「エロイカより愛をこめて」2巻 青池保子

9月に少女まんが館へ行って読んだ漫画の感想です。

🌷「エロイカより愛をこめて」2巻 青池保子

めちゃくちゃおもしろかった!!!!

書誌情報:青池保子「エロイカより愛をこめて」2巻(1980、プリンセス・コミックス、秋田書店)
収録作品:NO.4、NO.5、「アイビーNAVY」


1巻を前々回訪問時に読んだんですけど1巻の感想を書いていませんでした…
(閉館時間まで)時間がなくてすごい急いで読んだのと、読んでから時間が経ってしまったのとで記憶がすでにおぼろげなのですが、テレパシー能力のある若者3人組がでてきてそのなかのかわいい男の子が伯爵に追い回されていた気がします。ドタバタですごくかわいかった。
1巻終盤の北極圏だったかロシアだったかとにかくとても寒そうなところでの戦車のくだりは「どうしてこうなった??」で頭がいっぱいでしたが、最終的に伯爵のモノローグにじーんとし、なんだか良い話だったな……と思いました。

鋼鉄の色に美しさを感じるきみは――
私にまけないほどの――
ロマンチストなのかも知れない!

(「エロイカより愛をこめて」1巻、ページ数控え忘れました)

かもしれない!(o´∨`)b

1巻から2巻にかけての方針転換についてはWikipediaに書いてあるのでここでは一切触れずに2巻の感想を書きます!


「エロイカより愛をこめて」NO.4

伯爵の今度の狙いは中国の翡翠の仏像…という話でした。
これまでの経緯(1巻の内容)をいまいち思い出せなかったのですが、伯爵と少佐はそれぞれ自分の任務のために行動しているだけなんだけど、いろいろあっていつも関わり合いになってしまう…という構成のコメディで、
まじでプロットの繋げ方が鮮やか過ぎる……!!!
そういうわけで青池保子先生はプロットの神!!ということが判りました。青池先生の魅力はそれだけでは全くないのですが。。

表紙のカラー絵の少佐の髪が、ふわりとしたまっすぐな髪でとてもうつくしい…
こんな髪になりたい。

あと伯爵にはジェイムズくんという部下がいて、この人はすごく貧乏性なんですがついつい共感してしまいました。
しかもジェイムズくんの手配した中古の盗聴器を少佐が見つけてすぐ『ケチなやつらだ、たいした組織ではない』と見抜くところは、さすがだ…と思いました。

少女漫画の読者だった頃とちがい自分が会社員に成長したせいかもしれないのですが、少佐の言動がいちいち「なるほど!」と思うことばかりでためになります。生活の中の何に役立てればいいのかわからないけど……(仕事かな)

少佐の部下たちが伯爵を目撃し、人相や容貌を少佐に伝えるときも「ハンサムな男」としか言わないので「君はハンサムって形容しか知らんのか!!」(p49)と叱るのですが、たしかに具体的に描写するのって大切だよな…と思ったり、
少佐の「オーストリアあたりで潜行するつもりかもしれん」という見立ても、そうかオーストリアってそういう場所なんだ……と参考になったり。。


あと「ようし いい位置だ」(p59)のコマは何かで見たことがありました!かっこいい。


「エロイカより愛をこめて」NO.5

第5話はさらにおもしろくて、たしか米露の首脳がロンドン大学総長の自宅を会場にして会談することになるんですけど、果たしてその会談はつつがなく執り行われるのか…!という話でした。
ロシアやアメリカと協力してNATOの少佐も警護や準備に走り回るのですが、一方、会場の近所の城ではなんと偶然伯爵が世界の有名盗賊を集めた盗賊国際会議を開催していました。。
そしてさらになんと、会談に抗議する過激派が会談会場に爆弾を仕掛けたと声明を出します。
少佐は爆弾事件を未然に防ぐため特別な調査に乗り出すのですがなんやかんやあって伯爵も事件に関係していき……というめくるめく展開でした。
「エロイカ」のあらすじはきちんと人物の役職のメモをとらないと、やっぱり正確には書けない……すみません。

伯爵は盗賊国際会議を開いていましたが、盗賊って一か所に集まって大丈夫なのでしょうか。この中に指名手配中の人はいないんでしょうか…なんかでもこの会議すごいたのしそうだった……

首脳会談の警備を、ロシア側の組織(何だったか忘れた)と、CIAと、そして少佐のいるNATOの人たちとで協力して行わなければいけなくて大変そうでした。でもお互いにけなし合って喧嘩する場面もおもしろかったです。

