性質と合致する恋愛小説にしか興味もたないものなんだなーと思いました。
恋愛小説として巧い作品とか、読んでみて面白みがあると思う作品の話をしてもけっこう「自分はこういう恋愛はしないから」と興味を抱こうとすらしない人もいるんです。「自分とは違う」みたいな感じでシャットアウトするんです。
ストーリーに興味もてなかったら仕方ないのかもしれないけど…でもそもそもフィクションなんだからあなたにとって真実味のある恋愛小説を求めたところであなた自身の現実に影響はないのでは?と思うんですが。

それに、いつ、どんな状況や気持ちに陥るかなんて…わからないじゃん。未来のことなんて、誰もわからないじゃん。なのになんで「この感情は自分には関係ない」って切り捨てるんだろう。とか思ったりしました。

だから、こちらもフィクションだけど、「女ともだち」のなかで菜乃が自分の心の赴くままに葛藤しているようすはなんだかとても好きだし、こういうものが大事にされてほしいなあと思うのです。



菜乃とこずえはいつの間にか仲直りをしていて、菜乃はこずえの家にお泊り会をしにいきます。
こずえのお母さんが全然ステージママではないところも面白かったのですが、いい家のきれいなお嬢さんはきっと小さいうちから親がモデル業をやらせたがるのかもしれないです。


親友と好きな人の間で揺れた結果、親友との友情を大切にしようと決める菜乃。そんな菜乃の心理をお見通しの母・搖子さんは、無理するならうまくやれ、周りが気を遣う、と切り込みます。たしかに過ぎる……( ˘ω˘ )ウム

オーディションのくだりも、演技指導のところも面白かった。
感情を表に出して伝えるのって大変なんだなあ


唐突に話変わるけど、私はやっぱりこういう少女漫画だなーー!という感じのきれいな線の絵が好き!絵がきれい!菜乃も可愛いし、搖子さんもきれい。


『ジョジョリオン』の大弥(だいや)ちゃんが言ってる「私に気を遣わせないで…!」はまじで真理で、無理してる奴ってほんと周囲に気を遣わせますよね。
お前の願望はお前が満たせ!
以上です。

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