会場となったロンドン大学総長の自宅をまず3団体で徹底的に調べている最中、外にいた少佐は屋敷の前の道路を車が頻繁に通ることに気づき、『この辺りは車の通行が多いのか』と質問したことによって近所の城で伯爵が催しをしているのが判明する…というくだりがあります。やっぱり一見なんでもなさそうな変化にもきちんと気づき不審に思えるところがさすがだな…とまた参考になりました。

会場に設置されたかもしれない爆弾の手がかりや、その主犯格をつきとめるため、少佐たちは寝る間を惜しんで調査に駆け回ります。
この展開もすごくおもしろかったです。やっぱり過激派の活動家や怪しいやつにはだいたい目星がついていてそれらから今回の主犯格をしぼっていくというような流れだったと思います。
少佐の「ドイツの恥だ……!」という怒りは胸を打ちました…

こんなシリアスで硬派な展開なのになんで「上は脱がなくていい。下だ!」というセリフに繋がっていくんだろう。。見事すぎました。。
しかもこの頃には事件を捜査する少佐に感情移入しきってるからこっちも「伯爵、早く…!」とか思っちゃう。めちゃくちゃおもしろかったです。

伯爵がパリまで迎えに行った盗賊界の大御所は、家に引きこもって昔の映画とかばかり見てるムッシューだったんですけど、これ自分かなって思うくらい親近感わきました。「「ロシアより愛をこめて」はえかったな――」(p125)というセリフに同意です。あんまり内容覚えてないけど。。

爆弾、どうするんだろう――とハラハラしましたが土壇場での伯爵の活躍はほんと映画みたいでした。。素晴らしかったです…!

あと、もしかしたら気のせいかもしれませんが、114ページ(ジェイムズくんがパンツ買う店の店員)に樹村みのり先生っぽい絵を、183ページに大島弓子先生っぽい絵を見つけました…!

あと、この2巻って4話、5話収録なんですけど、1話何ページだったのかなあ。確認し忘れました。70Pくらいありました?!もっと?読んでてすっごいボリュームたっぷりに思ったので……
区切りが途中でなかった気がするので1話分まるまる掲載だったのかなと思うんですけど、「エロイカ」原稿すっごい大変そう……だって背景も備品も映画みたいにきちんと描かなきゃいけないし…(どの漫画もそうだ)、このページ数だし…。
漫画家って作、演出、演者全部やるプロデューサーだな……すごい。

自分が子供のころも、「りぼん」でも単発の中編掲載や連載初回でカラー・72P!とか50Pくらいのとかまだありましたけど、すごい大変だったんじゃないかなと思います。当時はページ数多いとたくさん読めてうれしかったけど…
週刊だと16P、月刊だと32Pってイメージですけど隔週の「花とゆめ」は何ページだったかな、20P前後かな。覚えていません。最近のページ数ってどのくらいなんだろう。
あと自分はスマホで漫画読まないので、スマホの縦スライド式漫画のページ数の概念もまだわかりません……


「アイビーNAVY」

年若い青年(ネットにあがってるレビューによると親善大使だったらしい)が外国の空母の乗組員になる話なんですけど、その空母を持ってる国が石油かなにかで全然お金に困らない国で、豪華で快適な空母の中でいろんな変わった人に出会う話だったと思います……

この読解でよいのか不安です。。(たぶん違うんだろうな…)

空母のなかの人が青年にいろいろ説明してオリエンテーションしてくれるんですけど…えーとたしかお金の使い道が無いくらいお金がある国なので、争いが無くなるようにお金を使ってるんだった気がします……ユートピア論みたいな感じ。。
読んだ時はなるほど、、と思ったのですが記憶がなくなってきてその独特の理念を説明できず、、切ないです。。

ただ、すごく楽しそうな空母でした…

でも最後みんなで船酔いしてました。

青池保子先生ってなんでこんなにおもしろいことを考えつくんだろう。。
ようやく自分が「エロイカより愛をこめて」を読めるくらい成長できたのがなんだかうれしい。。(感想書き起こしてみたら話の設定の理解がかなり雑だったことに気づいたけど…)

少女漫画ってやっぱり無限。。


三連休でのこり2つの記事を書き上げるつもりがついついぐうたらしてしまいました…!😭
あと一冊分、がんばります。
そしてそろそろ少女まんが館が冬季休業中に何をやればよいかについて考えねば……(´・ω・`)と思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?